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富山地鉄の市内電車にモバイルSuicaで乗車してきた

富山地鉄の市電が全国交通系ICカードに対応

 富山市内を運行する富山地方鉄道(地鉄)の市内電車(市電)で、2021/10/10から、SuicaやICOCAなど全国交通系ICカードが利用できるようになった。富山地鉄では2010年から、自社が発行するecomyca(えこまいか)と、2020年2月に富山地鉄と吸収合併された富山ライトレールが発行していたパスカという2種類のICカードが乗車券として利用されているが、全国交通系ICカードとの併用が始まったというのが正確な説明だ。なお、同社には市内電車以外に、鉄道線バス事業があるが、今回、全国交通系ICカードでの運賃支払いに対応したのは市内電車のみである。
 11月初旬、モバイルSuicaアプリをインストールしたGalaxy S21 Ultra 5Gを片手に富山駅から市内電車に乗車した。

富山駅で発車を待つ市内電車


 北陸新幹線やあいの風とやま鉄道、JR西日本が運行する高山本線の改札を抜けると、駅舎の中に「路面電車のりば」と表示された市内電車のホームがある。立山・黒部方面に向かう富山地鉄の鉄道線とは反対側だ。
 乗車の際は、ICカードリーダーにタッチしたり整理券を取る必要はなく、そのまま乗り込めば良い。

富山駅の路面電車のりば


 今回の併用対応は、えこまいか及びパスカ用とは別に全国交通系ICカード用のICカードリーダーを増設するという「力技」で実現している。市内電車で運行される車両の1つ、セントラムの運転席付近を見てみよう。

2つのカードリーダーの位置


 運転席の後方にある料金箱には、これまで通り、えこまいか・パスカ用のICカードリーダーが搭載されている。

えこまいか・パスカ専用のICカードリーダー


 出入り口扉の横に取り付けられた見覚えのある黄色いカードリーダーが全国交通系ICカード専用だ。
 運賃の収受やタッチの確認を行う運転士に、Suicaの利用であることを告げて、全国交通系ICカード用のリーダーにタッチして降車する。画面にはタッチの前から210円と精算額が表示されていた。

全国交通系ICカード用のカードリーダー


 えこまいかやパスカでの乗車では所定運賃からの割引精算が行われるのだが、全国交通系ICカードではこの割引は適用されず現金支払いと同額になる。1乗車当たり30円(小人は20円)の差なら妥当な範囲だと思う。ちなみにecomycaカードは1枚2,000円(デポジット500円含む)だ。

市内電車の運賃表。現金及び全国交通系ICカードとえこまいか・パスカ利用で運賃には差がある

利用履歴は「富山地鉄」と表示

 市内電車は3系統あるがどの路線も運賃は均一で210円であり、駅改札の入出場という概念はない。モバイルSuicaアプリの履歴表示を確認してみると、市内電車への乗車は種別が「バス等」で、利用場所は「富山地鉄」と記録されていた。
 豊橋鉄道の路面電車は利用履歴の利用場所の表記が「豊鉄トラム」だったことや、富山地方鉄道はWebサイトのドメインが chitetsu.co.jp を使用していることから、事前に「地鉄市電」や「地鉄トラム」といった表記を予想していたので少し意外だった。

モバイルSuicaアプリでの利用履歴表示は「バス等 富山地鉄」


 独自方式のICカードを採用した富山地鉄が、別途カードリーダーを増設することで全国交通系ICカードに併用対応したことは興味深い。いつものモバイルSuicaで気軽に乗車できることで、旅先での移動が軽やかになる。

富山地鉄の市内電車


 モバイルSuicaを利用した次の行き先を考えながら、富山湾の海の幸がふんだんに盛り付けられた海鮮丼に舌鼓を打って今回の旅は幕を閉じる。

富山湾の海の幸が盛り付けられた海鮮丼


参考

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