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hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

陽気なギャングが地球を回す

2014年04月24日 | 和書


手っ取り早く本棚のスペースを作るには、日本語の本を読んでしまった方が早いと気づいたので、続けて日本の小説を。日本語の本って自分で選んで買ったものではないので、永久保存という具合にはなかなかならないんですよ。
伊坂幸太郎作品は初めてです。映画「重力ピエロ」はとても良かったのですが、「フィッシュ・ストーリー」は何回か見たけれど、不可解の様な、内容がわからないというよりは、自分がどう感じたのかがわからない、と言うべきか。
小説の読まずに下した勝手な印象としては、漫画っぽくて子供っぽい作品が多そうな気がしてなかなか手が出ませんでした。

この作品の読後もその印象は違ってはいなかったと思いますが、ナルホド、面白いです。
作者と同じ年代なので、登場人物たちのどういった言い回しをカッコいいと思うか、面白いと思うか、どういう展開がセンスがいいと思うか、そこら辺の感覚が似ているんだと思いました。10代の時なら絶対喜んで読んでいたと思います。
子供が日本語の本を読めるなら中学生くらいからにお勧めしただろうなぁ。うちは残念だけど無理。

スレてないまま大人になったピュアな小説家なんでしょうね。あとがきなんかも可愛らしいですよ。それともこのシリーズはあえて単純明快で爽やかに徹しているけれど、ほかは重力ピエロ系なのかな?
機会があったらまた読んでもいいと思いました。




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ビター・ブラッド 原作本

2014年04月19日 | 和書


「ビター・ブラッド」というドラマのスタートを楽しみにしていたのに、あまりにも面白くなくてがっかりして、どうでもいい話なのにわざわざ帰宅した旦那に報告。
こうこうこういう内容でと軽く説明すると、「うちに原作があるんじゃない?」と。
実際本棚にある。旦那に読んだのか聞いたけれど、読んだ気もするし読んではいないかの知れない、、、、ウーン、途中まで読んだのかなぁ、、、、とのこと。
ドラマの方は人物設定はいい感じだったのに、事件自体があまりにも陳腐すぎたので残念だったけど
、疎遠になっていた父親と息子がバディっていうのは面白そうだし軽く読めてしまえそうだし、本棚のスペース作りに読んじゃおう!
ノリは小学生の時に読んだ赤川次郎の三毛猫シリーズ的で、スイスイ読み進めて行って30ページまで来て、殺人の被害者の名前と現場に覚えが、、、、主役たちの名前にはピンとこなかったのにガイシャに(笑)
「これは読んだことがある気がする、、、、」
断片的に記憶が蘇るが、考えても考えても結局どんな事件だったのか犯人が誰だったかも思い出せない。
途中で読むのやめちゃったんだな、きっと。と思って一気読み。
日本語の文庫を読んだのは久しぶりだけど、やはり母国語だと500ページあっても2、3日で読み終わるんですね、、、、もっと日本語の本読もうかな、、、
で、結果ですが、前回も最後までしっかり読んでいましたね。
よくもここまで思い出せないまま最後まで読み切ったもんだ。
しかも、面白くないわけじゃないんですよ。それなのに全く印象に残らないってどういうことなんでしょうね。しかも夫婦そろって。旦那はまだマシだよね、タイトルと設定は覚えていたんだもん。私だよ、読みたい本なんて星の数もあるのに!

ドラマの方はよくある銀行強盗シーンで、たまたま人質の中に新人刑事の主人公もいて、ってアレです。
で、仲間が踏み込んで銃を撃つのですが、思いっきり人質のいる方向に撃っていてビックリ。たまたま犯人の手に当たったけど、そんなんだったらタイミングを見計らう必要もなくいつ突入しても良かったんじゃない?
父親の渡部のカタチが好き。顔が小さくてスッとしているところがカッコいい。でもそれだけ目当てに見続けるのは無理だな。


おや、小さいと思っていた顔も今時の若者と並ぶとそうでもないんですなぁ。
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ちはやふる #7,8

2013年09月22日 | 和書


リンクさせてもらっています人生四年さんが、タイアップ記事のように、滋賀県で今運行しているちはやふるのラッピング電車について書いてくれました。素敵な写真がいっぱい載せてあります。まだ未見の方はぜひ。
おまけに私のリクエストに応えて、まつげ君の写真も撮りに行ってくれました。感謝です。
7,8巻ではこのまつげ君が悩みながら成長していきます。ちょくちょく泣かされながら何度も繰り返し読んでいます。

