須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

山間に住む厳しさ・共生の難しさ

2021-07-13 09:06:30 | 猫の物語
ジジの子供は3匹でしたが、渦ちゃんに続き白黒ちゃん(ボブにそっくり)が行方不明になりました。1匹残った縞仔猫はかなりおびえているようです。加えて、ニャニャの子供も1匹行方不明になったと電話が入りました。7月に入り、既に3匹が行方不明になっています。

今回14匹の赤ちゃん猫達の中に、懐かないナツカナイーズは1匹もいませんでした。残念ながらそれが凶と出てしまったのです。そう言えば今では仲良しのボブでさえ、最初は懐かない子だったと思いだしました。お母さん達も段々と人慣れしています。それは嬉しいのですが、同時に「花月は山の中にあって人里ではない場所」、「外飼いの猫にとっては危険と隣り合わせの場所」であることを忘れ、用心を怠ってしまったのです。



マネちゃんはかなり傷心で、犯人は「狐」だろうと言っています。西エリアの向こうにも谷があり、夜の食事の時、みんなしきりに谷の方を気にしている、用心して急いでご飯を食べているらしいのです。マネちゃんも夜ご飯の付き添いや見回りを強化しているようです。

東エリアと北側バックヤードは夜になっても人の出入りがあります。そして、東エリアには料理長お手製の猫小屋やキャットウォークなど、狐が入り込みにくい猫専用住居が整備されています。北側バックヤードはそもそも旅館・レストラン・居住エリア付近なので狐は入りにくい構造です。

お客さんがいなくなる深夜、玄関前の西エリア、庭園に面した南エリアは闇に紛れた野生動物が比較的近づきやすい場所といえるでしょう。



出産後、子供達を1匹も連れずに帰ってきたビクトリア、子育て放棄ではなく食べられたのかもしれません。ハルちゃんとミーコは一時、お腹が大きく妊娠していたと思いますがどうなんでしょう。ミーコには最近会ってないのでちょっと心配です。

子育てのベテラン、ビビ、ジジ、ニャニャは出産場所を選定する眼があるのでしょうね。新米母ゾロは猫小屋の2階で出産しました。ゾロは小さいときから料理長と一緒にいて、人間と場所を信じてくれていたので、首尾よく出産できたのかもしれません。それもこれも運命、偶然、もっと言えばゾロと料理長の良縁のなすところが大きいのでしょう。お釈迦さまがおっしゃるように、良い因は良い果をもたらすものです。



長雨の中、狐も必死なんでしょうが、人間の住居周辺に現われて簡単に狩りをすることに慣れてしまうのは互いによくないことです。狐も多分、踏み込みすぎると危険だと分かっていると思います。

私自身、狐に腹が立たないとか、食われても平気なんてことはありませんよ。行方不明の情報を聞くと、昨日まで可愛がっていた子供達の悲しいニュースに落ち込み、辛くて寂しい思いがつのります。でも狐もアライグマも食わなければ生きられない、その事実は理解してあげなければならないのです。遊びで殺したわけではない・・・。



以前にも同じことがありました。一生懸命に何年も育てた鯉が、あっという間に、鷺や鵜に飲まれてしまったのです。懐いていただけに、とても落ち込みました。だからといって私には24時間の付き添いはできない、鳥たちも食うことに必死なんだと自分に言い聞かせるしかないのです。

私がもし「鷺や鵜や狐やアライグマ」を飼っていたら、その子達のお腹がふくれた幸せを喜ぶだろうと。どんな人間も動物も立ち位置の違いなんだと。だからせめて辛いことがあっても、辛さの中で共感できることを大事にしようと考えました。

お互いに生きることや食うことは止められない・・・猫も人間もこの矛盾した真実を受け入れなければならないとしたら、まずは「防衛」なんだと思います。

どこかの国のお話が透けてみえるような・・・。しかし、動物は食う必要がなければ攻撃しません。相手にとっては生きるためであり犠牲ではない。こちら側にとってその犠牲がどんなに辛くても、攻撃にすり替えることはよくない。

花月でも「猫を守る」ために何ができるか、野生動物との共生の最前線で、しかるべき「防衛方法」とはなにかを考えることが最重要課題だと思うのです。



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