吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期の大阪 四十一

2006年10月05日 01時43分45秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期の大阪  四十一

 金谷点柱(こんたにてんちゅう)
 ある日、ゲンちゃんがヨーヨー持って遊びにきた。
 ヨーヨーはほしかったけど五銭もするので買えない。
 ヨーヨーは丸いわがくるくる回りながら地面すれすれに落ちたと思うとすーっと舞い上がる。ゲンちゃんのは真っ赤なヨーヨーだった。
 ぼくはチョンチュウおんちゃんにたのんでつくってもらうことにした。
 チョンチュおんちゃんはぼくのほしいものはなんでもつくってくれた。
 うすいいたで作った飛行機は野原の遠くまで飛んでいったし竹トンボはすこし羽をねじつただけで屋根をこえてまいあがったし、竹馬はいつでも乗れるように裏庭にある。
 …おんちゃんはなんでもつくれるめいじんやな…
 …名人とはおおげさや!きようというもんや…
 …ゲンちゃんよりふといヨーヨーつくってんか!…
 …ちょうど、将棋ばんの足があるさかい大きいのつくれるでェ!…
 その日の夕方までにチョンチュウおんちゃんはウメちゃんとぼくのぶん二ケもつくって、色は?と聞かれ白がええわ!と言うと真っ白のヨーヨーが出来た。
 ウメちゃんはなんかいやってもくるくるまわってゲンゴロウみたいにあがったりしずんだりしよる。
 ぼくのは同じヨーヨーやけどしたまでおちてくるくると上にあがってこんのでウメちゃんのやりかたをみた。
 するとしたまでおちてはんたいにまわりはじめた時にすぐ上へひっぱるとかるい手応えがして胸までくるくるとあがったので…そ、そ、そーや!とウメちゃんにほめられた。
 ゲンちゃんはうらやましそうな目でぼくのヨーヨーをみた。

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