花がいっぱい。

どんな花も無心に
咲いているから素敵なんだって。
無心になんかなれないよ。
どれもこれも気になっちゃってるんです

六月大歌舞伎

2014年06月26日 | 歌舞伎
昨日千穐楽だった歌舞伎座「六月大歌舞伎」
昼の部は、片岡仁左衛門舞台復帰の「お祭り」があり
夜の部には尾上左近初舞台というおめでたい月となった。
尾上左近初舞台が、「蘭平物狂」。
歌舞伎の演目として「勧進帳」や「道成寺」、「忠臣蔵」や「三人吉三」のように
歌舞伎を観なくてもなんとなくの歌舞伎が想像できるような演目ではない。
演目として、めったに舞台にかかる演目でもないゆえ知られていないのはもっともかもしれない。
後半には、歌舞伎の中でも「立廻り」と呼ばれる争闘場面を形式美で見せる一種のショータイム!がある
華やかこの上ないものであり、主役「蘭平」を取り囲む捕り手30人近い花四天の活躍が欠かせない。
だがその「立廻り」だけでなくこの物語には、
主旋律となる皇位継承の争いで在原行平に討たれた伴のお家再興の目的のため
奴となって在原家に忍び込み行平を討つ機会をねらうという話の中に「親子の情」を見せるところが、もう一つの見せ場でもあり
踊りの好きな者にとっては、「蘭平」が光る者をみると狂い踊りだすというという場面も大事な見所になっている。
この歌舞伎、現在の松緑のおじいさまに当たる2代目尾上松緑が、復活という形で再構成して昭和28年に明治座で上演。
その後、息子さんである3代目松緑(当時辰之助)と2代目尾上松緑から教えてもらったという現;三津五郎が上演している。
ほかに25年に初代白鸚(当時幸四郎)、平成4年に市川右近が1度ずつ構成が違って上演されているようだ。
三津五郎に至っては、やはり自分よりも先に早世してしまった辰之助の代わりに孫にこの「蘭平」を伝えてほしいという思いから松緑が教えたようだ。
ゆえにこのお芝居「尾上松緑」家の大事な舞台といえるのではないかと、
幼きころに、父親の「蘭平」がかっこいい!といっていた現松緑。
彼の節目節目にこの「蘭平」が上演されているのも大切な演目ならではこそ。だが彼は、父の「蘭平」では共演していない。
今回尾上松緑家では初の共演「蘭平」になっている。
松緑の出す「情」というものは、今までもこちらの目頭を熱くすることが多いのだけれど、
今回においてはさらに見てる者に訴えてきます。戦いの中、息子を探す親の心情。
多勢の捕り手に囲まれも闘う「蘭平」が、せがれである「繁蔵」の行方を探す場面。
親子でありながら役者の親子。尾上松緑と初舞台尾上左近だけれどそこが、
奴「蘭平」と武士に取り立てられた「繁蔵」になっている。

今回舞台を観られなかった方、残念です!もったいない。もったいない(笑)
私、1階席後方、3階席、そして2階席下手、そして1階席前方、再度3階席って合計5階見てしまいました(笑)

この演目、観る場所を変えてみる面白さっていうのもすごいですよ。
1カ所だけじゃもったいない。もったいない。

1階席は、映画で見るワイドスクリーンです。
3階席は、特殊効果でもある立ち廻りを裏からも見せます!!的で1階ではなかなか見えない井戸場の上での捕り手の巧み、
スポーツ選手じゃないけれど、人間飛び越えジャンプならぬトンボのすごさ。若者が増えたのでしょう。以前は5人をジャンプといってもちょっとずるして5人越えだなく3人越えだながら5人越えになっていましおたが、今回はまさに5人超えていたり
井戸の屋根から石灯籠へのジャンプトンボ返りの頂点と言われる「二丁返り」が2人連続と凄かった。
以前にもあったようなのですが、最近はこの2人連続といのがありませんでしたから、びっっくりでした。

それにやはり2階下手でみるのは、あの大はしご!目の前にあがってきますからね。迫力満点です。すごかった。
はしごのきしむ音がさらにすごさを強調。見事です。
軽々と大はしごをあがっていったやゑ亮(らしい)あとに、蘭平があがっていって見栄をみる。
ここで見た日は、隣がいないゆえに2階桟敷でちょっとした殿様ムードでもあったりして(笑)

興奮冷めやらぬうちに「蘭平」を召し捕ろうと行平に呼ばれ登場する「繁蔵」。回を重ねるごとに仕草も立派になって、声も大きく出ておりました。

今回は口上も、もちろんあって菊五郎により「芝居半ばではございますが」と尾上左近くんのご紹介。そしてご挨拶。
ますます見なかった人、もったいない。もったいない(笑)

しかし、1階前方席で見たときにこの蘭平後、両隣が席を立ってとうとう終演までぽつんと一人。
わからなくもないけど・・・ほかは観ないの?

「名月八幡祭」これは観ようよ。って思い、
できれば太郎冠者とは、とてもおもえない太郎冠者のでる「素襖落」。
「素襖落」の太郎冠者は、主人に扱き使われているもののしたたで愛嬌があって世渡り上手の召使い。という印象なのだけれど、今回の太郎冠者は、世渡り下手でリストラされた堅物のお侍さんってかんじ。
これありか??って思ってしまいこんなの雇った主人も相当な変わり者なんだろうなあ。って観るほどにおかしさが増してしまいました。初日一緒に言った母などは、
「これだけ寝ちゃった。でも、となりで笑うからなにがおかしいのか?ってみるとおかしくないんだもの」と私の笑っていることが不思議だったようだ。

「名月八幡祭」これはねえ・・・尾上松緑でみてみたいぞ!って思ってみて我が家にあるスクラップみると父親である辰之助の縮屋新助の写真が。
さらに別の写真で「私の好きな役」ということで
「髪結新三とか魚屋宗五郎、加賀谷も僕は好きですよ。暗闇の丑松、坂崎出羽守、土蜘蛛も好きだし、縮屋新助もいい。」といあって討ちににこもった役があるから発散する側もあるんで、相互互いで籠ったなりにいいやくもあります」なんてあって・・
今の松緑もあいそうだな。ってほくそえんでしまった。

あらら今回は、つらつらと・・・話は尽きぬ六月大歌舞伎だったのです。昼の部も
仁左衛門の復活のうれしかったこと。あの匂い立つような男の色気に癒しモード。
悪役演じたら極悪にもなるのに・・・「いい男だねえ」って歌舞伎の台詞にでもでてきそうな「お祭り」が切にあり
最初の「春霞歌舞伎草紙」近年になく主役以外の踊りが揃ってる(笑)
若手花形今やこの人たちを見に来る若いファンも増えて・・・という若衆や女歌舞伎。初日より後半がよかったですねえ。
やはり群舞が揃うと美しい。歌舞伎舞踊で群舞が揃うのはなかなかないんですよね~
「大石最後の一日」これは幸四郎!!お手のもの。ってかんじでこれはいいです。
今回おみの役の孝太郎もよかったです。愛すべき男の本心をただただ知りたく、
知った後は好きな男の最期のためにも誠を貫いてる姿に涙そそられました。

そしてもう一つ「実盛物語」これはもう。いうことなし!

役者さんみなさん力入ってました。
役者の絡みもいいけど、ここまでの迫力があったら大満足!!下手に絡まなくっていいです(苦笑)

6月見なかった人ほんともったいない。損したねえ。につきます。ってほどによかった歌舞伎座公演でした。


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