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hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Daddy-Long-Legs

2016年11月23日 | 洋書
子供の頃から読書が好きですが、外国の児童文学はあまり読んでいません。
特に「あしながおじさん」は間違いなくタイトルが好きになれなかったから読みませんでした。でも原題どおりなんですよね!このタイトルも実はあんまり、、、、でもなかみはとっても面白かったです!!

孤児院で育ったジュリッシャは18歳の時にカレッジ(アメリカでは大学)で学ぶチャンスを与えられます。
とある大金持ちの男性に文を書くことのオリジナリティを見いだされ将来性を期待されて、物書きになるための教育を受ける奨学金を与えられることになりました。相手の素性は一切分かりません。
返済の必要はないかわり、大学での生活や学んだことについて月に一度彼宛に手紙を書くことだけが条件です。

この物語はほぼ全編ジュディの daddy-long-legs 宛の手紙で構成されています。
かねてから不満のあった自分の名前も勝手に変え、さらに宛名はジョン・スミスにする様言われているのに勝手にdaddy-long-legs に変更。
新しい世界に飛び出した彼女の生活ぶりが、ユーモアたっぷりに瑞々しく描かれていきます。
素直でのびやかな彼女の手紙は本当に楽しい。たくさん笑ってたくさんホロッときて。

手紙を書くにあたって相手を思い浮かべられずに書くのはなかなか難しい。
見た目だけでもいいからちょっと教えてくれない?
この際、髪の毛があるかないかだけでいいから教えてー!!

次の手紙にて。
ハゲでも一向に構わないの。それはそれで素敵だし。
だからハゲなのかそうじゃないのかだけ教えて!!

一切返信のない相手に時々キレることも。
なんで返事くれないの?私に興味なんてないの?
ただのかっこつけの寄付?
だったら次からは必要最低限の事しか書きませんからねーだ!

彼女の生き生きとした文章で綴られている手紙に返事を書かないでいるこの男、相当サド!私だったらすぐにでも返事を書かずにはいられないくらい素敵な手紙が書かれていくんです。
一度だけ病気で寝込んだ時に花束とget well card が届いただけ。それでもジュリーは泣いて喜びます。

彼女の手紙は卒業するまでしっかりと続きます。書き忘れていたけれど、頻度は月一どころかもっともっと頻繁に手紙は書かれています。
最後がどうなるのかはもちろん知ってはいたけれどそれでもキュンときました。

私はLibrivoxで通勤の行き帰りだけの1日で聴き終えてしまいました。
しかも超高速。ナレーターに息継ぎの間も与えないくらいの高速。
というのも、ダウンロードしたものは3人の方が読んでいるのですが、最初の数章を読んだ女性のアメリカ英語が聴き取れなかったことがキッカケです。「これは無理だ。うちに帰ったらもっと聴き取りやすいものにダウンロードし直そう」と思い、どうせ聴き取れないのなら早回しで話の展開だけ追っておこうと思って高速にすると、、、、
アメリカ英語が苦手な人に朗報です!スピードを速めると断然聴きやすくなる!試してみて。
こうして問題を解決した私は話の面白さに夢中になりあっという間にフィニッシュ。特に3人目の方はちょうどジュディくらいの年齢の若い子っぽくってピッタリで最高でした。
ただし!
是非とも本で読んでください。私も一通り聞いた後に本もサラッとですが読みました。サラッというところが非常に損をしています。
孤児院から高校も通ってはいたのですがイマイチのレベルのところだったのか生活環境(院では基本雑用や小さい子のお世話に明け暮れていた)のせいか、大学に入りたての彼女は学友に比べて一般知識も少なく文学に触れている機会が圧倒的に少なかったのです。
そんな彼女が大学生活で多くを学び、その結果として語彙や文章力が徐々にかわっていくのを目にしないのはもったいない!ぜひ目読書をしてくださいね。ここ大切なところ。

10 out of 10 やっぱ名作は違うわ〜と改めて実感。

PS. よくよく読み返してみると私はこの男の人、ちょっとお断り。どんな金持ちでも気が合ってもちょっと...

理由: 独占欲が強く、嫉妬深い。絶対束縛される!

