今シーズンの温州みかんを振り返ると、比較的甘くてみずみずしく、おいしいものが多かったものの、外見的には病害か低温か何かのせいで、ちょっと良くないものが目立ち、価格も若干高めで推移した。ともあれ、今期のみかんシーズンは無事終了し、僕も所属する全国柑橘類愛好者連盟(本部:愛媛県・・・注1)としては、今月はグレープフルーツ、および、ミネオラオレンジに取り組むよう指示が出ている。
連盟の千葉県東葛支部を自負する僕としても、この意向に基づき、連日、スーパー「マルエツ」ないしは「ハローマート」にてグレープフルーツ及びミネオラオレンジの購入にいそしみ、レジ袋いっぱいのグレープフルーツやらオレンジを、その重さにうんうん言いながら家まで持ち帰っている。これまでのところ、連盟本部の指導どおり、グレープフルーツ0.75個/日、また、ミネオラオレンジ3.85個/週のノルマは順調にクリアしており、東葛支部では今月、前年比+23%、目標比+11%の高消化率(注2)が見込まれている。ビタミンC万歳!
* * * * *
さて、輸入の柑橘類は、その輸送中にカビが生えて傷んでしまわないよう、全面に防カビ剤が塗られている。みかんをダンボール箱で買ってきて食べていると、その中のいくつかは自然にかびてしまうが、ああいうふうにならないようにするためだ。輸入するものは国産品よりも運送時間がかかるので、その間にカビが生えて商品価値がなくなってしまわないように、防カビ剤を塗布するのだ。このように、純粋な経済上の理由で使用されている。間違っても、僕たちにおいしく食べてもらうためではない。
これらの防カビ剤だが、ふつう、OPP(オルトフェニルフェノール)、TBZ(チアベンダゾール)、イマザリルの三種類が使われている。スーパーで販売されている輸入のオレンジやグレープフルーツの表示をよく見ると書いてある。もし明示していなかったら、これは法律違反。「書いてないから、使ってないんじゃないの?」なんて考える必要はない。輸入の柑橘類には絶対使われている。カビないように。
今から遡るころ約三十年前の1977年、それ以前はこれらの薬品は使用禁止だった。発がん性が確認されていたので。でも現在では、このように輸入柑橘類(みかんを除く)にはふつうに使用されている。もちろん、この三十年間で発がん性が除去されたわけではない。毒性は何年経っても変化しないのだから。この防カビ剤の塗布された柑橘類が輸入OKになった経緯は興味深い。
古来より、気に食わない輸入品があったりすると、人々はその場所、つまり港でその品物を棄ててしまう。海洋投棄、というやつだ。その昔、アメリカではボストン茶会事件なんていうことがあった。海は紅茶になったのだろうか・・・それはわからない。中国でもかつて林則徐なる人物がアヘンを海に棄てさせた。魚たちは不思議な気分になったのだろうか・・・もはや調べるすべがない。そして1975年、アメリカから輸入された柑橘類から当時は使用禁止だったOPP(オルトフェニルフェノール・・・何回も書くと名前を覚える)が検出されたとき、厚生省は港の倉庫にあったその柑橘類を海に棄てさせた。これに対し、アメリカ側は「日本は太平洋をトム・コリンズ(レモン入りのカクテル)にする気か!」と激怒したという話。本当にこのように言ったのかどうかは、僕にはよくわからないが。
その後は毎度のパターンである。政治的な圧力がぐぐぐっとかかり、輸入は許可される。今回の牛肉と同じような経緯だ。なかば形式的にではあるが、一応安全性を審査し、条件をクリアすればOKになる。なお、これとは別件で、ニュージーランド政府はニュージーランド産の「みかん」についても、防カビ剤イマザリルの使用許可を求めているが、現在のところOKは出されていない。その理由を厚生省は次のように述べる:
「イマザリルを収穫後にみかんに使用する場合には、食品添加物の使用基準の改正が必要となる。しかしながら、日本人のみかんの摂取量は諸外国と比べ多く、現在の使用基準を拡大し、みかんに対するイマザリルの最大残留値を、コーデックス委員会(注3)の基準に基づき5ppmと定め、理論最大一日摂取量を推定した場合、ADI(注4)を超えることが明らかとなっている。このような使用基準改正を行うことは、我が国国民の食生活において安全性を確保する上で問題があり、科学的にも適切であるとはいえない。」(注5)
