管理人のうちなーライフかりゆし日記

管理人てぃんがーらが沖縄の生活を綴ります。

沖縄の史跡4 天女伝説発祥の地・森の川

2012年08月04日 | 博士の研究日記

「天女伝説の発祥の地」、宜野湾市真志喜にある森の川です。
 今からおよそ690年前のことです。浦添間切大謝名に住む奥間大親という若者がおりました。彼は非常に貧しい百姓で、嫁を迎えることもできずにおりました。
 ある日の夕暮れ、農作業の帰りに手足を洗おうと思って森の川に立ち寄ると、なんとこの世の人とは思えない美しい女性が水浴しているのを見かけました。
 奥間は泉に忍び寄り、木陰から覗いていましたが、ふと気づくと、とてもきれいな羽衣が頭上の松の枝にかけてありました。
「これはあの美しい女性の着物に違いない」
 奥間は羽衣を枝から取ると隠してしまいました。
 女性は、羽衣が無くなっていることに気づき、泣き崩れました。
 そこで奥間は女性に声をかけました。
「これはどうなされたのですか?あなたはどこからいらしたのですか?」
「私は天女です。泉で水浴している間に飛衣がなくなってしまいました。それがなくては天界に戻れません。どうしたらよいのでしょう」
奥間は心の中で喜び、
「それでは私が探しましょう。見つかるまで私の家でお待ちください」
と家に誘ったのです。
奥間は蔵の中に羽衣を隠すと、
「いくら探しても見当たりません」
とごまかしました。
 二人は夫婦の契りを結び、二人の間に一男一女が生まれました。
 ある日天女は、娘が弟の子守をしているときに、
「母がよ 飛び衣やよ
 六ち股ぬよ 八ち股ぬよ
 倉ぬ下ねー 隠ちぇーくとぅよ」
と歌っていることに気づきます。そこで歌のとおり蔵の中を探してみると飛衣が見つかります。
 天女はそれを身に付けると、子供に名残を惜しみながらも天に昇っていきました。
 これが天女伝説です。

沖縄県名勝 宜野湾市 森の川
                     1967(昭和42)年4月11日指定
                     2000(平成12)年5月19日追加指定
名勝「森の川」は天女が降臨し沐浴したという「羽衣伝説」の舞台となったところです。「球陽」などの古文書によると、天女は奥間大観なるものと結婚し、一男一女を授かり、のちにその男子は中山王察度になったと記されています。
察度王は1372年に公式に初めて中国明と外交を開いた人物として知られています。
泉の東隣には村の聖地であるウガンヌカタがあり、そこに立つ石碑(西森碑記)に、泉は1725年に向氏伊江家の一族により、石積みで建造されたことと、そのいきさつが記されています。
この泉はまた真志喜の重要な泉で、子供が出生したときの産水、正月の若水をとる泉であり、地域の方々との結びつきが深く、大切な場所です。
 2003(平成17)年3月設置 沖縄県教育委員会 宜野湾市教育委員会

 つまり現代に置き換えると、こういう話ですね。
 ある日、美しい女性が一人で沖縄観光に来ていたのですね。彼女はサンゴ礁の海に惹かれて、ビーチで泳いでいた。そこに奥間という、いなぐじょーぐーが通りすがったわけです。彼女の美しさに奥間はのぼせ上がってしまった。
「あきさみよ~!しに、ちゅらさぬ、いなぐーやっさー」
ふと見ると、彼女のバッグが砂浜に置いてある。奥間はバッグを隠してしまった。
 女性はバッグが無くなっていることに気づくと泣き出してしまった。
そこで奥間は女性に声をかけた。
「ちゃーさびたがやいびーがやー?」
「私は東京から来ました。私のバッグが無くなってしまいました。バッグの中には、着替えと財布と帰りの航空券がはいっているのです。バッグがなければ家に帰れません」
奥間は心の中で喜び、
「あい、でぇ~じなとん。我んが、とぅめーびーんなら、うんじゅや我ったー家でゆくてぃうとーてぃくみそーれ」
と女性を家に誘って、あろうことか子供まで作っちゃたんですねえ。

 これって、もしかしたら犯罪なんじゃないの? 今やったら、絶対に犯罪ですよ。
 下手すると、いやしなくても、天上界とうちなーの外交問題にも発展しかねない犯罪を、この奥間という男はしでかしちゃったわけですねえ。ただ、天上界から告訴されたという話はいまだもって無いようです。これは親告罪で天女は被害届けを天上警察に出さなかったのでしょうかねえ。閑話休題。


 こうした天女伝説は全国各地にあるようですが、近隣の那覇市銘苅にも同様な伝承が残っています。銘苅では銘苅子という若者が登場します。ただし、察度王への結びつきは無いようです。
 為朝伝説もそうですが、おそらく国王の権威付けのために創作されたものなのでしょうね。

 さて、伝説によるとこうして残された子供が察度でした。前回、黄金宮でご紹介した後の中山王となる人物です。
 察度は王になると、明国との貿易を始め、当時先進国であった中国の高度な文化と鉄などを輸入し、それによって作った農工具等を農民に与え、その後の琉球国の繁栄をもたらしたのでした。
 
 私の前にも天女が現れないかしら。

 



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7 コメント

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Unknown (☆アルファ☆)
2012-08-04 08:45:59
全国各地に悪い男がいっぱいいるのですね。
女性は気をつけてください。
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コメントありがとうございます。 (管理人)
2012-08-04 09:25:09
アルファさん、

そう、そう。
娘を持つ親としては、心配です。

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上手い語り口に笑って・・・。 (稗島千江)
2012-08-04 10:43:54
嫉妬心からコメント出来ずにいました。
え!何を嫉妬したかって?舌を巻く文章力に対してですよ。上手いな~と思いました。
読んだ人は前回のお話と合わせてそう思われた事でしょう…。
ていんが-らさん。アルファさん。ご用心!現代は、そう甘くありません。女性の方が強くなりました。被害者の振りして、加害者だったりするんですよ。な~んて、皆様の周りは優しい女性ばかりでしょう?良かった!
でも、お話と云えど、子供まで出来たのですから、というより、「共に白髪の生えるまで。」となぜ天女は思えないのか、そこが不思議なのですよね。逃げちゃう話が多いですよね。
無責任!実は私も逃げた口なので、えらそうに言えないですが。モチ天女ではありませんが。
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コメントありがとうございます。 (管理人)
2012-08-04 10:53:57
稗島さん、

確かに女性は強くなりましたなあ。
私なんか、被害者の代表でしょうねえ。
なんで嫁は逃げてくれないのか。
ン十年、家に居座っています・・・。
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Unknown (gracias)
2012-08-04 18:54:48
奥さまがどっか行っちゃったら、一番こまるのはどなたでしょうか(笑)


私は、浮気者の旦那を追い出しちゃった方なのでなんとも…(^_^;)

あ、でも家は私の名義だったので 私が出て行く理由がなかったのですが(笑)

実家のある滋賀県にも 天女の羽衣伝説がありますが
天女は子供までは産んでなかった気がします…。


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Unknown (ちんちらぽっぽ)
2012-08-04 22:58:35
どえらいエロいお話ですなぁ~
あっはははは・・・・
小生ならデジカメで写して、ばら撒くぞと脅して
金を巻き上げる って、、、やっぱり犯罪や!
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Unknown (osakaken)
2012-08-06 08:42:52
今日は「広島原爆の日」ですね。8月になると どうしても
沖縄の事や 戦争の事が 頭から離れません。

天女伝説・・良い話!

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