奨学金を貰おうとしたら理由も言わず断れと言う。自分との関係が切れてしまうのが嫌だからでしょう?彼女が自分の力で得たものに対して自分の独占欲を優先させるところが大人げない。
友達の家で夏休みを過ごしたいのにこれまた理由もなく許可をしなかった。そこんちにハンサムな兄貴がいて仲良くなるのが面白くないから。自分の観察下に置くことに。
どうせなら色々な体験をさせてあげなよ!
極め付け、社会に出て色々な人達と出会う前にプロポーズ。
なんだかね〜.........ジュディもすっごく彼の事好きなんだからいいんですけど……絶対息苦しいって!笑
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Animal Farm by George Orwell

2016年11月20日 | 洋書
 読後の一番最初の感想は子供の頃に読んでおきたかったな、ということ。
 小学校の高学年から高校生にかけての間、もしくは筋を通す意味でも少なくとも「蠅の王」を知る前には。
 実際今年度16歳になる学年の学生たちの英語の試験の課題図書であります。細かく考察し論じていくのが試験内容です。
 表現がストレートでわかりやすいし、語彙も学習に適していると思いました。私も知らない単語がいくつか出てきましたが、どれも今後使える覚えておきたいものです。

 さて、この本は動物とファームを描きながらも人間社会を風刺している作品として、長い間ずっと読みたいと思っていた作品であったのですが、そこまでの知識でしかなかったのです。一般的な社会構図を風刺しているのかと。
 今、これを書くにあたって調べて初めて、当時実際に渦中にあったスターリンの恐怖政治を痛烈に批判した作品であり、登場人物(動物)のそれぞれに実在の人物のモデルがいることがわかりました。
 そういうことを踏まえてから読むとまたよかっただろうなぁと感じています。

 この作品が出版されていた時代に比べ、現代社会にいる私たちは、特にこの10年の間に、こういった作品に慣れてきています。
 そういう意味で残念ながら私には「ここがこの作品の、ほかのディストピア作品から傑出している点」ということが分からずじまいでした。ただ、今こうして時代背景を知って考え直すと違った思いと言いますか、作家や出版社の心意気というか勇気を感じられてきます。
 
 今現在全世界で他人を排斥することで優位に立とうとする人々が実権を握り始めています。
 そんな今だからオーディオもオンラインで見つかるこの有名作品を読んでみるのはいかがでしょうか。
 ますます気持ちが下がりますよ(苦笑)
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Nymphomaniac

2016年11月19日 | 映画
物心ついた時から性に興味があり、成長するにしたがい心の隙間を埋めるためにひたすら性行為をし続け、それと同時にその理由を考え続けていた女性。
ある日道で野垂れ死しそうなところを親切で穏やかな男性に助けられ、彼の家で体を休めながら自らのこれまでの人生を彼に話しながら自分を見つめ返す。

といった感じの話ですが、とにかく難しいことごちゃごちゃ言っているけどひたすらポルノです。
コメディタッチのところも多々あるのですが、一貫性がなく微妙な感じ。ウケるために入れたけど本意じゃなかったのでやっぱやめようっと、でもしばらくしたら、このままじゃ単調かもー、やっぱちょっと面白くしちゃおっかな?やってみたはいいものの、うーん、やっぱ、こういうんじゃないんだよねー、、、、みたいな。迷走したまま長時間かかってフィニッシュ!325分ですよ!
面白かったシーンはそれなりにあるけれど、一番わかりやすく楽しめたのは、夫が主人公女性と不倫の末家を出て行った直後、妻が3人の小学生くらいの男の子を引き連れて女の家に乗り込むところ。妻ユマ・サーマンのぶっ壊れっぷり、屈折した長ゼリフが面白い。

基本的なところ、なんかツウ好みで人間臭さを芸術的に見せる、強烈だけど格好いい、暗いけれど奥が深い、といったこっち系の映画は好みじゃない。
こういうのわかる私カッコいい!と思えなくって結構!

2 out of 5

ただキャストが非常に興味深い。特にジェイミー・ベルが心に闇を抱えた変態役なのがショッキング。

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A Man called Ove

2016年11月12日 | 洋書
 読み終わりたくない本ってこの作品のような本。
 この本、まだ読んでいない方いますか?
 お薦めしますよ。英語も簡単ですし、何より心温まる。
 そしてユーモアたっぷりで、クスッとくるシーンもたくさん。
 泣いたり(恥ずかしながら色々思うところあってほぼ全編!)笑ったり忙しくて一気には到底読めませんでした。
 実に一年以上かけて読みました。もたもたしている間に映画化されました(笑)

 59歳のOveは最愛の妻に先立たれ、休むことなく働いてきた会社にも早期退職を余儀なくされ、生きる意味を失った生活を送っていた。
 そんな時、新しく引っ越してきた若い夫婦とその子供たちと半ば強引に付き合い始める羽目になる。
 偏屈で頑固なOveだったが、振り回されている内に変化が・・・・

 9 out of 10  最後ちょっと子供じみていたかなぁなんて思ったので一点減点。

 映画はどうしようかな・・・・がっかりしたくないなぁ、大切にとっておきたいなぁ、とも思うし、でもキャストをチェックしたら、近所に引っ越してきたイラン人の奥さんが私が頭の中で思い描いていた人とピッタリすぎて衝撃的でした。それだけでも見る価値がありそう。
 ハリウッドでリメークするなら、数年後一番イメージから遠いトム・クルーズあたりがやるとすっごく興味深いと思う。どうでしょう?