要するに、日本人はみかんをたくさん食べるから、安全基準を超えてしまう可能性があるので、イマザリルの使用は許可できない、という理屈だ。では・・・僕のように、輸入柑橘類を好んで大量に摂取している人は、いったいどうなるのだろう。とりあえず、こういう情報は知らなかったことにしよう。世の中には余計な情報が多いものだ。
* * * * *
「オレンジやグレープフルーツなんて食べないもん!」という、僕から見ると信じがたい嗜好のあなたには、一応、以下の情報も併せてお知らせしておく。①これらの薬品はバナナにも使用されているということ。また、②オレンジジュースは製造される際、外皮ごと丸々使われているということ(十分洗浄されていると僕は信じたい)。どうですか。知らぬが仏。知らぬが花。秘すれば花(??)。世の中、無用の知識ばかり。
注1:実際にはこのような組織は存在しないので、本気になってグーグルで検索しないように。時間の無駄である。
注2:どのくらい食べているかなんて、当然数えてもいないので、数字はフィクションである。
注3:消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1962年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関。国際食品規格(コーデックス規格)の作成等を行う。
注4:Acceptable Daily Intake。つまり「一日許容摂取量」のこと。
注5:「市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書」(平成12年3月16日) より引用。僕がいくらメタフィクションを愛好しているからといって、これは偽物ではない。日本政府の公式文書。
連盟の千葉県東葛支部を自負する僕としても、この意向に基づき、連日、スーパー「マルエツ」ないしは「ハローマート」にてグレープフルーツ及びミネオラオレンジの購入にいそしみ、レジ袋いっぱいのグレープフルーツやらオレンジを、その重さにうんうん言いながら家まで持ち帰っている。これまでのところ、連盟本部の指導どおり、グレープフルーツ0.75個/日、また、ミネオラオレンジ3.85個/週のノルマは順調にクリアしており、東葛支部では今月、前年比+23%、目標比+11%の高消化率(注2)が見込まれている。ビタミンC万歳!
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さて、輸入の柑橘類は、その輸送中にカビが生えて傷んでしまわないよう、全面に防カビ剤が塗られている。みかんをダンボール箱で買ってきて食べていると、その中のいくつかは自然にかびてしまうが、ああいうふうにならないようにするためだ。輸入するものは国産品よりも運送時間がかかるので、その間にカビが生えて商品価値がなくなってしまわないように、防カビ剤を塗布するのだ。このように、純粋な経済上の理由で使用されている。間違っても、僕たちにおいしく食べてもらうためではない。
これらの防カビ剤だが、ふつう、OPP(オルトフェニルフェノール)、TBZ(チアベンダゾール)、イマザリルの三種類が使われている。スーパーで販売されている輸入のオレンジやグレープフルーツの表示をよく見ると書いてある。もし明示していなかったら、これは法律違反。「書いてないから、使ってないんじゃないの?」なんて考える必要はない。輸入の柑橘類には絶対使われている。カビないように。
今から遡るころ約三十年前の1977年、それ以前はこれらの薬品は使用禁止だった。発がん性が確認されていたので。でも現在では、このように輸入柑橘類(みかんを除く)にはふつうに使用されている。もちろん、この三十年間で発がん性が除去されたわけではない。毒性は何年経っても変化しないのだから。この防カビ剤の塗布された柑橘類が輸入OKになった経緯は興味深い。
