花がいっぱい。

どんな花も無心に
咲いているから素敵なんだって。
無心になんかなれないよ。
どれもこれも気になっちゃってるんです

十月大歌舞伎 歌舞伎座 夜の部

2014年10月08日 | 歌舞伎
十七世 中村勘三郎二十七回忌 十八世 中村勘三郎三回忌 追善
となっている歌舞伎座「十月大歌舞伎」
野崎村と伊勢音頭が人気なのか?
日曜日昼の部は戻りの3階チケットがありませんでしたが、夜の部に3階席がありましたので
急遽購入。
観たかったのは、寺子屋の松王丸と千代の夫妻でしたので私にはこれ幸い。
演舞場観劇後、歌舞伎座に移動しました。
両劇場とも気持ちのいい大向こうのかけ声が少なく
寺子屋で、勘九郎が源蔵で花道から暗い面持ちで登場してきたときに
「おとうさんそっくくり!」とかけていたのには、「ここでそうかけるかなあ?」と
芝居壊すな~的な思いになりました。
かけた人の周りはうけて笑いも起きていましたが、芝居からするとこのあとの「鰯賣戀曳網」向きでしょ。
ここ、源蔵が、かくまっていた菅秀才の首をわたせと命じられ、足取り重く思案に暮れて帰宅してるところでしょ。
ある種この場面が、大事なのですよ。すたすた歩いて帰ってきたら、ことが重大にはみえないのよね。
どよ~んと重い雰囲気じゃないといけないのです。
それまでの寺子屋のやんちゃ坊主達の明るい雰囲気を断ち切るかのように。
家に入っても寺子屋にいる子供達は、菅秀才のような賢いおぼちゃまには誰一人として見えない。
って話の間に、タイミングの悪いかけ声。そこ笑いを誘わないで。っておもったのですが、
ふと玉三郎が千代を演じる時は、寺入りから見せるのにここはやはり中村屋だから?
それとも仁左衛門が松王丸だからなのかなあ?なんてふと思ったりしたものの
この大きな仁左衛門が松王丸と玉三郎の千代が、立派で風格があるんです。
若い勘九郎の源蔵、七之助の戸浪が胸を借りて芝居をしている風です。
悩みを抱えて帰宅した源蔵と戸浪。どうしていいのか、一か八かのかけに出る!と
若者気質に感じるのですが、そこをベテランがでっかく見せる舞台というものでした。
若さでオーバーになりがちな芝居が、間とともにどっしりしたものに仕上げてくれていたようでした。
そして仁左衛門が松王丸の時はいつも黒の衣装だったのが、今回は銀鼠!! ややっ、これは中村家といより
六代目菊五郎が好きだった十七代目、十八代目勘三郎の追善ってことゆえかな?と
小物もきっと十七代目、十八代目勘三郎仕様なのかもと、思ったのですが
以前十八代目勘三郎が千代を演じたときに最後「いろは送り」を義太夫できかせるのではなく台詞でやっていたのをみてるのですが、その時は誰が松王や源蔵演じてたんだろ?
以前仁左衛門が、「現在のように、義太夫で聞かせる型にしたのは十一代目仁左衛門」といっており
ここはどっちをとったのかなあ?
などと「追善」という今回の公演からいろいろ考えておりました。

歌舞伎座の1階には、十七世 十八世 中村勘三郎の祭壇がありましたが、十八世 中村勘三郎の写真がなんともにこやかな手を合わせてお客さんに「ありうがと」とでもいってるかのようでしたが、
来てるお客さん十七世の祭壇にひじついて電話かけてた! 
そこに肘掛かける?さらに電話する? っていろいろなお客さんがいるわけですが、感覚ちがうなあ~と思わず。

2幕目は、吉野山。静御前 が藤十郎。忠信が梅玉。とベテランが見せる吉野山。
それゆえ最初静御前は、花道から登場せずに浅葱幕がおち、場面は吉野山。
以前もそおうだったかな。と思いながら、雰囲気ある静御前と忠信。
静御前の立ち姿。まさに咲く花の匂うがごとくの美しさなんだけど。
でも3階だとうごきが小さくいるのまにか、まぶたがさがる。
忠信のみせどころ「屋島の合戦の物語」は合戦を見せるのでなく聞かせるといた風。
弓を引くのも、船底たたくのも風ではあるが、日本昔話をじっくり聞いてる風なのです。
この舞台は2階あたりでじっくり観たい舞台だと思いました。


その後切りの「鰯賣戀曳網」は、カタカナで書けばコメディですね。
三島由紀夫作の歌舞伎の演目っていうものの、
『金閣寺』、『鹿鳴館』『黒蜥蜴』とか『椿説弓張月』って作品からすると美しいけど、
重くて人のドロドロさを感じてコメディなんてほど遠い人って思うのですが、
この「鰯賣戀曳網」笑えるユーモアたっぷり。
三島由紀夫って笑える作品ほかにもあるんだよね~って三島由紀夫ファンに言われそう。

そんな楽しいおとぎ話のような歌舞伎。
猿源氏十七世中村勘三郎、蛍火中村歌右衛門が初演だったようですが、
最近では十八世勘三郎、蛍火玉三郎でお客さんを引きつけて楽しませていただきました。

それをご兄弟で、最近は勘九郎が、序幕のお客さんここでかけてほしかった「おとうさんそくり!」ですが、
お父さんの小型盤でおわらぬようどんどん独自性をだしていたきたいところです。


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