「わっしょい、わっしょい!」
春になると、神戸、東灘にはだんじりがやって来る。
リズミカルな太鼓の音と、子どもたちの笑顔と共に。
“だんじり”、毎年、GWに行われる、情緒あふれる東灘
の伝統行事なのだ。
子どもの頃は毎年、“だんじり”が楽しみだった。
大人になった今となっては、あまり見なくなっているの
だけれど、だんじりの太鼓の音が聞こえてくると、今でも
胸が高鳴って、ワクワクしてくるのだ。
“だんじり”・・と聞くと、「大阪?岸和田?」、そう思う人も
多いのかもしれない。
でも、驚くなかれ、実は神戸も立派なだんじりの街なのだ。
神戸市が保有している地車は、43台。
その中で、東灘区に31台。
東灘は、特にだんじりが賑やかな街だ。
毎年GW前になると、どこからか聞こえてくる、太鼓音。
懐かしくて、そして楽しい気持ちになってくる。
「あぁ、もうこんな季節か。」
春を感じさせる、明るい未来の兆し。
それが、私にとってのだんじりなのだ。
「わっしょい、わっしょい!」
遠くから、だんだんと近づいてくる太鼓、そして鐘の音色。
楽しそうな人々の声、子供たちの歓声。
窓を開けて、ベランダからだんじりをのぞき見る。
そうだ、子供の頃は、あの地車の前に立ってロープを
引っ張ってたっけ。ご褒美に、時々お菓子をもらえるんだ。
(・・半分以上は、お菓子目当てだったのだけれど。)
今年も、はっぴを着た、たくさんの可愛い子供たちが
だんじりに付いて歩いている。
あの中には、きっとあの頃の“ボク”のように、お菓子
目当てでくっついている子供も居るに違いない。
大好きな街の、春の風物詩なのだ。
ケルビーノ