昨日続きを借りに行って本を手にしていると、「私もそれ、大好き!」と声をかけてくださった方がいて、その場でちはやふるの話に花が咲きました。早速滋賀のラッピング電車のことも自慢げに教えてあげました。すっごい気になっているようでした。

次の9巻で、北海道版下の句かるたが登場するんだそうです。こんなのです。

色々書体がありますが、私が持っていたのはこれと同じ感じです。うちのもこんな風に木の箱に入っています。
紙のかるたに比べるとかなり高価ですが、全部平仮名よりはシンボル化しているので、とりやすいですよ。ちなみに右下のは「今ひとたびのみゆきまたなん」です。ちょっと難しかな?

ルールについては省略しますが、読み手は下の句を読み、プレイヤーがとっている間にもう一度同じ句をちょっと違うイントネーションで読みその流れのまま次の句を読むといった感じです。私は当然ながらそれが普通と思っていたので、海を渡ったどころか日本から遠く離れた我が家でもそのやり方です。

「本当に手で床を叩いて威嚇したりするの?」と訊かれて何のことかわからなかったので、うちに帰ってきて動画を見たんですが、まったく記憶にないです、、、、、

なんとなく北海道では冬限定の遊びだった気がするのですが、全国的にはどうなんでしょう?
町内会の主催する大会に親子で参加したり、 お正月に家族で遊んだり、親戚が集まった時に、おばあちゃん、お父さんお母さん、子供たち、といった具合に、世代をまたいでみんなが一緒に楽しめる遊びですよね。
でも親戚の中に千早ちゃんたちみたいに最初の一音だけでとっちゃう人がいたら興醒めだなぁ、、、、

ちはやふると滋賀県のおかげで、電子機器ではない遊び、古くからの遊び、家族や世代を越えた交流が可能な遊び、に注目が行くのは嬉しですね。ちはやふるは競技かるたのお話ですが、私はそうではない和気あいあいとした雰囲気で楽しむ百人一首の魅力がこれを機会に広がるといいなぁと思います。
しばらく遠のいていた方も、今年の冬はいろいろな世代の方と百人一首で交流なんていかがでしょう。
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ちはやふる #1~6

2013年09月16日 | 和書


去年から百人一首に興味を持っている娘が読めるかも、なんて思って借りてきました。
ところが人名以外の漢字にはフリガナがふっていないんです。袴、なんて読むの無理でしょ!
というわけで、私がガッチリ読んでいます。面白いです。

私も子供の時には百人一首けっこうやりました。雪国ですしね。
こちらでも子供の通っている日本語補習校で冬場に百人一首大会が開かれるんですよ。
それで、何年か前に北海道の母に百人一首を買って送って欲しいと頼んだことがあるんです。

補習校で使ってるような、携帯し易い簡易百人一首、買って送ってくれる?

え?どんなの?

すごいコンパクトで 取り札も紙でできている持ち運びが便利なのがあるんだよ

そこで母が探しに行ってくれたんですけど、どこにも見あたらないっていうんですよ。田舎だからないんだと思っていたんですけど、、、、、
ある年、審判のお手伝いをしている時に、全部平仮名で書いてあると見づらいねー、この紙の百人一首がなかなか手に入らなくって、というようなことをぼやいたら、

あー、北海道って木の札なんだよね!全部ひらがなでじゃないの?

って、うっそー!!!この紙の百人一首、携帯用じゃないの?

てっきり、裏表になった磁石のオセロと将棋版やモノポリーと同じで旅行用のセットだと思っていましたよ。本物だったんだ、、、、(ニセモノとすら思っていた、、、、、)

みなさん、知っていました?

