吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期 小樽の小学校 十七

2006年11月23日 17時44分13秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期 小樽の小学校   十七
 
 ちずこと中村くんのスケッチを二枚かきあげて、こんどはゆっくり握り飯を食べた。
 中村くんは川原のちかくにはえているイタドリをとってきて皮をきようにむくといきなりかじった。大阪の頃はウメちゃんとかわのふちに生えたスイコキの汁を吸って食べたがイタドリははじめてやったがやはりすっぱい味がした。きっと沢カニがぎょうさんおるにちがいないとおもった水のきれいな川が海にながれこんでいる。海岸は大きい石がごろごろしてなみうちぎわまでぬれている。
 川をすこしのぼつたところにトドマツやアカマツの森のしたの草地にきれいな花のさくざつそうがしげつている。
 あらっプクサよ!とちずこがしやがんで小さなしろい花の茎をぎった。
 …ほんとだプクサだ!父ちゃんのみやげにするべ!…
 …みやげってこんな草どないするんや?とぼくは中村くんに聞いた。
 プクサってなんや?
 たべれる草だ!と中村くんがへんじした。
 父ちゃんは春、天狗山さ行ってこれとってほして煮てたべるんだ!と言う。中村君もウメちゃんみたいに野山のことにくわしい。
 ぼくは虫は大好やが草はひとつも知らない。白レンゲでくびかざりくらいはつくれる。 …中村くん、プクサってどうして知ってるの?…
 ちずこがふしぎそうな顔して聞いた。
 …父ちゃんに聞いたんだ!…
 …父ちゃんはアイヌの言葉しってるのね、たいしたもんだわ!…
 …ちずちゃん!中村くんはアイヌやでェ!…北見のほうから転校してきたんや!ぼくと  いっしょや!…
 …ふーん、しっかりべんきょうしてね!応援するわよ!…
 ちずこが目をきらきらさせて言った。

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