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団長の雑技的時折BLOG

「山と渓谷のへっぽこ雑技団」のサイドレポートです。登山関連インフォメーション、山の本・映画・・etc.

07年12月『ミッドナイトイーグル』映画化公開

2006年12月25日 | インフォメーション
 高嶋哲夫『ミッドナイトイーグル』の映画化が発表されました。映画化のオファー3度目にしてようやく決定ということでした。主演はシンガー・ソングライター広瀬香美(40)と離婚したばかりの大沢たかお。

 山岳小説はちょっとお休みと思っていたのですが、ネタとして原作を読んでみました。文字どおり山岳サスペンス・アクションです。「12月の槍沢でそんな無茶するか~」とつっこみどころもありますが、エンターテイメントとしては抜群の面白さです。

 スポニチによると「日本に配備されていない米軍のステルス戦闘機が北アルプスの山間に墜落し、日本と国交のない某国の間で繰り広げられる争奪戦」だが、大沢の役どころは、墜落の模様を目撃、撮影したため攻防に巻き込まれていく報道カメラマン。墜落現場は天狗原。

スポニチ記事 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2006/12/06/01.html


登場人物(原作)

西崎勇次(戦場カメラマン)・・・大沢たかお
 
あることがきっかけで既に写真を撮らなくなって2年。酒びたりの日々。学生時代から山を登り、社会人山岳会に所属しているらしい。妻の松永慶子と別居中。なんかリアルと微妙にダブっていて・・・。


落合信一郎(東日新聞穂高支局支局員)・・・玉木宏
地方県議の汚職事件に端を発した中央政界の疑惑を追及していたが情報提供者姿を消した。それをきっかけに本社社会部から支局勤務。原作では学生時代からの西崎の山仲間になっているが、映画では後輩という設定になっているよう。


松永慶子(フリーライター)
西崎の妻。子供の優を連れて別居中。横田基地進入事件を追ってステルス爆破事件にたどり着く。ストーリー展開の上でかなり重要なポジションにありますが女優は発表されてません。


田宮忠夫(『週刊トゥデイ』編集長)
松永慶子の仕事先の編集長。キャスティングは藤竜也か?石黒賢。藤竜也は最後の決断に苦しむ内閣総理大臣。


青木祐二(近代メディア出版カメラマン)
松永慶子を助けて横田基地進入事件の取材。報道カメラマンの夢を持ち、西崎を尊敬する。キャスティングは石黒賢のようだが原作の設定は28歳と若手カメラマン。


伍島亨(陸上自衛隊一等陸尉)・・・吉田栄作
ステルス確保に某国部隊と戦闘。負傷して西崎に助けられますが、最後までステルス確保のために闘う。


 原作では「国交のない某国」を特定していますが、政治的に微妙な設定になっているので映画では特定されないかもしれません。原作の高嶋哲夫は日本原子力研究所員の経歴もあり、後半のクライマックスはかなりリアル(素人だからよくそんな気がするだけですけどね)。

 『MI-Ⅲ』みたいな映画になってしまうのかなぁ、(いや、『ホワイト・アウト』かもしれない)っていう気もしますが、読み物としては面白かったので、とりあえず来年の公開が楽しみです。大沢たかおも玉木宏もただいま特訓中ということですし・・・。原作にはないクライミングなんかもあるのでしょうかね。
 主演女優と脇を固める俳優は誰なのだろう。楽しみです。

ミッドナイトイーグル

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『海猫』

2006年12月12日 | 番外編
 毎度番外編ですみませんが、しつこくDVD観賞のエントリーです。この『海猫』には最近の映画の例によって原作があります。原作もおなじ『海猫』です。

 この作品に行き着いた経緯は、随分前のことになりますが、作者の谷村志穂が『ごちそう山』というエッセイ集を書いていて、ほんの出来心(?)で図書館の書棚から借り出して来たところから始まりました。料理研究家(だったと思いますが・・)の飛田和穂に山ご飯をつくってもらいながら楽しくお山を登ったお話なのですが、じつに「あぁ、こういうのいいなぁ」と思わせるほのぼのとしたエッセイだったわけです。何かゆとりがあるのですね。自分がテンパッた山を登りたがるからだからのでしょうか、片隅に置き去りにしていた感性をつつかれたというか、くすぐられたたというかそんな感触が残ったのです。