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どうにかこうにかマクベス読了

2013年03月21日 | 和書
  

 マカヴォイの舞台を来週に控えて、なんとか読み終わりましたよ。
 ストーリーは単純。スコットランド王の片腕で優秀な武将だったマクベスが、魔女たちの予言にそそのかされ、王を殺し自分が王座に君臨する。邪魔になりそうな者も罠にかけ始末するなどするが、最後にはあっさり王の息子たちに仕返しされてしまう、という話。
 なんとなく誘惑に負けて手を血で染めるが、それを自身で抱える精神の強靭さは兼ね揃えてない、苦悩する姿がこの物語の核となるのですね。
 それにしても、マクベスをそそのかしたのは「魔女たち」で合っているだろうか?いくら元々野心があったとしても得体のしれない他人の言葉にそう易々とのせられやしないだろう。どちらかというと奥さんの後押しが最もマクベスを動かしたところではないだろうか。ところが、この強気の奥さんも後には良心の呵責に苛まれてか、はたまた弱い夫との生活に疲れ果ててか、世継ぎを産めないプレッシャーによるものか、精神を壊していくんですねぇ。
 ここが一般的に「人間らしさ」を描いている「売り」の場面なんでしょう。でもなんとなく「よくいる主人公たち」って感じてしまうんですよね。それより、私にとって一番魅力のある人物はダンカン王の息子であるマルコム。彼の方がなんというか独特のキャラクターをもっていると思うんです。
 王が殺害された時点では呆けたまま逃亡という腰抜けぶりだったけれど、あとから立ち上がります。好きなシーンは、彼が自分の様な者が王になっても欲をだしていい国を作れやしないだろう、同様暴力で国を抑えていこうとするだろう、と自身を否定し謙遜するセリフ。よくもそこまで、というくらいに自分自身をけなします。
 そこで「そんなことはない。あなたならきっとこの国を良いものに」みたいな激励と後押しみたいなのを得て立ち上がるのですが、そこの息子の計算づくなのかどうかが気になるところ。「こんな正直で冷静に物事を判断できる男に国を任せてみたい」と思わせるのが目的のセリフなのか、それとも本当に正直に気持ちを吐露したセリフなのであろうか。
 
 ストーリーの展開が早く、よく読まないと雑に感じる強引な場面の移り変わり、ちょっと置いてきぼりをくらったような気がしたのですが、訳者による解説を読むと、現存しているマクベスは、時間制限のある宮廷で披露される劇にするためにかなり削減されたものなのではないかとのこと。そう考えると納得できる。たとえば、最後にマクベスを討ったマグダフはなかなか正義感が強く男気のある人物なのだが、妻と子に一言も告げず我が身だけ逃亡し結果的に彼らを見殺しにしている。あれだけ強気だったマクベス夫人もいつのまにやら心の病に伏せている。
 
 こういった作品は本編だけじゃ楽しめないですね。解説を読んで初めて咀嚼できることがたくさん。
 作品の書かれた歴史的背景や、色々な解釈を知ることができるのもいいのですが、訳者の福田氏のシェイクスピア作品に対する愛と情熱はひしひしと感じることができることも嬉しい点です。正直、本編、私自身はそれほど楽しんでないんで(汗)!


 ところで、うちの Captain R もグローブシアターに「ロミオとジュリエット」を見に学校で連れて行ってもらったのですが、何を話しているのかがサッパリだったそうです。
 朝からお弁当を作り、お迎えの時はロンドンから帰ってくるバスが渋滞に巻き込まれたため学校の前で一時間待たされたのですが、どうだった?と訊いた私に真顔で

 ジュリエットがブスだったんだよ

の一言だけ。いかにもあたしの子供だなぁ、この感想・・・・・・・

 来週の今日はいよいよマカヴォイのマクベス。書くことがあるくらい多少なりにも理解できればいいんですけどねぇ・・・・・この点々が自信のなさを象徴・・・・・
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いくえみ綾 The Best

2013年02月09日 | 和書
    

 私はどっぷり「いくえみ世代」です。
 あっと、いくえみと同じ世代じゃないですよ。いくえみの漫画にどっぷりハマっていた世代です。
 その中でも「エンゲージ」や「ポップス」なんかが大好きでした。
 それに登場人物たちが北海道弁で話すので余計に馴染み深いといいますか。
 大人になってから書店でバイトしたことがあるのですが、その時も休憩時間によく漫画を読んでたものです。その当時のいくえみのコミックは、タイトルは忘れちゃったけど、民生に似た学校の先生が出てくるような話でした。
 そのバイト先で一緒だったお友達と昨年11年ぶりに再会して漫画の話に花が咲き、先日今回の漫画2冊を貸してもらうことになりました。嬉しい、嬉しい、ひっさしぶり~。
 
