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hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

君のクイズ

2025年07月20日 | 和書
 数年前に話題になっていた本が手に入りました。
 最初の数ページ、不自然に読点が多くてとても読みづらく、何これ?!と思って「君のクイズ 読点多すぎ」と検索をかけたくらいなのですが、何も出てこず、最近の若い子達はこういう風に習ったのかもなぁ、編集さんも若かったのかなぁ、と流すことにしたのですが、本当に最初の数ページだけで、その後はこれまた不思議なくらい普通でした。意図的だったのか、とも考えたのですが、そこもわからず。
 まぁ読点の位置って結構難しいですもんね、私も毎回悩んでいます。それに文学の世界ではそれはそれで作家の特徴にもなってるらしいですね。気にしなくていいんでしょう。
 内容はなかなか面白かったです。
 これをミステリーとして売り出しているところも興味深い。
 作中主人公が「全てのクイズが自分の生活体験と結びついている」と話しているのが印象的です。

 8 out of 10

 今まで好きだと意識したことはなかったのですが、この作品を読み出して初めて自分がクイズ番組やクイズをやっている動画をよく観ている事に気づきました。
 そこでですよ、気になったのが「高学歴」という言葉です。
 「高学歴」の意味って、昔と今では変わったのでしょうか?それとも私がずっと勘違いしていたのか。
 東京大学を出ていようが札幌大学を出ていようが、学歴に関して言えば同じ「大卒」。そして、東大の学部卒と北大の大学院卒では院卒の方が「高学歴」だと思うのですが、違うんでしょうか。今では偏差値の高い学校に「合格した」事が高学歴と呼ばれているようですね。
 それに結構いい大人がずっと出身大学名の書いた札を首からぶら下げている印象です。
 一般社会ではそんなことはなく、クイズの世界だけの特徴かな。 
 なんにしろ、好きなことを一生懸命する事(クイズの勉強)や頑張ってきた人をちゃんと評価している世の中っていいよな、ってクイズ番組を見ていつも思います。
 
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迷宮

2025年06月03日 | 和書
 清水義範作品です。
 彼の「言葉」をテーマにした作品群がとても好きでしたが、そういえば長編はそんなに好きではなかったかもと思い出しました。
 この作品も悪くはないですが、私の好きな彼の作品とは違う種類のものでした。清水義範ならではの面白さが見受けられないというか。

 6 out of 10

 それにしても日本語だと本ってすぐ読み終わってしまうものですねぇ

 30年くらいぶりに清水義範を読んだので、懐かしいついでに同時期によく読んでた作家を紹介

 夏目漱石 太宰治 
 遠藤周作 宮本輝 沢木耕太郎
 連城三紀彦 清水義範 岡嶋二人
 群ようこ 原田宗典
 悪童日記を中心に海外作品を少々

 なんかこんなラインナップだったような、、、この頃は作家で本を選んでいたみたいですね。
 その他に吉本ばななや宮部みゆき、村上春樹などの人気作家も大体読んでいたかな。
 わー……今検索した感じだと吉本ばなな全部読んでたっぽい、、、、好きだったっけ???
 逆に中学生で「泥の河」を読んで以来宮本輝が大好きだったはずなのに、どれを読んだのか作品名をチェックしても思い出せない。なんでだろう?
 
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嫌いなら呼ぶなよ

2025年05月31日 | 和書
 昔ならエッセイに書かれていそうな文章が小説の形で出されて、最近の人気ジャンルとなっているのはこの子たち(作者のこと言ってます)が先駆けだったのではないかな。
 20年遅れて初めて綿矢りさの作品を読みました。
 とても読みやすくて、最初から最後まで楽しみました。
 ただ、この作品のみならず最近日本で人気のあった作品群を読んでて思うことは、お金を出して買って読みたい本じゃないかもなぁということです。
 子供の頃から本に関してだけは金額を気にすることなく読みたいものを購入してきていますが、ここのところ日本の本を読む度そういう気持ちを持ち始めました。面白いと思うことと価値があると思うことが乖離するってどういうことでしょうね。少額なのに、、、

 7 out of 10

 この作品も8月に英訳されて発売されるみたいです。
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一人称単数

2025年02月24日 | 和書
 すっかり忘れてたけど、2023年に帰国した際に購入して読んだ久しぶりの村上春樹。
 実は20代の頃は村上春樹をたっくさん読んでた私。
 そして
 
