はとるのメモ帳

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夢盗人の娘(3/4)

2007-07-31 00:38:13 | 映画とかドラマとか音楽とか
全四回のうち今回は3回目となります。

まずは前回までの概略から。

夢盗人の娘(1回目2回目
 ドイツの伯爵ウルリックは、その家系に黒い剣レイヴンブランドを受け継いできた。
 ナチスであり従兄のゲイナーが、その剣を接収するために訪ねてきた。
 ウルリックがその話を断ると政治犯として逮捕されてしまう。
 ウーナやレイヴンブランドの助けで収容所を脱走したウルリックらは地下世界に逃げ込む。
 二人は地下に住むオフ・ムー人に保護される。
 ウルリックとウーナを追って、ゲイナーとその部下クロスターハイム率いるナチスが追ってきた。
 地下世界ではナチスの軍事力は役に立たないので、ゲイナーとクロスターハイムが単独で侵入してきた。
 ウルリックとウーナを合わせた4人でこう着状態に陥ったとき
 ウルリックの守護天使となっていたエルリックが合体する。
 圧倒的な力でナチスらを退散させ、自らは召還した精霊の力でタネローンに戻る。
 エルリックはここで罠にはまり剣を奪われ眠りに就かされていた。
 そしてこの世界にも敵対するゲイナーが存在していたが、
 ウルリック(に合体したエルリック)を見るや、彼が仕える神を乗り換えて逃げ出した。
 魔力が潰えたのでエルリックは目を覚ますことが出来るだろう。


続いてキャラクター相関図。前回のまま。
 「永遠の戦士」は原語では「Eternal Champion」。チャンピオンという単語には
 戦士という意味以外に「~に仕える」というニュアンスがあります。

 一方「天秤の騎士」の「騎士」という単語にもそういうニュアンスがあります。
 「永遠の戦士」はその顕現どうしが合体して力を合わせることができるけど
 単なる「天秤の騎士」はそこまで力は発揮できないようです。
 どちらも、宇宙のバランスを保つために戦いを宿命付けられた人たちです。
 <介添人>=「永遠の戦士」の運命のサポート役、も天秤の騎士に入れるべきかもしれません。



