愛する子供たちへ
マタイ17章には次のように記されています。
「六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は日のように輝き、その衣は光のように白くなった。すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。ペテロはイエスにむかって言った、『主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために』。」(マタイ17章1~4節)
名前がその律法を象徴するほどの偉大な預言者であり神の代弁者であるモーセ、およびすべての預言者の知恵と見識の集大成といわれるほど誉れ高い預言者テシベ人エリヤは、なぜ変貌の山に現れたのでしょうか?彼らが主やペテロ、ヤコブ、ヨハネの元を訪れた目的は何だったのでしょうか?
モーセは、クリスチャンでなくとも多くの人々が知る旧約の有名な預言者です。イスラエル人をエジプトの奴隷の状態から導き出し、神によって示されるままに、宗教、社会、食生活に関する一連の律法をイスラエルの民に授けました。
預言者エリヤはこの世にいたとき、イスラエルの北王国で務めを果たしました。(列上17-列下2章)彼は主に対して大いなる信仰を持ち、多くの奇跡をなした人として知られています。3年半にわたって雨が降らないようにし、死んだ少年を生き返らせ、天から火を呼び寄せました。(列上17-18章)ユダヤ教の人々は、マラキが預言したように預言者エリヤが戻って来るのを、今も待ち望んでいます。(マラキ4:5)彼らは、過越の祭のときには戸を開け放ち、一つの席を空け、いまだに預言者エリヤを客として招いているのです。
預言者ジョセフ・スミスは、預言者エリヤがメルキゼデク神権の結び固めの力(鍵)を持つ預言者であり、またイエス・キリスト以前の時代にこの力(鍵)を持っていた最後の預言者であると語っています。預言者エリヤは変貌の山にモーセとともに現れ、ペテロ、ヤコブ、ヨハネに彼らの持つ神権の鍵を授けたのです。(マタ17:3)この二人は骨肉の体を有しながら身を変えられた人たちです。それゆえ死すべき肉体を持つ人間に神権の鍵を授けることができたのです。聖典には預言者エリヤの昇天について詳細な記述があり、(列王下2章)またモーセについても、彼が死なずに身を変えられ、天に昇ったということを物語る聖句が多くあります。(アルマ45:18-19, Mormon Doctrine『モルモンの教義』pp.726-730, 『救いの教義』2:97-103参照)
その約2,000年後の1836年4月3日に、預言者エリヤは預言者モーセなどとともにオハイオ州のカートランド神殿に現れ、同じ神権の鍵をジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに授けました。(教義110:13-16)これはすべて、マラキ4:5-6に述べられているように、主の再臨への備えとしてなされたのです。
預言者エリヤが持っていた力(鍵)は、神権の結び固めの力(鍵)であり、これによって地上でつながれ、解かれることは、天においてもつながれ、解かれるのです。(教義128:8-18)今日この世で主に選ばれた預言者もこの結び固めの力(鍵)を持ち、生者と死者のために福音の救いの儀式を執行することができます。(教義128:8)
十二使徒定員会会長のボイド・K・パッカー長老は、預言者エリヤの訪れと彼の使命について以下のように特別なメッセージを下さっています。
ここで、神権とは何か、神権の鍵とは何か、またなぜ神権が必要で人はどのように神権の権能と鍵を受けるか、さらに大背教によって失われた神権とその鍵がどのように回復されたかについて以下に説明します。
<神権とは何でしょうか>
神権とは神の力であり、神の権能です。神権の力により神は天地を創造し治めておられます。宇宙は神権の力で完全な秩序に保たれています。この力を通じて、神はその業と栄光を完成されます。すなわち、「人の不死不滅と永遠の命をもたらす」のです。(モーセ1:39)