 あらー・・・・イメージががらっと変わっていますねぇ。
 なんというかファンタジーなんですよね。それに精神世界が絡み合ったり。
 でもいくえみのいくえみたるところは健在ですけどね。絵もそれほど変わっていないですし。相変わらずなにげに芸能人の誰かさんに似ているキャラも出てきたりして。

「The Best 1」

 あの星になるから・・・・・臨死体験をする男の子の話

 My Dear B・F ・・・・・・老衰し死が近づいた犬と目標を失って苦しんでいる少女の交流の話

  私は2冊の中でもこのお話が一番好きで何度も繰り返して読む、何度もジーンときています。

 10年も20年も・・・・・二冊中唯一ファンタジー要素のないストーリー。高校生の青春物語。

「The Best 2」
 


 ラブレター、・・・・・・・クラス会をきっかけに不思議なことが。生き霊関連!

 アイスクリーム チョコレート・・・大好きな彼に振り向いて欲しくて、彼の好きな女の子の顔を手に入れた女の子の話。
 
  このストーリーもとても好き。強い思いが無意識の中で引き起こす妄想の世界。主人公の女の子の発想と言動が可愛いような、切ないような、またまたジーン、、、、

 ケチャップ マヨネーズ・・・・・・母親の再婚で新しい家に引っ越した高校生のアツシには他の家族には見えないその家の前妻のゴーストが見えてしまう。

 幼い子供を残して亡くなってしまった元妻の心残りのある思いがよくわかってつらい。ドラマ11人いる、みたいな話。

 赤い月の話・・・・・・・不安と後悔の思いから、無意識に現状を少しすり変えて記憶しまう女性が、ある不思議な出来事をきっかけに強くなり、前に進んで行く話。
 
 誰もが無意識なのか意識的なのか記憶を書き換えたりすることってありますよね。
 過去の話をしていると「それってそうじゃなくなかったっけ?」と思うことがしばしばで、嫌な事実なんかは勝手にすり替えたりなんかして、人はそれぞれ前に進むしかないんだなぁなんて思うことってありませんか?人間のそんな点を浮き彫りにした作品がこの中にもいくつかあったような気がします。
 昔の作品に比べて、深層心理にスポットを当てた作品や超常現象をとりあつかったものが多い傾向にありました。
 今ちょっと気づいたんですけど、絵のちょっとした変化ぶりはくらもちふさこの絵が変わった時と同じような変わり方をしているんですよ!
 そうそう、くらもちふさこも大好きですよぉ。
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蟹工船

2012年09月23日 | 和書
   

 めずらしく日本の本です。というか、漫画。
 「いつか読もう」と思いつつここまで来ていましたが、まさか漫画で読むことになるとはなぁ。
 まず下手なんだか上手いんだかわからない絵がめっちゃ汚い。でもそこがこの本の伝えたいことを一層わかりやすくしているのかもしれませんね。
 
 日本で最近人気のある小説はどれも劇画的なものばかりで「それでいいのかなぁ」なんてちょっと心配している私が著名な文学作品を漫画で読んでしまった居心地の悪さ、どうしたらいいものか・・・・・・


今日の日記:

 もちろん、蟹工船とは比べ物にはならないとはいえ、力で抑えつけられている、と言えば Captain R の新しい学校、M校。
 縦縞の芸人のようなブレザーに、光った青のネクタイをして通っている彼らは、毎日毎日先生方から detention this, detention that と脅かされながら生活をしています。その上クラスも完全能力別。いつ下のクラスに落とされるかもしれないので気が抜けない。
 私はこの学校のそういう側面には全く興味がないのですが、Captain R の仲間の両親は「そこが魅力だ」と言っている。
 そのわりには、AK母は自分の息子が detention を与えられると学校に抗議に行くし、LK母は2番目のクラスになったことが不満で学校に問い合わせをしたり。あれだけ勉強させていなかったら当然だと思うんだけど・・・・・
 言っていることとやっていることが違うのは、まぁ・・・・人間だれでも同じ?!
 ま、キリキリしているのは親だけで、子供たちはあまり今までとは変わらず「ボサ~」とやっているみたいです。
 今週はうちの Captain R はワイシャツの一番上のボタンを締めていなかったため、居残りして雑用をさせられてきました。これがカッコつけてボタンを外してたっていうならいいけど、ただ単に慌てて締め忘れたからっていうのがダサい!

