三井物産戦略研究所が出した、2012年の世界政治・経済展望(2011/12/22)というレポートを読んだ。
そのレポート内の、2012年に期待されるイノベーションと技術動向に含まれる“動き出す海洋資源開発”は、今後の日本にとって明るい話題の一つ。以前のブログでもこの研究所のレポートを紹介したが、明るい話題は何度も紹介したい。
少し引用すると、
未開発のエネルギー資源、鉱物資源が日本の海底で発見され、注目を浴びている。・・・鉱物資源に関しては、「海底熱水鉱床」が発見され有望視されている。ほかに「コバルトリッチクラスト」と呼ばれる堆積型のマンガン酸化物が海底の岩盤上に広範囲に存在していることもわかってきた。
・・・これらの海底資源の埋蔵量は調査段階であるが、・・・海底熱水鉱床が7.5億トン、コバルトリッチクラストが24億トン、メタンハイドレートが12.6兆㎥賦存している可能性があると試算している(図表15)
海底熱水鉱床の6割、コバルトリッチクラストの2分の一弱、メタンハイドレートの3分の一が回収可能だと仮定すると、
海底熱水鉱床に含まれる金属成分の地金価値は約80兆円、・・・
コバルトリッチクラストに含まれる金属成分の地金価値は約100兆円、・・・
メタンハイドレートの資源価値は天然ガス換算で約120兆円、・・・
となり、合計で約300兆円規模の資源価値が見積もられている。・・・
まさしく資源立国とでも言えるほど恵まれた海洋資源。
文部科学省が、総額220億円を使い、2012年から、調査船や無人探査ロボットの開発、建造を4年かけてやるらしいが、これは非常に有益なお金の使い方。
(・・・それに比べ八ツ場ダムひとつに約4600億円(2009年度までに3330億円が使われ、残事業費は1248億円・・・らしい)も投じているこのアンバランスなお金の使い方。
日本の政治家にとっては、何が国益なのか、あるいは、国全体に対する将来利益は何か・・という発想はほとんどないのだろうな。・・・と、ついつい怒りがフツフツと湧き上がってしまったが・・・。)
・・・それはさておき、この日本近海の恵まれた資源を現実の利益に変えるためには、もっともっと日本の技術や、それを支える人材に先行投資をすべきである。これからの日本を支える若い技術者の人材教育にどんどん投資すべきである。
2012年は、震災からの復興元年であると同時に、未来を創り出すための先行投資元年とでもいうべき時代にする必要がある。・・・こういう厳しい状況の中でこそ、投資すべき市場、技術、あるいは人材の選定、・・・これができるかどうかが、試される年になるのではないか。
・・・どうしても、現実の様々なリスクや、ハードル、あるいは、マイナス報道に暗くなってしまいがちだが、今だからこそ、未来に対し、前向きなアプローチをとっていきたい。
海洋資源の話が、ついつい拡散的な話になってしまったが、もっともっと前向きな話題も見ていきたい。