オラ キレタ! だ!
なしてが? ま、以下の4コマ漫画2つ スクロールして 見て下さい!
松◎課長は反対したか賛成したのかわからんかったが、元県職員に代わって俺が漫画を描くことになった。
とは言っても、俺のことだから、助兵衛(昔の人は、:こっつあがなしと言った。)なアイデアは沢山あるけど、絵;マンガを描く才能は皆無。漫画週刊誌を買い、人物をどう描くか練習した。
漫画を描くにあたり、助兵衛に徹することにした。助兵衛でなかったら俺の漫画じゃねえ。ペンネームをこっつあがなしとし、漢字では滑津赤梨とした。
こと果樹栽培の情報誌である。梨の種類;二十世紀は青梨。長十郎は赤梨。よって赤梨とした。
元の漫画家には1本2,500円の報酬が支払われていた。
俺は、自分の職場だから報酬をもらうことは出来ない。
でも編集担当は「ペンネームで描けば郵便小切手で支払うことは違反でない。寄稿依頼者には郵便小切手で支払っているから。」と言って来た。
俺は元々卑しい男、報酬は何ぼでもいいから絶対欲しい。報酬をもらうってことはプロに成ったと自覚するし第一気力が沸いてくる。
報酬をもらうことは簡単ではない。
報酬を郵便小切手で受け取り現金化するにははんこ:印鑑が必要。困った。
三文判の売っている店をみつけては、はんこがぎっしり詰まった筒をぐるぐる回してやっと見つけた。姓がなめつ:滑津。
報酬は4本分を一括で1万円。源泉徴収1割差し引かれ9千円の郵便小切手を現金化した。
編集担当は郵便小切手を俺の自宅に郵送してくれた。これは正しい。が、彼は住所・氏名で 畠正夫様方滑津赤梨様なんて書くもんだから郵便配達人はおらいの玄関戸を開けて
「ごめんください! こちらに こっつあがなしさんていますか?」などと大声で叫んだ。
おっかあは「この馬鹿親爺! 世間様に聞こえて恥ずかしいったらありゃしねえ。」っておれどご怒った。
俺の漫画は松◎課長に受けて彼を喜ばせた。以来、松◎課長は俺の席にやってきては、俺を”こっつあがなし こっつあがなし”って呼ぶようになった。
俺は、こんちくしょう、このバカヤロウって思ったが、彼は課長職。俺は最下位の主任職。彼につっかかることは出来なかった。
定年で職場を去った松◎課長をスーパーの店内で見かけたので声をかけてあげた。
「松◎さんしばらくですね。お元気でしたね。あの節はお世話になりました。私も定年退職、3年経ちましたから。」
松◎は、かつての部下A氏が現在、自分より出世していることを俺に向けてブツクサこぼしてみせた(誰が見たってA氏のほうがおめえより能力あるぜ)
更に数年後、同じスーパーの店内で今度は松◎が俺をみかけた。
「おーぃ こっつあがなし! こっつあがなし!」って大声で俺を呼んだ。あたりの人は皆、俺に注視する。
突然、オラ キレタ!
松◎! あんだあ いつまでオレどご、そだごど呼ぶんだ!退職したオラ、おめえとは上下関係なんてとっくにねえんだぞ!
松◎は「悪かった悪かった。」と詫びた。「昔のよしみで、こっつあがなしと呼んでも良いと思っていた。」とぬかした。・・・松◎はいくつになっても馬鹿だ!
畠迷惑Rogerでした。