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阪大、創薬につなげる取り組み紹介-創薬技術を持ち寄る「技術研究組合」設立へ

2013-09-27 21:00:41 | 日記

 


「創薬を生み出すのがわれわれのミッション」と土井部門長

 大阪大学未来戦略機構第六部門(創薬基盤科学研究部門)は25日、同部門での創薬につなげる取り組みを紹介するシンポジウムを開催した。その中で、同部門の土井健史部門長は、企業や大学研究者の創薬技術を持ち寄る「技術研究組合」を立ち上げ、より効率よく創薬につなげる仕組みをつくる計画があることを明らかにした。

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 創薬は、有望なシーズ(技術やアイデアなど)を見つける基礎研究、探索や最適化などの応用研究、有効性・安全性を調べる前臨床試験、臨床試験を経て、実用化される。土井部門長は、「大学にとっては最適化が大きなネックの一つ。いろいろな化合物をつくったり、モデファイ(一部を修正)したりするのは大学だけでは難しい」と述べ、製薬会社などの製剤能力を活用する「技術研究組合」を設立する意義を説明した。

 技術研究組合は、産業活動で利用される技術について、組合員が共同研究を行う相互扶助組織になる。法人格で組織され、企業や大学が、研究者、研究費、設備などを出し合って共同研究を行い、その成果を共同で管理し、相互で活用する仕組みだ。土井部門長は、「法人格であるため、大学内には組織できず、学外で設立する必要がある。設立後は、阪大と密接に連絡を取り合い、創薬を育てていきたい」と述べた。現在、設立準備を進めているという。

 また、土井部門長は、技術研究組合を設立するメリットとして、▽法人格のため、成果の一括管理が可能▽公的資金の受け皿として利用可能▽研究開発終了後に会社化すれば、欠損金の累積なく事業開始が可能-などを挙げ、ベンチャー企業への成果移転や、製薬会社への成果販売が可能となると強調。ただし、認可申請など一定の手続きは必要だと説明した。

■応用研究が進まない現状を打開するための「創薬支援ネットワーク」

 また、基調講演では、医薬基盤研究所の米田悦啓理事長が、「日本は基礎研究から臨床研究へつなぐ応用研究がなかなか進まないのが現状」と述べ、米国と比べた日本における創薬の問題点を指摘した。

 米国では、大学の研究成果を磨き上げるインキュベーター(起業支援を行う組織)が発達し、大学には研究者が化合物を選別できるナショナルスクリーニングセンターが設置されている。また、世界的に研究が失敗する確率が高いとされるフェーズ2試験を克服するために、産業界主導で、大学も巻き込み、前臨床試験の段階で臨床試験の効果を予測する取り組みがなされているという。

 一方、日本では「大学も企業もトップクラスだが、基礎研究を臨床研究につなぐインキュベーターがこれまで不在で、リスクの高い応用研究の担い手はほとんどいない」と米田理事長は指摘。さらに、そこでオールジャパン体制で取り組むべく誕生したのが、今年5月に立ち上がった同研究所の創薬支援戦略室であり、ここが中心となって創薬支援ネットワークを推し進めていると説明した。

 米田理事長は、「従来の支援は研究費だけで、研究成果を出すために論文発表に重点が置かれがちだった」とし、今後のアウトカムは、あくまで創薬シーズや医薬品を生みだすことで、そのために、技術や戦略立案、設備の整備や改良、リスク回避法など、総合的に支援する体制が必要だと強調した。

 現在、医薬基盤研究所の創薬支援戦略室では、8月15日時点で、創薬シーズの情報収集や評価が100件近く、大学や企業などが保有するさまざまな支援技術情報を記録する「創薬アーカイブ」に数件の登録があり、支援体制の整備が進められている。


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