 作品の感想はここまでで、私の話。
 私も Ove の様な所に住んでいてですね、ご近所のあれこれに口うるさくしているタイプなので本当に Ove には共感しながら読んでいたんですよ。やれ、ごみの捨て方がなっていない、パーキングのマナーはどうなっているんだ!と注意してはご近所さんに煙たがられているんです。
 特に Ove同様、車の侵入に関してはもう本当に色々あって。学校の側に住んでいるともう悲惨なんですよね。
 先日はついに私のプライベートパーキングスペースに車を三日も停めたふとどき者がいて大変でした。
 プライベートの敷地だと警察もカウンシルも何もしてくれないんですよ、この国!信じられないです。例えて言うなら自分の庭に誰かが車を停めていても何の手段もなくそのままその車が去るのを待ち続けるだけ。
 そう、まさに以前読んだ The Lady in the Van そのものの状態。私がまさに Alan Bennett と同じ境遇に!「よくわからないけど、昔はそうだったんだー」と思いながら読んでいた私は甘かった・・・・・
 早く取りに来て!と思いながらその車がいつでも立ち去れるようにしていてあげたけれど、最後はやむを得ず Ove がしたようにその車が出られないようにブロック。
 そしたら来ましたよ。車をとりに犯人が!
 最初は「個人の所有地であるから不法侵入に値すること、互いをリスペクトすること、二度と停めないこと」をしっかり言い聞かせて帰してあげようと思ったのに、こいつよりによって、

 「謝ってんじゃん、世界の終わりじゃあるまいし!」

とのたまった。
 一回は聞き流してやったけれど、二度も言ってきた時は

 「ぱぁどぅん?」からの「あんた、今なんて言った?」とスイッチオン!

 こっちがどれだけ大変な思いをしたか、どれだけたくさんの人に迷惑をかけた行為だったのかをしつこくしつこく繰り返してのお説教。 
 一方、Ove 同様こいつ以外のご近所さんたちがとても親切で協力してくれたことが本当にありがたかった。
 自分のスペースに車を停めさせてくれた人、どこにコンタクトをとるかアドヴァイスをくれた人(結局どこも何もしてくれないけど)、町内会に入っている人にメールを送ってくれた人、と本当にたくさんの人たちが関わった。警察も「何もしてあげられないんだけれど」と言いながらも電話に出られなかった私に何度も連絡をくれたり。
 こういう事をちゃんとこのクズに伝えないといけない!と思ったけれど、所詮人に迷惑をかけるのが平気な人間、聞いていたかどうかはわかったもんじゃないな。最後はあっちもこっちもぐったりで終了。
 彼はもう二度と私のところには停めないと思うけれど、お向かいの学校に通わせているママたちとのバトルはまだまだ続く・・・・でも私も Ove 同様、どうしてもこういうの見逃せない!!!そういう性分だとストレスが溜まる溜まる!
 そんな私でもホッとできる時間をこの本がくれました。
 お後がよろしいようで(笑)
 
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No man's Nightingale

2016年11月01日 | 洋書
 人気作家 Ruth Rendell の作品を初めて読みました。
 通勤時間にオーディオブックを聴くことを習慣づけています。
 クライムサスペンスなどのジャンルは特に難しい言葉もなくほどよいスピードで物語も展開していくので聴き読みには一番向いていると個人的には思います。

 町に新しく就任した神父が殺される。
 神父はアイルランド人とインド人のハーフの女性で、昔から教会に通っている町の人々にはあまり受け入れられていなかった。
 人種差別または性差別が原因の殺人であるのか?
 退職した刑事が警察と一緒に事件の謎を解いていく。

 つまんなかったですねー
 そもそもプロットが単純で驚きがないものなのに、そこにあまり関係ない登場人物やエピソードがベタベタと適当に貼り付けられているような印象です。
 主人公の退職した刑事はこの作家のシリーズで現役の刑事として活躍していたらしく、人気キャラクターだったようです。作品の中でも次から次へと登場人物たちから無条件に信頼を得て警察以上に情報収集をするのですが、これまでの彼を知らない「他人の私」にはそこもなんとなく無理がある感じですし。

 レビューを見てもこの作品は彼女のベストではない感じですね。私もあらすじに惹かれたというよりオーディオと本がセットであるという理由だけでで選んだ本なので、また別の機会があったら彼女の作品にもう一度挑戦してみたいです。

 4 out of 10

 とても聴きやすいオーディオですが、クライムサスペンスはできればもう少しナレーションのスピードも急かすくらいの速さの方が気分が上がるのではないかとちょっと残念でした。

 さて、今年中に読みたい冊数から6 books behind です。
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