天の御父は、ふさわしい男性教会員に神権の力をお授けになりました。この神権によって、人類家族の救いのために神の名によって行動することが可能となります。さらに、この力によって、福音を宣べ伝え、救いの儀式を執り行い、地上における神の王国を統治する権能を授かるのです。
<神権の鍵とは何でしょうか>
神権の鍵とは、長の職に伴う権利、すなわち、地上において神権を管理し、統制し、治めるために神から人に授けられる権威です。長の職に召された神権者は、自分を管理する権能を持つ人から神権の鍵を受けます。神権者は、神権の鍵を持つ人が指示する範囲内でのみ、神権を行使できます。教会の大管長は神権のすべての鍵を持ちます。(教義107:65-67,91-92;132:7)
神権の鍵を持つ人々には、その権能の範囲内において教会を管理し導く権利があります。例えば、ビショップは自分のワードを管理する鍵を持っています。したがって、そのワードにバプテスマを受ける備えのできた子供がいる場合、その子供にバプテスマを施す人はビショップから承認を受けなければなりません。
イエス・キリストは神権のすべての鍵を持っておられます。主は使徒たちに、御自身の教会を治めるために必要な鍵を授けてこられました。先任使徒である教会の大管長だけが、教会全体を管理するためにこれらの鍵を用いる(またはほかの人に行使することを承認する)ことができます。(教義と聖約43:1-4;81:2;132:7参照)教会の大管長は、ほかの神権指導者に、彼らがそれぞれの責任の範囲内で管理することができるように神権の鍵を委任します。神権の鍵は、神殿会長、伝道部会長、ステーク会長,地方部会長、ビショップ、支部会長、そして定員会会長に与えられます。これらの役職のいずれかにある人は、解任されるまでという限定でその鍵を持ちます。補佐に召されている人たちは鍵は受けませんが、召しと割り当てとによる権能と責任の委任は受けます。
<地上にはなぜ神権が必要なのでしょうか>
バプテスマ、確認、聖餐の執行、神殿結婚など、福音の神聖な儀式を執り行うときには、神の名により行う神権の権能が必要です。どんなに誠実であっても神権を持たなければ主はその人が行った儀式を承認されません。(マタイ7:21~23;信仰箇条1:5参照)これらの重要な儀式は、神権を有する男性が地上で執行しなければなりません。
主の教会において、管理し、また世界の至る所で教会の業を指導するために、男性は神権を必要とします。キリストは地上におられたとき、教会を導く者として使徒たちを選び、聖任されました。そしてイエス・キリストの名によって行動できるように、神権の力と権能を授けられたのです。(マルコ3:13~15;ヨハネ15:16参照)
地上に神権が必要なもうひとつの理由は、主の御心を理解し、主の目的を遂行できるようにするためです。神は地上において権威を授けられた神権の代表者、すなわち預言者に御心を明らかにされます。(アモス3:7)教会の大管長である預言者は、教会の全会員および地上のあらゆる人々のために、神の代弁者を務めるのです。
<男性はどのようにして神権を受けますか>
主は、地上において神の息子たちに神権を与えるために秩序立った方法を備えられました。教会のふさわしい男性会員は、「福音を宣べ伝え、その儀式を執行するために……権能を持つ者による按手によって」神権を受けます。(信仰箇条1:5)
古くモーセの時代にも、男性はこれと同じ方法で神権を受けました。「かつ、だれもこの栄誉ある務を自分で得るのではなく、アロンの場合のように、神の召しによって受けるのである。」(へブル5:4)アロンは、神権指導者であるモーセから神権を受けました。(出エジプト28:1参照)神権を持つ者だけが、ほかの人を聖任することができます。なおかつその聖任の鍵を持つ人から権限を受けた場合のみ、そうすることができます。
だれも神権の力および権能を売買することはできないし、勝手に自分のものにすることもできません。新約聖書の中に、キリストの使徒が教会を管理していた時代のシモンという男の話があります。シモンは改心し、バプテスマを受けて教会に入りました。巧みな魔術師であったため、人々はシモンが神の力を備えていると信じていました。しかし、シモンは神権を持っておらず、彼自身もそのことを知っていました。
