茨城県に住む実姉勝子(73)と電話で話した時
どうも様子がへんだった。
話すのも苦しそうだった。
また入院したのか? 新幹線で行ってみた。
「先生が『ホスピスに移りましょう』って言うんだ。」
―えええっ? 事態はもうそこまで進んでんのか?―
「私、やること全部やってしまった。幸せだったよ。」
―姉勝子はおれら兄弟姉妹に黙って大腸がんの手術を受けていた。
以来、覚悟を決めたのか数え切れないほど海外旅行をした。
秋田県の玉川温泉を始めとして癌に効くという温泉には全部行った―
「もう話をするのも辛いから誰にも言わないで、見舞いに来ないで!」
2年ぶりに見た姉の手は痩せ衰えてミイラのように見えたし、
点滴液は全て脚に流れて「象さんの足」になっていた。
俺以外の兄姉妹は皆高齢になり、自力で行動するのは難しい。
姉勝子が何と言おうと、兄姉妹を俺の車で「今生の別れ」に連れて行くしかないと思った。
でも一番上の姉(83)は認知症。
会話不能、物事の理解不能。デイサービス通い。おむつ。
これだけの条件が重なれば連れて行くわけにはいかない。
ところが、出発の今朝この認知症姉の夫が駆け込んで来て
「勝子さんに、何か知らせあったがい?おっか(姉)が午前1時半に起き出して
『勝子が死んだ、早く電話しろ!』って暴れたんだ。」
「ええっ? 物言わぬ姉が? 喋った?」
新藤兼人監督(100)が亡くなった日。
勝子は認知症姉にテレパーシーで「午後の遺言状」ならぬ【未明の遺言状】を送ったのか?
俺らが病院に着いた時、勝子は既に昏睡状態に陥りもう呼びかけに応えることは無かった。
畠迷惑Rogerでした。
どうも様子がへんだった。
話すのも苦しそうだった。
また入院したのか? 新幹線で行ってみた。
「先生が『ホスピスに移りましょう』って言うんだ。」
―えええっ? 事態はもうそこまで進んでんのか?―
「私、やること全部やってしまった。幸せだったよ。」
―姉勝子はおれら兄弟姉妹に黙って大腸がんの手術を受けていた。
以来、覚悟を決めたのか数え切れないほど海外旅行をした。
秋田県の玉川温泉を始めとして癌に効くという温泉には全部行った―
「もう話をするのも辛いから誰にも言わないで、見舞いに来ないで!」
2年ぶりに見た姉の手は痩せ衰えてミイラのように見えたし、
点滴液は全て脚に流れて「象さんの足」になっていた。
俺以外の兄姉妹は皆高齢になり、自力で行動するのは難しい。
姉勝子が何と言おうと、兄姉妹を俺の車で「今生の別れ」に連れて行くしかないと思った。
でも一番上の姉(83)は認知症。
会話不能、物事の理解不能。デイサービス通い。おむつ。
これだけの条件が重なれば連れて行くわけにはいかない。
ところが、出発の今朝この認知症姉の夫が駆け込んで来て
「勝子さんに、何か知らせあったがい?おっか(姉)が午前1時半に起き出して
『勝子が死んだ、早く電話しろ!』って暴れたんだ。」
「ええっ? 物言わぬ姉が? 喋った?」
新藤兼人監督(100)が亡くなった日。
勝子は認知症姉にテレパーシーで「午後の遺言状」ならぬ【未明の遺言状】を送ったのか?
俺らが病院に着いた時、勝子は既に昏睡状態に陥りもう呼びかけに応えることは無かった。
畠迷惑Rogerでした。