吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

やきものの大地 一

2005年12月16日 08時54分26秒 | Weblog
やきものの大地 一

 一九七八年、厳冬の二月を選んだのは真冬の韓国こそ民俗文化を知るのに最もふさわしい季節と思ったからである。中学時代に北海道小樽で今とは比較できないマイナス十度以下の冬の暮らしを体験していた私にとってマイナス気温は苦にならない。
 金浦空港に着陸して空港の建物の屋根の曲線を見てすぐ、それが李氏朝鮮王朝時代の家屋の絵や戦前の韓国の農村風景の写真でみた光景と重なった。
 以前からあこがれていた李朝の匂いの面影が眼前にあった。
 色とりどりの広告の多い日本と比べてやや暗い感じはしたがすへぼてが簡素の美だった。 空港内の建物か、あるいは冷たい空気のそれか、かすかな匂いが胸にしのびよる。
 断定はできないが韓国人がいつも口にするニンニクの匂いが建物内にとけてしまったような、それほど強くはないけど、成田空港の空気とは違っている。
 どことなくユーモラスな感じの審査官がにっこりしてスタンプを押す。        出口へのゲートを出た途端に出迎えな感じの数百の視線が私にそそがれた。
 見知らぬ数人の男たち近寄ってくせのある日本語で…社長さん、ソウルまて安いヨ!と付きまとう。チェチング キダリョ ケンチャナョ!と下手なアクセントで友人がいるから心配いらん!と下手なアクセントが通じたか通じないのかまさに馬耳東風で、しばらくついて来て勧誘する。
 タクシーはすべてポニーと日産サニーとよく似た名前の小型車である。
 私はタクシーをやめてバス乗り場に並んだ。とにかくソウル市内へ到着すればあとはなんとかなると決め込んだ。
 乗り降りが激しいのと駐留場所ごとに各社のバスが数十人もの乗客をのせるべく激しい乗客の争奪を演じている。
 時々粉雪が舞った。
 漢江(ハンガン)の岸辺は青い氷で彩られ、低い周囲の山々のいただきは真っ白で、八車線もある国道はポニーとどれもこれも車体がおんぼろのトラックが洪水になっている。

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