あらすじ(ネタバレ注意)『

わたしは、眠る自分の肉体の前にひざまづきその手を握った。
急激な眠気に襲われた。またも夢を見た。
世界樹の幹を歩いてゆくとエルを名乗っていたロブコヴィッツと出会った。
多元宇宙は世界樹の枝なのだと教えてもらった。
進む枝が太くなってその先の白い広野を見下ろしていた。
それはわたしの顔だった。
次の瞬間、わたしをのぞき込むムーングラムとウーナの顔になった。
そしてわたしはエルリックが目覚めるのをみた。
この時以降わたしの中にはウルリックの部分とエルリックの部分が共存することになった。
彼はわたしと違い、夢として記憶の奥底にしまい込んで忘れてしまうだろう。
まだ終わったわけではありません。ゲイナーを首尾よく追い払うまでは。
ウーナが言った。ウーナとエルリック、そしてわたしの3人で追跡することにした。
ウーナの案内でタネローンの空き家に入る。
誰も知らない異空間への通路をウーナは知っていたようだ。
ウーナが噴水の水面に円を描くと円は渦を巻いて盛り上がった。
これが通路なのか。なんのためらいもなく飛び込むエルリック。
わたしは気が進まなかったがウーナに手を引かれ飛び込んだ。
ムー・ウーリアは破壊され尽くしていた。
略奪の仲間割れだろう蛮族の死体があちこちに、わずかなオフ・ムー人の死体もあった。
皆はどこかに逃げ延びたのだろうか?塔が焼け落ちて崩れる。
しかし、あれほど無敵と思えたオフ・ムー人をこうも蹴散らすとは。
いったいゲイナーはどんな手を使ったのか。
まもなくそれが分かった。風の妖魔である<十人の息子>イシャスを召喚したらしい。
荒れ狂う10もの竜巻を操るものに、どのように立ち向かえばいいのか。
ゲイナーはムー・ウーリアに保管されていた<ルーンの杖>(わたしが<聖杯>と呼んでいたものだ)を
奪って<灰色の封土>へ進軍中だ。
坂を下ったところでゲイナーらは野営の陣を張り始めた。
わたしたちは坂の上で様子を伺っている。どうすれば奴らをくいとめられるか。
エルリックは一人で陣に忍びよってナチス兵を一人捕まえてきた。
そして殺さないように切り刻みながら、何か唱え始めた。
<翁>だ。イシャスらフハールシャン族を統べる<翁>の召喚だ。
哀れなナチスを生贄にして<翁>を呼び出した。
この場の異変に気づいた蛮族やナチスがいるようだ。何人かがこっちを指さして登ってくる。
<翁>は巨大な風の手となりイシャスらを捕まえては元の世界に送り返して行く。
陣は混乱している。近寄ってきたナチスどもも慌てふためいていた。
エルリックがすばやくナチスの首を撥ね、馬を奪ってきた。
ついて来い。エルリックが叫んで元の方角に戻って行く。
わたしは従うしかなかった。ゲイナーが物凄い形相で追ってくる。
エルリックは松明を消し、わたしも消すように合図してきた。
以前通った道とは違うようだ。
ゲイナーらの追いすがる足音が遠くなっていく。どうやら捲いたらしい。
細いトンネルで休息を取った。休息の後、近くから眠らされている豹を一匹運んできた。
これらの豹は蛮族どもの天敵であった故に、
ゲイナーが軍隊編成のためになんらかの方法で眠らせたのだ。
今いちど召喚が必要だ。
エルリックはそう言うと召喚の儀式を執り行い猫の王ミーアクラアを召喚した。
この召喚により洞窟じゅうで眠りについていた豹たちは目を覚ますことになるだろう。
しかし、エルリックが力を使い果たし極度の消耗を見せたときゲイナーらが姿を現わした。
わたしはエルリックのところからレーヴンブランドをつかみ取りナチスどもを斬り払った。
剣から力が入り込んでくる。部下を肉壁として後ろに隠れていたゲイナーに
とうとうわたしは斬りかかった。ゲイナーはストームブリンガーを抜いて応戦する。
わたしの分身から盗んだ剣だ。しかし何か様子がおかしい。
ゲイナーは悲鳴を上げながらストームブリンガーを手放してミッゲアから盗んだ象牙の剣を抜いた。
安心したようなそぶりを見せると馬を返し逃げ出した。
わたしには逃げる奴らを追う力は残っていなかった。
気を失ってその場に崩れ落ちた。
どれくらい時間がたったのか?ウーナが起こしてくれた。
ゲイナーの軍勢は目を覚ました豹のおかげで壊滅しました。
でも<ルーンの杖>と象牙の剣を持つゲイナーは、まだ<灰色の封土>を破壊出来ると信じています。
<灰色の封土>の破壊は多元宇宙の破壊ですし、
多元宇宙の運命は、たった一人の定命者の行為にかかっていると預言されています。
ゲイナーはそれが自分のことだと信じているのでしょう。
そうでない保証があるのか?
既に選ばれた別の者を知ってますもの。
わたしはそれ以上ウーナに問わなかった。
何はともあれ、わたし達は剣をとりもどした。
ミッゲアの助力が得られなくなったのでストームブリンガーはゲイナーに逆らったのでしょう。
これで二人とも一人前に戻ったわけだな。
そう言って目を覚ましたエルリックの目には知性的な輝きが戻っていた。
ゲイナーを追いましょう。わたしが案内します。
ウーナはそう言いながらトンネルを出て行った。
外にはウーナではなく一頭の豹が待っていた。これも夢盗人の能力なのだろうか。
豹を追って、わたしとエルリックは馬を駆ける。
<灰色の封土>に入った。霧に包まれたその地は何もかもがぼやけるようだ。
豹が立ち止まった。うろうろと迷っているようだ。
エルリックは馬から降りて豹のところに歩み寄る。
わたしも馬から降りるとエルリックとウーナが並んでたっていた。
豹はどこにもいない。やはりウーナの能力なのだろうか。
ウーナはきつい笑みで質問を拒絶しているようだ。
見てください。ウーナが宙に2つの円を描くとその中にメルニボネとベック領が見える。
どちらも戦火に晒されている。
ゲイナーはこの2カ所に同時に存在しています。でも杖をどちらが持ってるか分かりません。
わたし達は二手に別れることにした。
エルリックはメルニボネに向かい、わたしとウーナがベック領に向かう。



ムアコックの描く世界は、
初期:単なるパラレルワールド(別の話の主人公がゲスト出演する)
中期:現実を含むパラレルワールド。
後期:夢を媒介としたパラレルワールド。
このように変化してきています。

今回、本来のエルリックの活躍していた時代に一旦戻りました。
時期的に薔薇の復讐の後、魂の盗人の前あたりだと思います。
そして、エルリックにとっては、夢の中の話なので、ウルリックについては記憶の奥底に眠り、殆ど思い出すことはありません。
逆に、ウルリックは現実としてエルリックの知識を共有してしまったので
今後も悪夢に悩まされることになります。

次回、「夢盗人の娘」(4/4)
ナチスによるヨーロッパ全土の支配は目前です。
ウルリックとウーナはナチスによる聖杯召還の儀式を食い止め、
戦況をひっくり返すことができるのか?
そしてエルリックは?


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