岡山県和気郡和気町にあった益原駅は、備前市の片上駅から和気駅を経由して柵原駅までの33.8kmを結んでいた全線単線非電化の片上鉄道の駅として、1923(大正12)年8月10日に開業しました。
しかし、片上鉄道が1991(平成3)年7月1日に廃止されたことに伴い、廃駅となりました。
単式ホーム1面1線を有する無人駅でした。
開業時に建てられた木造駅舎が廃止時まで健在でした。
益原駅が属していた同和鉱業片上鉄道は、硫酸の原料となる硫化鉄を柵原鉱山から片上港へ輸送することを目的に建設されました。 開通後は硫化鉄のほか石炭や石灰石、木材、肥料などさまざまな物資を輸送し、1960年代までは地域経済を支える大動脈でした。 また、柵原鉱山の硫化鉄の埋蔵量は3000万トン世界有数を誇っていました。
しかし、石油の消費量が増え、その精製時に発生する硫黄が硫化鉄に取って替わるようになると、硫化鉄の需要は激減し、輸送量も急速に減少したため、同和鉱業は深刻な不況に陥り、1987(昭和62)年8月には柵原鉱石輸送が全面的にトラック輸送に切り替えられました。
会社側は肥料輸送や旅客列車の減便などで生き残りを図りましたが、沿線人口が希薄で過疎も進みつつあったため利用客は減り続け、ついに片上鉄道は1991(平成3)年6月30日限りで廃止され、それに伴い益原駅も廃駅となりました。
<益原駅の年表>
・1923(大正12)年8月10日:片上鉄道の駅として開業
・1972(昭和47)年4月1日:駅の無人化
・1991(平成3)年7月1日:同和鉱業片上鉄道が廃止されたことに伴い、廃駅となる
(駅 名 標)
(益原駅駅舎)
撮影年月日:1991(平成3)年3月29日