シモンは、教会の使徒や神権指導者が神のまことの力を有していることを知りました。指導者たちが神権を用いて主の業を行っているのを見て、自分もその力が欲しいと思いました。シモンはお金を出して神権を得ようとしました。(使徒8:9~19参照)ところが、使徒の頭であるペテロはこう言いました。「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。」(使徒8:20)
<神権の系譜>
末日聖徒イエス・キリスト教会において、すべての神権者は、自分の神権の系譜をイエス・キリストまでさかのぼることができます。すなわち、だれから神権の聖任を受けたかを知り、さらにその人を聖任した人がだれかを知るのです。このように聖任した人を順にたどっていくと、ジョセフ・スミスに行き着きます。彼は復活したぺテロ、ヤコブ、ヨハネから聖任され、この3人はイエス・キリストにより聖任されました。この系譜が神権の系譜と言われているものです。自分の神権の系譜の写しを持っていない神権者は、自分を聖任した人から入手するできます。
<イエスの時代の神権>
イエスは地上に来て完全な福音を回復されました。神権の鍵もしくは完全な権能を持たれ、使徒(マタイ10:1~4参照)と七十人を聖任されました。主に従う人々の中に教会を組織し、最後に地上を去る前に、様々な神権の職に聖任する権能を使徒たちに与えられました。(使徒14:23参照)こうして神権は継承され、イエス・キリストの教会の基盤として残されたのです。
<大背教>
イエスが昇天されてからもしばらくの間、教会は真理を教え続け、多くの町から数多くの人々が教会に加わりました。しかし、さほどの時を待たずに歴史は同じことを繰り返したのです。改宗者の中に、福音の儀式と律法に従うことを拒む人々が現れて、自分の思うままにそれらを変えてしまったのです。時を同じくして、使徒や神権指導者を含む多くの会員が迫害を受けて死に追いやられました。指導者が殺され、ほかの会員は真理を捨て去り、教会は次第に神権の権能を失っていきました。そしてついに教会内に神権の存在しない時が来たのです。何世紀もの間、暗黒が地上を支配しました。大背教の時期に組織された教会には神権がありませんでした。その結果、彼らは神から導きを受けたり、救いの儀式を執行することができなかったのです。イザヤは次のように記しています。彼らは「律法にそむき、儀式を変え、とこしえの契約を破った。」(欽定訳イザヤ24:5より和訳)
しかし、天の御父はすべての子供たちがみもとに帰ることを望んでおられます。 そのためには神権とその儀式をはじめ神のもとに戻るために不可欠なすべての真理が回復される必要がありました。
多くの預言者は、この回復の時を先見しました。例えばイザヤは、主が「この民に再び驚くべきわざを行う、それは不思議な驚くべきわざである」(イザヤ29:13~14)と預言しました。ぺテロも「万物更新の時」(使徒3:19~21)があることを預言しました。回復とは、取り去られ、あるいは失われたものを元に戻すことです。神権と福音が回復されなければなりませんでした。さもなければ全人類が道を踏み誤っていたでしょう。この回復は、父なる神と主イエス・キリストがジョセフ•スミスに御姿を現された1820年に始まったのです。
<ジョセフ・スミスと神権の回復>
ジョセフ・スミスは、天の御父の子供の中で「高潔で偉大な」霊の一人でした。アブラハムのように、非常に重要な使命を行うために地上に生を受ける前に選ばれたのです。(アブラハム3:22~23参照)その結果、ジョセフ•スミスの使命は古代の多くの預言者に知られていました。ヤコブの息子でエジプトに売られたヨセフや『モルモン書』の預言者リーハイなどは、ジョセフ・スミスとその使命について知っていました。リーハイは息子ヨセフに、エジプトのヨセフの預言を引用して、末日の預言者がヨセフ〔ジョセフ〕と名付けられると語りました。(2ニーファイ3:6~15)