 村上春樹好きの男は自分の事が何よりも大好きで酔いしれがちだから気をつけた方が良い

という考えを確立?させていた。
 それはさておき、最後に読んだのは「海辺のカフカ」かも?というくらい遠ざかっていたんですね、特に理由はないけれど、多分ねじまき鳥からあまりわからなくなってきてカフカで(村上春樹を)諦めたんじゃないだろうかしらん。
 
 久しぶりに読んでやっぱり彼の文章とその世界観は好きだなぁと思いました。
 特に猿の話が好きでした。

 ちなみにですけど、本当に好きでいっぱい読んでたのですが、村上春樹は一冊も所有していないという不思議。
 もしかしたらスプートニクのハードカバーが実家にあるかもしれませんが、基本手放さないはずなのに謎すぎます。
 
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おいしいごはんが食べられますように

2025年02月08日 | 和書
 友達が読んでモヤモヤしたみたいで、何度か話題にしてたので読んでみました。
 こういうのが小説として出版されて評価される時代なんだなーというのが私の感想です。
 それなりに面白かったです。
 
 7 out of 10

 英語で出版されたらどういう評価がされるのかが楽しみですね。
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お探し物は図書室まで

2024年12月27日 | 和書
 たまにはこういうほんわか系も良いですね。

 9 out of 10

 普段読まない分新鮮でしたし、癒されました。
 減点は、各作品の主人公が似たような性格をしていることです。みんな素直で感受性が高い。キャラを立たせるために躍起にならないという意味では逆に好きかもしれないですが、それにしてもちょっと気になりました。
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おしゃべりフランス料理考

2024年09月22日 | 和書
 なだいなだの大昔の作品。
 フランスで食の街と呼ばれるリヨンに旅行に行くと話したら友達が貸してくれた年代物の作品。
 なだいなだの作品は子供の時に好んで読んでいた記憶があり、今リストを見ても中高生の私が一体何をどう気に入って読んでいたのかさっぱり思い出せないのですが、根本的な文体の好みは変わっていないのでしょうね、とても好きな感じの作品でサラッと読めました。
 なだいなだは奥さんがフランス人で、この本でも日本でいかにしてフランスの家庭料理を作るのかの苦労話をしています。そしてどちらかというと私達がイメージしている高級でおしゃれなフランス料理よりももっと家庭的なお料理について語っています。
 私が今回訪れたリヨンは、偶然にもブションと呼ばれるフランスの家庭料理を振る舞うお店が有名な街。
 フランスのワインはこの地方のRhôneが好きだし、とっても楽しみに行ってきましたが、、、、、
 ソーセージや魚のすり身が名産(私は練り物が苦手)、全体的にドカッとしてて大味なものが多くて、正直苦手でしたー
 私はなだいなだがなんと言おうと、小ぶりでオシャレなフランス料理が好き!
 ちなみに有名なフランス人シェフ、ポール・ボキューズの名前のついたレストラン2軒(本店ではないけど)に行ってきましたが、こちらもお皿のプレゼンもそんなには凝っていなかったし、ポーションは結構しっかりしていました。
 お料理についての蘊蓄本もたまには読んでみるのもいいですね。

 7 out of 10
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フランスふらふら一人旅

2024年09月15日 | 和書
 ここ数年モダンアートの美術館のメンバーになって、オノヨウコ展や草間彌生なんかを観てきたのですが、やっぱり自分はクラシックの方が好きだと改めて実感し、今年はナショナルギャラリーのメンバーになりました。
 来週からゴッホ展が始まりますし、来月にはパリに行ってオルセーに行く予定もあります。
 するとどういうわけか偶然にも友達からこの本が回っていくるという不思議。来月の旅行はまさにモネの家と庭に行くのが一番の目的なのですから、驚いてしまいます。

 こちらの本は美大で西洋美術史を学んだ漫画家さんが大好きなモネの足跡を追った旅をするというもの。漫画です。
 作者の情熱が100%で伝わってくるのですが、それでいて情報もきちんとわかりやすくまとめてある良作でした。旅の参考にさせてもらえそうです。

 つい最近知り合った方と絵画の話で盛り上がり、素人でもわかりやすく美術を学べる山田五郎氏の動画を教えてもらいました。
 もちろん全部を全部信じるわけではありませんし、基本絵の解釈については通説を踏まえてその上でそれぞれ自由にしたっていいと思っているのですが、例えそれが正確な情報ではないとしても前準備ありで鑑賞すると何十倍も楽しめますね。この漫画作品の作者なんかは知識のみならず技術的な面にも精通しているのですから私の120倍くらいモネの庭も美術館も楽しめたでしょう、羨ましい限りです。

