最北端の2日目、朝食前の稚内港散策で最北端のしばれる寒さの洗礼を受けた後、雪降る中、いよいよ流氷岬へ出立です。
エゾジカに見送られるや 雪ふるなか
観光バスの中からですが、夫婦(めおと)らしきエゾジカ2頭が立ち止まって私たちを興味深く見とめたように思え、とても親近感を覚えました、勝手解釈ですが・・・。
砕け寄す白波雪の海岸線
「矢羽根つきポール」を見ますと、この時の積雪はこの地ではまだたいしたことではないようですが、砕け寄す白波は東京育ちの私には怖いものでありました。
美しや怖くもありぬ雪景色
雪見るは美し暮らすは易からず
雪の中の家並みを見た時、童話の世界をイメージして楽しかったのですが、道路脇の積雪の高さには怖さを覚えました。大雪の中での生活も大変なんだろうな、とも思いました。
流氷を砕き打ち揚ぐ自然力
こんな巨大で数多い氷塊を人間が陸に打ち揚げることを考えると、自然力のなんと巨大なことか・・・。
流氷の旅路の果ての北海道
海の幸よぶ流氷の到来す
流氷原見れる見れるぬ風次第
ツアーガイドさんの説明では、北海道に流れ着いた流氷は、アムール川の河口でできた氷が南下しながら成長してきたものとのことです。渡り鳥が航路迷わず日本と世界各地を行き来することもすごいと思いますが、流氷が大海原を旅して日本に到来するこの自然の営みには言葉がありません。畏怖という感情でしょうか。八百万の「もの」、八百万の神を敬い畏怖する日本人の信仰心は、自然と自然の一部でしかない人間との関係に実に素直で、しかも自然の理に合った関係性を自然と築き上げているのではと思います。
流氷は、オホーツク海の漁港に海の幸をもたらしています。流氷にはアイスアルジーという植物プランクトンの餌になる苔がつき、そのプランクトンが小魚を、そして小魚が大型魚類を連れてくるといわれています。
この流氷が日本の沿岸に近づくも遠ざかるも風次第とのこと。風の力の凄さを改めて知った次第です。北海道の冬は不順な天候の日が多く、先ず流氷に出逢えるか、また出逢えたとしても観ることのできる天候か?全てお天気任せの運次第とのことです。
こんな流氷原 出逢ふは稀とガイドさん
この日はここに来る途中雪に降られましたが、ここに着く頃は青空も見え、流氷原が岸近くまで風に運ばれてきていたのです。
ガイドさん曰く、こんな流氷原を見れるのは年にそうないとのことです。今回のツアーには、13回目で今回初めて観れたと言われる方もおられ、初回で見れる私はラッキーそのものです。これで、天候不順で危ぶまれている翌日の東京への飛行機が無事飛べば、パーフェクトと思いました。
流氷原 船はガリンコ胸はワクワク
流氷原 進むガリンコねじ原理
いよいよ流氷砕氷船ガリンコ号に乗って流氷原に行きます。ガリンコ号を見回した時、これは大きなネジを進行方向に2本並べ、回転させて流氷原をよじ登りながら進むのだろうと勝手に解釈しました。「ガリンコ」とはこの推進方法の様とその音を連想させる名前を付けたのではと思いました。氷菓子の「ガリガリ君」も似たようなうまい命名です。
氷片のみつる沿岸北の果 果:はて
ガリンコ号に乗るとすぐにこの光景に出逢いました。どのような原理がH2Oのこのような現象生み出すのか分かりませんが、自然の造形力に改めて感服です。同時に、水中は冷たいんだろうなとも思いました。
冷たさう流氷かこむシヤーベット
こんな流氷原 出逢ふは稀とガイドさん
流氷の間に淡き翡翠色 間:はざま
真白き流氷原で翡翠色に出逢うとは予期せぬことで、その淡さに魅せられました。この景に出逢った以後、この翡翠色を帯びる流氷の塊を探し、ついに見つけました。
競り上がる流氷あわき翡翠かな
流氷の下にクリオネきつとヰるはず
「流氷の天使」、「氷の妖精」と呼ばれるクリオネは八景島シーパラダイス(横浜市)とサンシャイン水族館(豊島区)で見、そのかわゆく美しい姿に魅せられました。日本名はハダカカメガイでサイズは1~3㎝、浮遊性の巻貝を食べる肉食です。この海では当然見れないと思いつつも、いざ流氷現場に来ますと、「ここにいるんだ~」と想像逞しくしながら、流氷の下の冷たく深い藍色の澄んだ水を見つめていました。
このガリンコ号の遊覧で、今回の旅の目的は120パーセント達成、という気分になりました~!!!