ジョセフ・スミスは年少のころに真理の探求を始めました。森に入り、いずれの教会に加わるべきか神に尋ねたのは、わずか14歳のときでした。祈りの結果、神とイエス・キリストは骨肉を有するまことの御姿をジョセフに現されました。それから3年後の1823年、天使モロナイがジョセフ・スミスのもとを訪れ、『モルモン書』について告げました。後にモロナイは古代アメリカ大陸の先住民の神聖な記録をジョセフに渡しました。神の助けを受けて、ジョセフはその記録を翻訳しました。『モルモン書』とジョセフ.スミスに与えられた啓示により、背教の間失われていた多くの真理が回復されたのです。
天が開かれ、黙示者ヨハネの以下の預言がまさに成就したのです。
「わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、大声で言った、『神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め』。」(黙示録14:6~7)
しかし、神とその教義に関する真理の回復はまだ十分ではありませんでした。ジョセフ・スミスは地上に神権が存在しない時代に生を受けましたが、神権を持たずには託された使命を遂行することはできないのです。したがって、神権の鍵すなわちジョセフを聖任する権能を持つ人々が、神権を回復する必要がありました。1829年、ジョセフ・スミスはオリバー•カウドリとともにアロン神権を受けたときのことを次のように記しています。
「わたしたちは……翻訳の仕事を続けていたが、その翌月(千八百二十九年五月)のある日、わたしたちは、版の翻訳の中に述べられているのを見つけた罪の赦しのためのバプテスマに関して主に祈って伺うために、森の中に入って行った。わたしたちが……祈って、主に呼び求めていたとき、天からの使者が光の雲の中を降って来られた。そして、その使者はわたしたちの上に手を置き、……わたしたちを〔アロン神権に〕聖任された。このときわたしたちを訪れて、わたしたちにこの神権を授けてくださった使者は、自分の名はヨハネといい、『新約聖書』の中でバプテスマのヨハネと呼ばれている者で、自分はメルキゼデクの神権の鍵を持つぺテロとヤコブとヨハネの指示の下に働いていると言われた。また、ふさわしいときにメルキゼデクの神権もわたしたちに授けられ〔る〕と言われた。わたしたちがこの使者の手によって聖任され、バプテスマを受けたのは、千八百二十九年五月十五日のことであった。」(ジョセフ•スミス-歴史1:68~72;教義と聖約13章も参照)
同じ年の1829年に、ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリはメルキゼデク神権を受けました。古代のイエスの使徒ペテロ、ヤコブ、ヨハネが2人に現れ、彼らの頭に手を置いて神権を授けたのです。(教義と聖約27:12参照)これはアダムをはじめあらゆる時代の義人が所有した神権です。こうして、ジョセフ・スミスにアロン神権とメルキゼデク神権の両方が授けられ、神権の権能が回復されたのです。過去にこの神権を持っていた人々が、神の力をこの世に再びもたらしたのです。
この神権の権能により、ジョセフ・スミスを通して、主は再び地上に御自身の教会を設立され、必要なすべての福音の原則と儀式を回復されました。今日、わたしたちは神権を持っています。この時満ちる神権時代に、主は神権が再び取り去られることはないと約束されました。
<「神権の回復」>
この地上に住むすべての人は、神から深く愛されている大切な神の息子・娘です。神はすべての息子娘が永遠の完全な幸福を得てほしいと切に望んでおられます。それ故にこの末日の世に黙示者ヨハネに示された永遠の完全な福音と神権をこの地上に回復されました。(黙示14:6~7)すでに亡くなられた先祖の方々も含め、主を受け入れて、その教えに忠実歩むすべての神の息子・娘たちが神のみ元へ戻ることができるよう、必要な完全な真理を私たちに知らせるためです。
お父さんはすべての人々がこの回復されたイエス・キリストの完全な福音を知り、その真理に基づいた教えに従って永遠の幸いを得てほしいと心から切に願っています。(おやじより)
以下のサイトで、回復されたイエス・キリストの教会について知ることができます。以下の画像もしくはテキストをクリックして下さい。
「にほんブログ村」お役に立てたらクリックお願いしま~す!より多くの方々に記事を読んで頂けます!1日1回のクリックで OKで~す!
