日々あらたに

3/11の大震災以降、数多くの変化が起きています。その変化をとらえ、新しい時代について観察を続けていきます。

中国のバブルはどうなる?

2011年08月31日 | 日記

今や日本を抜いて世界第2位のGDPを誇る中国。その中国がこのまま高成長を持続できるか?あるいはバブル崩壊の懸念ありか?

・・・ここのところ、雑誌での特集やシンクタンクのレポートも多くなってきたので、少し見てみたい。

 

 中国経済のクラッシュに備えよ(日経ビジネス7/26

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国の政府系金融機関の不良債権問題について悲観的な推計を発表した。中国は、地方政府に影響が及ぶ不良債権の規模を5000億ドル(約39兆円)ほど過小評価しているという。中国は2010年10月以降、5度にわたった利上げを実施しているにもかかわらず、物価上昇率は現在6.4%で、2008年以 降で最も高い水準にある。一方、2011年第2四半期(4~6月期)のGDP(国内総生産)成長率は9.5%に鈍化し、過去2年近くで最も低い数字になっ た。 

・・・現在、中国の経済生産の9%は住居用不動産への投資が生み出している。この割合は2003年には3.4%だった。建設ラッシュが長く続き、ついに供給が 需要を上回っている。英スタンダードチャータード銀行によれば、中国のマンション売れ残り在庫は2010年夏には皆無だったが、現在は約3カ月分あるとい う。

・・・マンション価格が急落した場合、中国の一般国民は貯蓄を失い、地方政府は住宅・商業不動産に投資するために借り入れた資金が返済できなくなる。・・・一部の地方政府は、不動産開発用地の売却によって歳入の6割以上を得ているという。不動産市場 が暴落したら、土地の買い手はほとんどいなくなる。さらに不動産市場の暴落は、中国の鉄鋼メーカーやセメントメーカー、家具メーカーなどの業績悪化にも直結する。・・・ (ここまで引用)

 

 中国バブル(週刊エコノミスト 8/2)

猛スピードで突っ走る欠陥車。こんな言葉が欧米の金融関係者の間で語られている。現在の中国を表現した言葉だ。中国は今、加速するインフレにブレーキをかけようと必死だが、景気の急減速が不動産バブルを崩壊させかねないジレンマに身動きがとれなくなっている。あれこれ手立てを打とうにも制御不能で、いつどこで大事故を起こしてもおかしくない状態だ。

・・・不動産バブルの崩壊は中国の金融システムを壊しかねないが、一方で不動産バブルの膨張にも限界がある。それはインフレが深刻さを増しているからだ。・・・このまま金融を引き締めなければインフレが加速して国民生活を破たんさせてしまう瀬戸際にある。・・・ (ここまで引用)

 

 チャイナ・デフォルト(富士通総研 8/26)

中国経済は年率10%前後の成長を続けている。インフレが高騰しているが、政府は適度な金融緩和の維持(胡錦濤国家主席)と政策の姿勢を変えていない。インフレを抑制するために、金融引締は必要だが、中国経済を取り巻く外部環境が急速に悪化しているため、思い切った引き締めができない。そのなかで、中国の 地方債務問題は急浮上している。

・・・結論的に地方債務はすぐに債務危機に発展しないかもしれないが、デフォルトの潜在リスクが常に存在している。今後、経済政策の動向により地方政府債務のデフォルト問題が急浮上してくる可能性がある。債務問題が危機に発展するのを未然に防ぐために、その内容を明らかにして、地方政府として債務のスリム化に取 り組むことが求められている。・・・ (ここまで引用)

 

 中国経済の見通しニッセイ基礎研究所 8/26)

・・・住宅販売価格は、上海市や北京市などの大都市では上昇ピッチが鈍化、販売量も大幅減少するなど調整ムードが高まっているが、東北部や内陸部の地方都市では最高値更新が続いており、販売量も3ヵ月連続で増加するなどバブル膨張の懸念が再浮上している。

 ・・・国際商品市況の低迷で消費者物価上昇率が鈍化するとみられることから、利上げは今秋を最後に一旦停止される可能性が高まった。但し、中国のインフレの根は残っており、世界経済が回復に向かう2012年秋頃にはインフレ懸念が再燃すると予想している・・・ (ここまで引用)

 

 週刊エコノミスト8/2号では“崩壊へ秒読み中国バブル”というタイトルで、詳しく説明されているので、興味のある方はそちらを読んでもらいたいが、

主なポイントは、不動産価格の高騰と加速するインフレにより、政府としても制御不能状態(バブル状態)になりつつあるが、(そうは言っても)下手に手をだすとバブル崩壊から金融システムの崩壊にまでつながるのではないかという恐れがあり、非常にリスクが高まっている・・・ということ。

歴史を振り返ると、日本では、1990年の大蔵省(当時)による不動産融資の総量規制を契機に一気にバブル崩壊へとつながったが、中国はこの先どうなるのだろうか?国家体制を含め、政治、経済等様々な矛盾が一気に噴き出すのか?あるいは、国家主導で崩壊をとどめることができるのか?

特に、週刊エコノミストの記事だと、いつバブルがはじけてもおかしくない・・・という書き方。他のレポートでは、そこまで差し迫ってはいないが、バブル懸念は高く、十分注意する必要があるという感じか。

まあ、どちらにせよ、今のうちから、用心するに越したことはない。

日本はすでに2004年から日中貿易が日米貿易を上回り、最大の貿易相手国になっている。・・・そのため、隣国中国の動向は日本の様々な産業分野への影響も大きく、好む好まざるにかかわらず、その動きは注視していかざるを得ない。今は、アメリカ国債問題、それに続く、円高、株安、あるいは欧州経済危機等でもちきりだが、この中国の動向も随時ウオッチしていく必要がある。



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