 宿題は毎日2教科くらいずつ出ていますが、今のところそれほど難しいことはないよう。
 ただ、先日の history の宿題は、一つのニュースについて新聞社2社を比較する、というなかなか難しいもの。
 Captain R は、USaid のロシアの内政干渉について、Guardians と Yahoo ニュース?を比べたそうです。適当に選んだわりには片方はUS批判、もう片方はUS支持と意見が分かれていたようなので、やりやすかったようです。
 私は全く目も通していませんが、5行しか書いていないらしくて、そんなんでいいのかなぁーと思うのであります。
 
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ジーンワルツ

2010年12月28日 | 和書
 このブログのカテゴリーには日本語の本がないのですよね。それくらい久しぶりの和書であります。
 久しぶりの日本語の本にして、初海堂作品。難しかったぁ(涙)
 わからない言葉や言い回しが多くて、凹みながら読みました。
 実はこうしてブログを書いたり、他の方のものを読んで、自分の語彙の少なさを痛感していたところで、それは日本語の本を読んでいないせいではないかなと考えていたのです。そこで久々に手にとってはみたものの・・・・・
 作品(作家)が悪かったなぁ、もうちょっと簡単そうなのから始めれば良かった・・・(苦笑)

 不妊治療、代理母出産、現代の産婦人科の抱える問題など、個人的にとても興味のある分野がテーマとなっています。
 描かれ方は、どちらかというと患者サイドよりも医療サイドに比重がよっているので、さすがの私も(流すことができずいちいちまともに受け止めますから)感情移入しすぎることなく距離を持って読めました。

 映画・ドラマにしても本にしても、社会問題を取り上げているもの、読者に問題提議するもの、そして何より作り手の意見がしっかり書かれているものが好きです。
 こちらに問いかけ、考えさせ、投げかけるだけ投げかけて、作り手自身の意見は明確にしない作品が多い中、この海堂先生はとことん自分の見解をはっきりと示してくるのですね。そこが気持ちよく読者を惹きつけるのでしょう。
 ただ、そうではあるのですが、正直なところ、国家制度への批判や官僚たたきがあまりにもしつこくしつこく書かれているところに辟易しました。どの作品もこんな感じなのかな~・・・・かなりウンザリしたんですけど。「わかったから、早く物語に戻ろうよぉ!!!」と何度心の中で叫んだか。
 これからも海堂作品は積極的に読んでいくつもりなのですが、賛同する意見も多いに有り、理にかなっていて正論だとはいえ、どこまでこの「批判精神と攻撃的なスタンス」についていけるか自信ないな、私。
 将来の医療現場をより良くするため、出版業界を含むマスコミを味方につけて世の中の動向を変えて行こうとする作家の姿勢には感服しますし大いに賛成なのですが、「もうちょっと少なめにガツンと」の形をとってもらえたら私的には助かるかも(笑)
 この先、ネタばればっちりのことを書くので、知りたくない方はここまでで。


 
 私の好きな登場人物は第2子を出産された甘利さんです。
 もうすでに子供が1人いて選択肢があってのあの決断。素晴らしいと思いました。
 これでもし医者が母体への危険性をもっと強調していたら、私のこの意見も180度変わるところです。3歳の息子のことを考えるとその決断には疑問が生じます。
 ところで気になったのは、4人の出産シーンがあったにも関わらず、旦那さんが一人も出てこなかったところです。
 立ち会い出産が当たり前の環境にいるせいでしょうか、とっても不自然に感じました。
 甘利さん宅は苦しい選択をし、もっと苦しい瞬間を迎えるのですよ、何があっても支えるとおっしゃったご主人がいないのはおかしくないですか?
 荒木さんのところは5年もの長い間夫婦で辛い思いをしてやっと待ち望んでいた瞬間を迎えることができたのですよ。どうして?
 作者は意図的に夫たちを登場させなかったのでしょうか。読んだ方、どう思われます? 

 
 不妊治療について国家がしっかりと理解を示し、より多くの子供の欲しい家庭に手が届くものになることを切に望みます。
 代理母出産についても同様。色々倫理的な問題はあるにせよ、私は近い将来認可されることを願います。その時は卵子の提供者が母親であるべきだと思います。自然だとか、自然じゃないとか、そんなこと全然大事じゃない!
 作者の熱い気持ちがのりうつって、私も熱く語りましたとさ。

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