マタイ17章には次のように記されています。
「六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は日のように輝き、その衣は光のように白くなった。すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。ペテロはイエスにむかって言った、『主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために』。」(マタイ17章1~4節)
名前がその律法を象徴するほどの偉大な預言者であり神の代弁者であるモーセ、およびすべての預言者の知恵と見識の集大成といわれるほど誉れ高い預言者テシベ人エリヤは、なぜ変貌の山に現れたのでしょうか?彼らが主やペテロ、ヤコブ、ヨハネの元を訪れた目的は何だったのでしょうか?
モーセは、クリスチャンでなくとも多くの人々が知る旧約の有名な預言者です。イスラエル人をエジプトの奴隷の状態から導き出し、神によって示されるままに、宗教、社会、食生活に関する一連の律法をイスラエルの民に授けました。
預言者エリヤはこの世にいたとき、イスラエルの北王国で務めを果たしました。(列上17-列下2章)彼は主に対して大いなる信仰を持ち、多くの奇跡をなした人として知られています。3年半にわたって雨が降らないようにし、死んだ少年を生き返らせ、天から火を呼び寄せました。(列上17-18章)ユダヤ教の人々は、マラキが預言したように預言者エリヤが戻って来るのを、今も待ち望んでいます。(マラキ4:5)彼らは、過越の祭のときには戸を開け放ち、一つの席を空け、いまだに預言者エリヤを客として招いているのです。
預言者ジョセフ・スミスは、預言者エリヤがメルキゼデク神権の結び固めの力(鍵)を持つ預言者であり、またイエス・キリスト以前の時代にこの力(鍵)を持っていた最後の預言者であると語っています。預言者エリヤは変貌の山にモーセとともに現れ、ペテロ、ヤコブ、ヨハネに彼らの持つ神権の鍵を授けたのです。(マタ17:3)この二人は骨肉の体を有しながら身を変えられた人たちです。それゆえ死すべき肉体を持つ人間に神権の鍵を授けることができたのです。聖典には預言者エリヤの昇天について詳細な記述があり、(列王下2章)またモーセについても、彼が死なずに身を変えられ、天に昇ったということを物語る聖句が多くあります。(アルマ45:18-19, Mormon Doctrine『モルモンの教義』pp.726-730, 『救いの教義』2:97-103参照)
その約2,000年後の1836年4月3日に、預言者エリヤは預言者モーセなどとともにオハイオ州のカートランド神殿に現れ、同じ神権の鍵をジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに授けました。(教義110:13-16)これはすべて、マラキ4:5-6に述べられているように、主の再臨への備えとしてなされたのです。
預言者エリヤが持っていた力(鍵)は、神権の結び固めの力(鍵)であり、これによって地上でつながれ、解かれることは、天においてもつながれ、解かれるのです。(教義128:8-18)今日この世で主に選ばれた預言者もこの結び固めの力(鍵)を持ち、生者と死者のために福音の救いの儀式を執行することができます。(教義128:8)
十二使徒定員会会長のボイド・K・パッカー長老は、預言者エリヤの訪れと彼の使命について以下のように特別なメッセージを下さっています。
ここで、神権とは何か、神権の鍵とは何か、またなぜ神権が必要で人はどのように神権の権能と鍵を受けるか、さらに大背教によって失われた神権とその鍵がどのように回復されたかについて以下に説明します。
<神権とは何でしょうか>
神権とは神の力であり、神の権能です。神権の力により神は天地を創造し治めておられます。宇宙は神権の力で完全な秩序に保たれています。この力を通じて、神はその業と栄光を完成されます。すなわち、「人の不死不滅と永遠の命をもたらす」のです。(モーセ1:39)