 とても読みやすい丁寧な作品。気に入りました。 8 out of 10

 
 
 
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成瀬は天下を取りにいく

2024年08月20日 | 和書
 先日日本から来た友人が「すぐに読めちゃうから、わたしの滞在中に読んじゃいなよ」と期間限定で貸してくれた。
 表紙にもタイトルにも全然興味が持てなかったので、「忙しいから無理かも」とやわらかく?断ったのだけど、なかなか強く推してくる。
 そんなわけで結局読んだんですけど、

 これって大人の読む本じゃなくない?

 ってのが私の感想であります。
 面白かったですよ、充分。
 ただ中高生対象としてマーケティングした方がいいのでは?と思った次第であります。

 さて、なぜ私の友人が強く薦めてきたのかといいますと、同様に、一般が読むものとして売られていて、しかも本屋大賞なのにこの内容というのが引っかかって、私にも確認したかったらしい。彼女の場合は中学生の娘がいるのでちょうど良かったけれど。
 
 私は本屋大賞がどういう賞なのか知らないですけど、なんとなく幼い内容のものが多い気がして、SNSで話題の本といわれているもの同様あまり手を出さないようにしています。偏見かもしれませんが。

 6 out of 10

 わー、今写真をアップしようとしてAmazon見たんですけど、随分評価が高いんですね、、、、さすがに過大評価かも。
 中高生対象だとしても、もっともっと読んだ方がいい作品は世の中には山ほどあるというのに、、、、
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今年最初の一冊「君たちはどう生きるか」原作漫画

2024年01月01日 | 和書
 ただいまこちらでジブリの「君たちはどう生きるか」上映中で、うちの子も観に行っていましたが、10人近い集団で行ったにもかかわらず、誰1人よく理解していなかったとのこと。日本でも「難しい」という意見が大半だったとか?
 一方、偶然にも時を同じくして原作漫画を読んでいた私は、とってもわかりやすくスラスラと読み終えてしまいました。
 子供に向けたちょっとした哲学書なので、設定的には昔懐かしい「ソフィーの世界」と似た感じです。語り調がとても似ているのです。
 ただ、やや理想論すぎるので、純粋に受け止めてしまう若い読者がいたとしたら、この先ここに書かれているような考え方をしない人間の方が大半だという現実に何度も遭遇し心を痛める事になりかねません。
 そういう意味では、映画の方は内容とメッセージがうまく噛み合っていない気がする、という意見もチラホラ聞こえるので、かえってそれで良いのかもしれませんね。

 9 out of 10

 個人的にはとても共感する考えなので好きですが、その分だけとても生きづらいんですけど?と思ってしまいます。
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大奥

2023年12月30日 | 和書
 ドラマも漫画もとっても良かった!
 
 10 out of 10
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押入れのちよ

2023年12月29日 | 和書
 ホラー短編集。
 読みやすくて、サラッと読了。
 昔好んで読んでいたタイプの作品集で、面白かったですねぇ。

 8 out of 10

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オリンピア・キュクロス1-4

2023年08月16日 | 和書
 テルマエ・ロマエの作家による、今度はギリシャと日本のタイムスリップ漫画。
 こういうとただのテルマエ・ロマエの焼き直しみたいにきこえるかもしれませんが、いやいや、なかなかチャレンジングな作品であります。
 作者の大胆さに脱帽!

 
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夜明けの図書館1-6

2023年08月12日 | 和書
 図書館司書を主人公にした漫画。
 ほのぼのとした心温まる絵とストーリーではあるけれど、社会問題にもなかなか鋭く切り込んでいるところが興味をそそる作品でした。
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べつの言葉で

2022年12月25日 | 和書
 ジュンパ・ラヒリがイタリア語で書いたエッセイ。
 彼女がイタリア語に憧れ、ハマり、家族を引き連れてローマに移住した時の体験や心情を綴っている。

 春先に友人から譲り受けた日本語訳の作品でしたが、思うところがありすぎて感想をなかなか書けずに今日まできました。
 私とこの友人を含むファンも多くいて大成功している作家の言語に対する考え方や向き合い方がとても印象的な内容。

 本当に本当に感じることや考えることが多すぎて読後しばらく引きずった作品です。
 そして私の今年のナンバー1作品です。

 10 out of 10
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