日経に掲載された“変わる日常 3.11”という連載記事(5/4~5/10)を読んだ。
被災地は依然として復旧・復興に追われているが、この厳しい現実を前に被災地以外でも働き方や暮らしを見つめ直す人が増え、新しい仕事のあり方を探りはじめた。そこで、この“変わる日常”でおきていることを追うことにより、新たなビジネスチャンスを探ってみる。・・・という内容の連載である。
タイトルを列挙すると、
夏時間が新市場をひらく(「1時間」の乗数効果)
企業の視線、地方都市に(「選択と分散へ」)
冷やさない夏商戦に熱(残業難民逃がさない)
生産と消費の二人三脚(「食」で被災地を応援)
問題意識共有、速く深く(「つぶやき」がつなぐ) である。
そこで、これらの記事の中にでてくるコメントや紹介された会話文をいくつか拾ってみた。
フライパンの売れ筋が変わった。これまでは直径24センチが主力だったが、いまは28センチが人気。
退社後は妻に代わって娘を保育園に迎えに行く。「夕食は得意のイタリア料理をふるまいたい」(34歳男性)
婚約指輪や結婚指輪の売上が4月に前年比2割伸びた(伊勢丹 新宿店)
「退社後に英会話を勉強したい」(41歳女性)、
「明るいうちにジョッキングができる」(都内で働く29歳女性)
「涼しいのでクーラーもいりませんよ。」
(北海道南西部にある倶知安町が有楽町で首都圏のIT企業対象に企業誘致説明会を開催)
「一刻も早く操業を再開したい」
(被災した東北の工場幹部が岐阜県の工業団地を訪れた)
「暑い夜には外に逃げ出す時間が早くなりそうだ」と話す、マーケティング会社に勤める男性(31歳)
長野県でペンションを営む江口さん(46歳)は長期に渡って宿泊する客向けの格安プランを作った。
「消費者の声を直接聞ける。よりよい産品の生産につなげたい」
(宮城県漁協組合浦戸支所、小泉さん36歳)
「僕らにできることは大いに飲んで食べる応援消費だ」
(バー常連客の男性35歳)
「受験のパワースポットとして町の復興につながるだろうから、若い人に知らせて」
(宮城県石巻市にすむおばあちゃんが孫に頼んだ)
「いろいろなところに分散しているアイデアを吸い上げたい」
(「復興のタネ」というサイトを立ち上げた佐藤さん)
あえて詳細な説明を省いた。これらの言葉から、なぜ?を考えたり、どういう市場や、モノ、コトがビジネスとしてありそうなのか、自分なりに色々想像してみることが、“変わる日常”でのマーケティング力を強めることができるのではないか・・・と考えたからである。
夏時間の導入により時間の利用の仕方が変わる。集中から分散により新たな需要が創造される。就業時間が過ぎればオフィス温度が上昇する。上着を着ないで出勤する男性むけ日焼け止めクリームの需要が増える・・・時間、場所、価値観、様々な変化が新たな需要を創造する。
ただ待つだけでなく、何が変化するかを想像しながら市場を創り出すチャンスが到来した。