天の御父は、ふさわしい男性教会員に神権の力をお授けになりました。この神権によって、人類家族の救いのために神の名によって行動することが可能となります。さらに、この力によって、福音を宣べ伝え、救いの儀式を執り行い、地上における神の王国を統治する権能を授かるのです。
<神権の鍵とは何でしょうか>
神権の鍵とは、長の職に伴う権利、すなわち、地上において神権を管理し、統制し、治めるために神から人に授けられる権威です。長の職に召された神権者は、自分を管理する権能を持つ人から神権の鍵を受けます。神権者は、神権の鍵を持つ人が指示する範囲内でのみ、神権を行使できます。教会の大管長は神権のすべての鍵を持ちます。(教義107:65-67,91-92;132:7)
神権の鍵を持つ人々には、その権能の範囲内において教会を管理し導く権利があります。例えば、ビショップは自分のワードを管理する鍵を持っています。したがって、そのワードにバプテスマを受ける備えのできた子供がいる場合、その子供にバプテスマを施す人はビショップから承認を受けなければなりません。
イエス・キリストは神権のすべての鍵を持っておられます。主は使徒たちに、御自身の教会を治めるために必要な鍵を授けてこられました。先任使徒である教会の大管長だけが、教会全体を管理するためにこれらの鍵を用いる(またはほかの人に行使することを承認する)ことができます。(教義と聖約43:1-4;81:2;132:7参照)教会の大管長は、ほかの神権指導者に、彼らがそれぞれの責任の範囲内で管理することができるように神権の鍵を委任します。神権の鍵は、神殿会長、伝道部会長、ステーク会長,地方部会長、ビショップ、支部会長、そして定員会会長に与えられます。これらの役職のいずれかにある人は、解任されるまでという限定でその鍵を持ちます。補佐に召されている人たちは鍵は受けませんが、召しと割り当てとによる権能と責任の委任は受けます。
<地上にはなぜ神権が必要なのでしょうか>
バプテスマ、確認、聖餐の執行、神殿結婚など、福音の神聖な儀式を執り行うときには、神の名により行う神権の権能が必要です。どんなに誠実であっても神権を持たなければ主はその人が行った儀式を承認されません。(マタイ7:21~23;信仰箇条1:5参照)これらの重要な儀式は、神権を有する男性が地上で執行しなければなりません。
主の教会において、管理し、また世界の至る所で教会の業を指導するために、男性は神権を必要とします。キリストは地上におられたとき、教会を導く者として使徒たちを選び、聖任されました。そしてイエス・キリストの名によって行動できるように、神権の力と権能を授けられたのです。(マルコ3:13~15;ヨハネ15:16参照)
地上に神権が必要なもうひとつの理由は、主の御心を理解し、主の目的を遂行できるようにするためです。神は地上において権威を授けられた神権の代表者、すなわち預言者に御心を明らかにされます。(アモス3:7)教会の大管長である預言者は、教会の全会員および地上のあらゆる人々のために、神の代弁者を務めるのです。
<男性はどのようにして神権を受けますか>
主は、地上において神の息子たちに神権を与えるために秩序立った方法を備えられました。教会のふさわしい男性会員は、「福音を宣べ伝え、その儀式を執行するために……権能を持つ者による按手によって」神権を受けます。(信仰箇条1:5)
古くモーセの時代にも、男性はこれと同じ方法で神権を受けました。「かつ、だれもこの栄誉ある務を自分で得るのではなく、アロンの場合のように、神の召しによって受けるのである。」(へブル5:4)アロンは、神権指導者であるモーセから神権を受けました。(出エジプト28:1参照)神権を持つ者だけが、ほかの人を聖任することができます。なおかつその聖任の鍵を持つ人から権限を受けた場合のみ、そうすることができます。
だれも神権の力および権能を売買することはできないし、勝手に自分のものにすることもできません。新約聖書の中に、キリストの使徒が教会を管理していた時代のシモンという男の話があります。シモンは改心し、バプテスマを受けて教会に入りました。巧みな魔術師であったため、人々はシモンが神の力を備えていると信じていました。しかし、シモンは神権を持っておらず、彼自身もそのことを知っていました。
