松阪いさおと中央区を元気にする会

中央区民をはじめ広く大阪市民の皆様の意見をお聞きして大阪市政に提言する政治団体です

「広域行政一元化条例」審査請求は却下されました

2021年07月07日 | 市民の方々との対話
いわゆる「広域行政一元化条例」に対する審査請求を
大阪市に対して4月末に出したところ、
6月の末に「却下」する旨の裁決書が届きました。
却下理由は、そもそも審査請求の対象は行政の個人の権利利益にかかる処分が対象であって、
この条例は直接住民の権利義務や法的地位に影響を及ぼすものではないとして審査請求の対象ではないとするものでした。
つまり、この条例が「行政による処分」ではないので審査請求の対象ではないから却下する。
いわゆる「門前払い」ということでした。
今回の審査請求の内容であるこの条例の違法性については、
審査すらしていませんよというお返事でした。
「なんじゃそら」という感じです。
いろいろ問題のある裁決書ではありますが、この裁決の問題点について3点にまとめてみました。

①処分庁と審査庁が同じという欺瞞
今回裁決をおこなったのは「大阪府・大阪市副首都推進局」です。
この条例の案を作ったのも「大阪府・大阪市副首都推進局」です。
つまり、自分で作った条例について自分で正しいかどうか判断しておられるわけです。
これで客観的な正しい判断ができるでしょうか?
審査請求の内容を審査するのは、行政不服審査法にあるとおり「決定に関与したもの」は審査できません。(行政不服審査法第9条)
にもかかわらず今回の審査は処分庁である「大阪府・大阪市副首都推進局」自らが行なっています。
これはいわば犯罪者が自ら裁判官となって自分が有罪かどうか判決を下すようなものです。
大阪市民への背信行為でありまったくの欺瞞です。

②「条例は行政処分ではない」は本当か
裁決書では「(この条例が)特定の個人の権利義務ないし法的地位に直接具体的影響を及ぼすものではないため」
行政処分に該当しないので「却下」するとしています。
この条例は施行されることにより大阪市民はまちづくりに関する決定権を失い、
かつ吸い上げられた税金の使途についても口出すことができなくなるという
市民としての権利を失うことになるのですから行政不服審査法に基づく審査請求の対象となるはずです。
行政不服審査法には「特定の個人」などとはどこにも書かれておらず、
「国民の権利利益の救済を図る」ことが目的と書かれているだけです。

近年の判例を見てみると
「一定範囲の者の具体的な権利義務ないし法的地位に直接の影響を生じさせ、
行政庁の処分と実質的に同視することができるような例外的な場合には、
行政処分と解する余地があるとする限定的肯定説が、支配的な見解となっている」
(広島修道大学川内劦2011)とあり、
特定ではなくとも一定範囲の者(いわゆる大阪市民)の権利に影響を与えるものは条例であっても行政処分とする考え方もあるわけです。
こういった考え方も無視して処分性がないなどと言い切れるのもやはり処分庁と同じ人が審査庁になっているためだと思います。

③条例の違法性を判断するのは裁判所だけ?
このような違法性の高い条例が制定された場合、
今回大阪市が裁決したように条例を行政不服審査法の対象としないのであれば、
その違法性を判断するのは裁判所しかないのでしょうか?
訴訟に訴えるためには弁護士さんの力を借りなければ一般市民には難しいところがあります。
弁護士さんに頼めば費用もかかりますので
一般市民は泣き寝入りをしなければならないということになってしまいます。
これほど大阪市民の権利と財産が蹂躙されている条例であるにもかかわらず、
裁判所でしか判断できないとなればたいへん問題があると私は思います。

今後の闘い方
この条例の評価について巷での一般的なものは
「脱法ではあるが違法ではない」という考え方でした。
誰も裁判など考えていないようです。
誰もが訴えないのであれば、
私一人ででも裁判所に提訴しその違法性を裁判所で判断してもらうしかないのかなと思っています。

こんな理不尽なことを黙って見過ごすことができません。
大阪市民の権利と財産を守るために誰かが声を上げなければならないのです。
たとえ一人の闘いになろうとも闘いぬく覚悟です。