吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期 小樽の小学校 十六

2006年11月22日 06時36分02秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期 小樽の小学校   十六
 
 ゼニバコまで一時間いじょうも歩いたがぼくも中村君もげんきいっぱいやった。ちずこなんか時々かけたりする。ぼくも大阪の阿倍野ケ原でかけっこは名人で竹竿ふってラポとるのも名人やった。
 …小樽はとんぼもおらん、チョウチョウもおらん、魚はぎょうさんやけどつるのがむつ  かしいわ!…
 ぼくは中村くんに声をかけた。
 …ハリウスは秋にコオロギ、夏はシオカラとアカトンボがとぶべ!…
 …セミはどないしたんや!…
 …セミもいるさ!…ガガガガって鳴くさ!…
 …なんやセミはミーンミーンとジジジジとカナカナと鳴くやろ!ガガガガっておかしい  わ!バッタもおらんやろ!…                          …カナカナカナはおるべ!…
 …まだ鳴かんろう春やから…
 ぼくは道路のむこうに広い野原がひろがっているのを見た。まだくぼんだころにナメクジみたいな形の汚れた雪があった。
 …おなかぺこぺこや、ご飯たべとうなった!…
 ぼくが合図したので野原の入り口で休むことにした。ジャリ道の向こうに青色の海がひろがって空にはくっきりした白い雲がうかんでいる。ぼくはガバンをだして写生を始めた。 握りめしを片手に鉛筆を早く動かしてとおくに見えるクマウス岬と防波堤をかいた。
 ちずこがうしろからのぞいて…ヒロちゃんは絵のてんさいだね、うらやましいわ!とつぶやいた時、女のやさしいええにおいがしてなんだか顔がほてった。

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