シモンは、教会の使徒や神権指導者が神のまことの力を有していることを知りました。指導者たちが神権を用いて主の業を行っているのを見て、自分もその力が欲しいと思いました。シモンはお金を出して神権を得ようとしました。(使徒8:9~19参照)ところが、使徒の頭であるペテロはこう言いました。「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。」(使徒8:20)
<神権の系譜>
末日聖徒イエス・キリスト教会において、すべての神権者は、自分の神権の系譜をイエス・キリストまでさかのぼることができます。すなわち、だれから神権の聖任を受けたかを知り、さらにその人を聖任した人がだれかを知るのです。このように聖任した人を順にたどっていくと、ジョセフ・スミスに行き着きます。彼は復活したぺテロ、ヤコブ、ヨハネから聖任され、この3人はイエス・キリストにより聖任されました。この系譜が神権の系譜と言われているものです。自分の神権の系譜の写しを持っていない神権者は、自分を聖任した人から入手するできます。
<イエスの時代の神権>
イエスは地上に来て完全な福音を回復されました。神権の鍵もしくは完全な権能を持たれ、使徒(マタイ10:1~4参照)と七十人を聖任されました。主に従う人々の中に教会を組織し、最後に地上を去る前に、様々な神権の職に聖任する権能を使徒たちに与えられました。(使徒14:23参照)こうして神権は継承され、イエス・キリストの教会の基盤として残されたのです。
<大背教>
イエスが昇天されてからもしばらくの間、教会は真理を教え続け、多くの町から数多くの人々が教会に加わりました。しかし、さほどの時を待たずに歴史は同じことを繰り返したのです。改宗者の中に、福音の儀式と律法に従うことを拒む人々が現れて、自分の思うままにそれらを変えてしまったのです。時を同じくして、使徒や神権指導者を含む多くの会員が迫害を受けて死に追いやられました。指導者が殺され、ほかの会員は真理を捨て去り、教会は次第に神権の権能を失っていきました。そしてついに教会内に神権の存在しない時が来たのです。何世紀もの間、暗黒が地上を支配しました。大背教の時期に組織された教会には神権がありませんでした。その結果、彼らは神から導きを受けたり、救いの儀式を執行することができなかったのです。イザヤは次のように記しています。彼らは「律法にそむき、儀式を変え、とこしえの契約を破った。」(欽定訳イザヤ24:5より和訳)
しかし、天の御父はすべての子供たちがみもとに帰ることを望んでおられます。 そのためには神権とその儀式をはじめ神のもとに戻るために不可欠なすべての真理が回復される必要がありました。
多くの預言者は、この回復の時を先見しました。例えばイザヤは、主が「この民に再び驚くべきわざを行う、それは不思議な驚くべきわざである」(イザヤ29:13~14)と預言しました。ぺテロも「万物更新の時」(使徒3:19~21)があることを預言しました。回復とは、取り去られ、あるいは失われたものを元に戻すことです。神権と福音が回復されなければなりませんでした。さもなければ全人類が道を踏み誤っていたでしょう。この回復は、父なる神と主イエス・キリストがジョセフ•スミスに御姿を現された1820年に始まったのです。
<ジョセフ・スミスと神権の回復>
ジョセフ・スミスは、天の御父の子供の中で「高潔で偉大な」霊の一人でした。アブラハムのように、非常に重要な使命を行うために地上に生を受ける前に選ばれたのです。(アブラハム3:22~23参照)その結果、ジョセフ•スミスの使命は古代の多くの預言者に知られていました。ヤコブの息子でエジプトに売られたヨセフや『モルモン書』の預言者リーハイなどは、ジョセフ・スミスとその使命について知っていました。リーハイは息子ヨセフに、エジプトのヨセフの預言を引用して、末日の預言者がヨセフ〔ジョセフ〕と名付けられると語りました。(2ニーファイ3:6~15)