 で、谷村志穂の書いた小説を探して読んだのが『海猫』です。エッセイの洒脱(いまどきこんな表現も怪しいのですが・・)さはどこへ、濃厚な恋愛小説でした。正直、凭(もた)れる感じさえありましたね。まぁ、そういうのも嫌いではないので、結局どっぷりと浸かってしまいました。やはり、エッセイの面白い人の小説は読み応えがあります。いや、いい小説を書く人は面白いエッセイを書くということなのでしょうか。

 で、またまた、たどりついたのが映画『海猫』です。

 キャスティングがすごいですよ。佐藤浩市、仲村とおる、三田佳子そして主演が伊東美咲です。

 昆布漁師の佐藤浩市の家に嫁いだ伊東美咲が、佐藤浩市の弟・仲村とおると愛(恋ではありません)に堕ちて・・。これ以上は絶対に言わないほうが良い。そういう話です。

 ただ一言だけ、これは言い忘れてはなりません。伊東美咲はきれいでした。漁師のおかみさん姿がたまりません。そして、体当たり演技でしたね。

 エンディングに流される主題歌はMISIAの『冬のエトランジェ』。

 一言付け加えると、原作を読まないとこの映画は少し入りにくいかもしれません。「海猫の目」を集める少年が青い目の薫(伊東美咲)に擁く濃密な感情が、活字では抉るように踊っていたのですが・・・。

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『ALWAYS三丁目の夕日』

2006年12月02日 | 番外編
 昨日の金曜ロードショーで『ALWAYS三丁目の夕日』を観ました。映画館で観たかったのですが、つい行きそびれてしまったやつです。DVDで観ようとしていたのですが、こちらもレンタル中で観ることができないでいたところでした。CMに中断されて入り込めないのがいやだなぁと思いながらだったのですが、誘惑に負けて観てしまいました。

 イメージの中にはやはり西岸良平原作の『三丁目の夕日』ができあがっていましたから、少々不安もありました。原作のある映画の場合しばしば落胆させられてしまうこともあるからです。特にコミックの実写版となるとまともなものにあたったことがありません。『三丁目の夕日』の場合、これといってストーリー的展開があるわけではなく、このあたりを映画的にどう処理していくのだろうか、まさか環境ビデオにするわけにもいかないだろうに・・・といった興味でもあったような気もします。

 ところが、こんな斜めからの期待は見事に裏切られてしまいました。昭和33年がリアルタイムの僕にとってこの映画はあまりにも甘美な映像の連続でした。当時はまだ地方都市のはなたれ小僧だったから都会の下町を知っているわけではないのだが、それでも充分あの町並みの気分はわかります。横浜のラーメン博物館に行ってすら何か目に滲んでくるものを感じてしまうくらいですから、もうたまりません。

 昭和33年といえば、淳之介とおなじくらいの年頃だったはずですから、「スカ」しか出ない駄菓子屋の籤はいつも引いていたし、力道山とルーテーズの世界選手権もはてしなく興奮しながら観たわけです。今の小学生が電車に乗って学校に通うのが不思議に見えて仕方のない僕は、乗り物に乗って遠くの町に子供たちだけで出かけることなどできませんでした。だから、淳之介が母さんに会いたくて電車に乗った決断は痛いほどわかります。

 青森から集団就職で出てきた六ちゃんの津軽弁がお粗末だったり、最後のシーンの常磐線の下りにミゼットで追いかけられるような土手はないそうなのですが、そんな細かいことを抜きにして久しぶりに楽しめる映画でした。

 そういえば、クレジットでわかったのですがSLの車内の撮影は大井川鉄道だったようです。車窓からの景色も静岡あたりとは違っていたような気がするから、その辺もCG処理してあったらしく丁寧さを感じさせられましたね。11月のはじめに小無間山から大無間山へ縦走した後に寸又峡温泉からの帰りに乗ったのですが、その時も目頭が熱くなってしまい照れくさかったのを思い出しちゃいました。涙腺がゆるくなったのはやはり寄る年波のせいなのでしょうかねぇ。

 ひとつ、印象的なシーンがありました。鈴木モーターに電気冷蔵庫が来て、氷冷蔵庫が捨てられているシーンです。それを見つめる氷屋の親父のアップが数秒ありました。何かを切り捨ててしか前に進めないとしたら進歩とはいったい何なのでしょうか。夕張市の財政破綻がニュースを賑わせていますが、エネルギーとしての石炭の終焉と共にそれを担った町と人が切り捨てられなければ成り立たない政治とは何なのでしょうか。



2007年11月に続編が公開されるそうです。こんどは劇場の大画面で泣いちゃうかもしれませんね。

三丁目の夕日公式サイトは←こちら