古来より、気に食わない輸入品があったりすると、人々はその場所、つまり港でその品物を棄ててしまう。海洋投棄、というやつだ。その昔、アメリカではボストン茶会事件なんていうことがあった。海は紅茶になったのだろうか・・・それはわからない。中国でもかつて林則徐なる人物がアヘンを海に棄てさせた。魚たちは不思議な気分になったのだろうか・・・もはや調べるすべがない。そして1975年、アメリカから輸入された柑橘類から当時は使用禁止だったOPP(オルトフェニルフェノール・・・何回も書くと名前を覚える)が検出されたとき、厚生省は港の倉庫にあったその柑橘類を海に棄てさせた。これに対し、アメリカ側は「日本は太平洋をトム・コリンズ(レモン入りのカクテル)にする気か!」と激怒したという話。本当にこのように言ったのかどうかは、僕にはよくわからないが。
その後は毎度のパターンである。政治的な圧力がぐぐぐっとかかり、輸入は許可される。今回の牛肉と同じような経緯だ。なかば形式的にではあるが、一応安全性を審査し、条件をクリアすればOKになる。なお、これとは別件で、ニュージーランド政府はニュージーランド産の「みかん」についても、防カビ剤イマザリルの使用許可を求めているが、現在のところOKは出されていない。その理由を厚生省は次のように述べる:
「イマザリルを収穫後にみかんに使用する場合には、食品添加物の使用基準の改正が必要となる。しかしながら、日本人のみかんの摂取量は諸外国と比べ多く、現在の使用基準を拡大し、みかんに対するイマザリルの最大残留値を、コーデックス委員会(注3)の基準に基づき5ppmと定め、理論最大一日摂取量を推定した場合、ADI(注4)を超えることが明らかとなっている。このような使用基準改正を行うことは、我が国国民の食生活において安全性を確保する上で問題があり、科学的にも適切であるとはいえない。」(注5)
要するに、日本人はみかんをたくさん食べるから、安全基準を超えてしまう可能性があるので、イマザリルの使用は許可できない、という理屈だ。では・・・僕のように、輸入柑橘類を好んで大量に摂取している人は、いったいどうなるのだろう。とりあえず、こういう情報は知らなかったことにしよう。世の中には余計な情報が多いものだ。
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「オレンジやグレープフルーツなんて食べないもん!」という、僕から見ると信じがたい嗜好のあなたには、一応、以下の情報も併せてお知らせしておく。①これらの薬品はバナナにも使用されているということ。また、②オレンジジュースは製造される際、外皮ごと丸々使われているということ(十分洗浄されていると僕は信じたい)。どうですか。知らぬが仏。知らぬが花。秘すれば花(??)。世の中、無用の知識ばかり。
注1:実際にはこのような組織は存在しないので、本気になってグーグルで検索しないように。時間の無駄である。
注2:どのくらい食べているかなんて、当然数えてもいないので、数字はフィクションである。
注3:消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1962年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関。国際食品規格(コーデックス規格)の作成等を行う。
注4:Acceptable Daily Intake。つまり「一日許容摂取量」のこと。
注5:「市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書」(平成12年3月16日) より引用。僕がいくらメタフィクションを愛好しているからといって、これは偽物ではない。日本政府の公式文書。
とはいえ、普段口にするものだけに恐ろしい・・・。
最近、中性洗剤で柑橘類を洗う習慣が付きました。今は何もなくても発ガンの可能性はできるだけ減らしたいからです。果たして落ちているものか、染みこんでいやしないのか・・・不安は尽きませんが、僕も柑橘類は好きなので食べるのを止める気にはなりません。
それにしても、タイセイさんの柑橘類に関する浩瀚な知識には驚かされます。好きなんですね(笑)
買い物するときに、オレンジの入ったビニール袋に、「防カビ剤(OPP、TBZ、イマザリル)使用」って書いてあったのが気になり、それが今回この日記を書いたきっかけです。どのくらい毒性があるものなのかと興味がわきました。
で、個人的な結論としては、「防カビ剤の毒性<柑橘類の愛好」でした。結局、僕もまた英語で言うmortalなんだから、ま、いいか、と思って。