ジョセフ・スミスは年少のころに真理の探求を始めました。森に入り、いずれの教会に加わるべきか神に尋ねたのは、わずか14歳のときでした。祈りの結果、神とイエス・キリストは骨肉を有するまことの御姿をジョセフに現されました。それから3年後の1823年、天使モロナイがジョセフ・スミスのもとを訪れ、『モルモン書』について告げました。後にモロナイは古代アメリカ大陸の先住民の神聖な記録をジョセフに渡しました。神の助けを受けて、ジョセフはその記録を翻訳しました。『モルモン書』とジョセフ.スミスに与えられた啓示により、背教の間失われていた多くの真理が回復されたのです。
天が開かれ、黙示者ヨハネの以下の預言がまさに成就したのです。
「わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、大声で言った、『神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め』。」(黙示録14:6~7)
しかし、神とその教義に関する真理の回復はまだ十分ではありませんでした。ジョセフ・スミスは地上に神権が存在しない時代に生を受けましたが、神権を持たずには託された使命を遂行することはできないのです。したがって、神権の鍵すなわちジョセフを聖任する権能を持つ人々が、神権を回復する必要がありました。1829年、ジョセフ・スミスはオリバー•カウドリとともにアロン神権を受けたときのことを次のように記しています。
「わたしたちは……翻訳の仕事を続けていたが、その翌月(千八百二十九年五月)のある日、わたしたちは、版の翻訳の中に述べられているのを見つけた罪の赦しのためのバプテスマに関して主に祈って伺うために、森の中に入って行った。わたしたちが……祈って、主に呼び求めていたとき、天からの使者が光の雲の中を降って来られた。そして、その使者はわたしたちの上に手を置き、……わたしたちを〔アロン神権に〕聖任された。このときわたしたちを訪れて、わたしたちにこの神権を授けてくださった使者は、自分の名はヨハネといい、『新約聖書』の中でバプテスマのヨハネと呼ばれている者で、自分はメルキゼデクの神権の鍵を持つぺテロとヤコブとヨハネの指示の下に働いていると言われた。また、ふさわしいときにメルキゼデクの神権もわたしたちに授けられ〔る〕と言われた。わたしたちがこの使者の手によって聖任され、バプテスマを受けたのは、千八百二十九年五月十五日のことであった。」(ジョセフ•スミス-歴史1:68~72;教義と聖約13章も参照)
同じ年の1829年に、ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリはメルキゼデク神権を受けました。古代のイエスの使徒ペテロ、ヤコブ、ヨハネが2人に現れ、彼らの頭に手を置いて神権を授けたのです。(教義と聖約27:12参照)これはアダムをはじめあらゆる時代の義人が所有した神権です。こうして、ジョセフ・スミスにアロン神権とメルキゼデク神権の両方が授けられ、神権の権能が回復されたのです。過去にこの神権を持っていた人々が、神の力をこの世に再びもたらしたのです。
この神権の権能により、ジョセフ・スミスを通して、主は再び地上に御自身の教会を設立され、必要なすべての福音の原則と儀式を回復されました。今日、わたしたちは神権を持っています。この時満ちる神権時代に、主は神権が再び取り去られることはないと約束されました。
<「神権の回復」>
この地上に住むすべての人は、神から深く愛されている大切な神の息子・娘です。神はすべての息子娘が永遠の完全な幸福を得てほしいと切に望んでおられます。それ故にこの末日の世に黙示者ヨハネに示された永遠の完全な福音と神権をこの地上に回復されました。(黙示14:6~7)すでに亡くなられた先祖の方々も含め、主を受け入れて、その教えに忠実歩むすべての神の息子・娘たちが神のみ元へ戻ることができるよう、必要な完全な真理を私たちに知らせるためです。
お父さんはすべての人々がこの回復されたイエス・キリストの完全な福音を知り、その真理に基づいた教えに従って永遠の幸いを得てほしいと心から切に願っています。(おやじより)
以下のサイトで、回復されたイエス・キリストの教会について知ることができます。以下の画像もしくはテキストをクリックして下さい。
