13日のダブリンでのEU財務相会議はキプロス支援を承認したほかに、脱税の温床になっているTax HeavenにEUとして正面から戦うことに一歩近づいた会議でもあった。これまで、フランス、イタリア、ポーランド、スペイン、英国、ルクセンブルグが脱税封じのために預金や信託からの収益に関する銀行の情報を共有することを主張してきたが、今回はベルギー、オランダ、ルーマニアも賛成してきた。この動きに反発しているのがオーストリア。その言い分は、「イギリスこそTax Heavenではないか」というもの。しかしいずれ27の全参加国が賛成することになるだろう。そして対象も将来は配当金やキャピタルゲイン、ロイヤリテイ収入までを対象になるだろう。
この動き特にフランスでは予算大臣が当初否定した国外での蓄財を実際にはスイスに預金しているのが露見したという、担当大臣あるまじき醜聞で辞任し、国民の強い反発を買った。フランス流の風刺を効かせたジョークとでも言いたい話であり、再発防止のために早急に対策(?)を立てる必要に迫られていた。
徴税するものがいれば、そこには脱税するものがいるというのが古今東西をとわず厳然たる事実であり、銀行情報の共有程度では、まだまだ脱税天国の終焉は遠いと言うべきだろう。公平な税負担(徴収)は簡単にはいかない。脱税を考える人は、往々にして徴税をする人よりも賢いからだ。