昭和初期の大阪 六十二 金谷点柱(こんたにてんちゅう)
…母ちゃん!ウメちゃんがうめだ駅に行ったと言うたんや…けったいやでェ!阿倍野の 機関車みただけでにげだしたウメちゃんがなんで梅田駅に行ったんや!?…
…ほんにおかしいのぅ!けんど北海道へ行くための青森行き列車は梅田からでるきのぅ! ウメちゃんの言うたのはでたらめでもないき…
…けどまだ行かへんのやでェ、やはりおかしいわ!…
…ウメちゃんはミコさんといっしょかも知れへんわ…さきのことがわかるかもしれん! …ミコさんって誰や?金光さんのおばはんか?…
…金光さんは先生でもなかなかあたらんき、それよりカムロギの信心修行が大事なんよ …
…ふーん、なんやようわからんわ!…
ウメちゃんの言うたことがほんまになりそうやった。
まもなく北海道の父がこの春に大阪へ迎えにくる手紙がきたとある日、やっと小樽にミシン工場が建って、女工員さんもなんとかそろって、いま工場の宿舎で見習いをしよるそうじゃ…と母ちゃんが教えてくれた。
まもなくぼくが二年生になるのを待って、迎えに来るらしい。
ぼくは東京で生まれ、四才で母の実家の土佐の田舎にあずけられ、ばぁちゃんといっしょに暮らし、一年生にあがるため母が土佐の田舎に迎えにきていよいよこの春に二年生かとおもったらまた北海道や!ぼくだけウメちゃんといっしょにおる!…
…そんな訳のわからんこと言うもんじゃないない、子供は両親とくらすのがいちばんじ ゃけん!ウメちゃんはええ子やったけんどあきらめなあかん!…
母は厳しい顔して言った。
ぼくはウメちゃんちに飛んで行った。
…ウメちゃんほんまや!ほんまや!梅田もほんまや!…
ぼくは靴をなげすてるようにぬぎすててウメちゃんちに上がって叫んだ。
チョンチュウおんちゃんもウメちゃんも口あけたまま驚いてなにも言えんかった。
…母ちゃん!ウメちゃんがうめだ駅に行ったと言うたんや…けったいやでェ!阿倍野の 機関車みただけでにげだしたウメちゃんがなんで梅田駅に行ったんや!?…
…ほんにおかしいのぅ!けんど北海道へ行くための青森行き列車は梅田からでるきのぅ! ウメちゃんの言うたのはでたらめでもないき…
…けどまだ行かへんのやでェ、やはりおかしいわ!…
…ウメちゃんはミコさんといっしょかも知れへんわ…さきのことがわかるかもしれん! …ミコさんって誰や?金光さんのおばはんか?…
…金光さんは先生でもなかなかあたらんき、それよりカムロギの信心修行が大事なんよ …
…ふーん、なんやようわからんわ!…
ウメちゃんの言うたことがほんまになりそうやった。
まもなく北海道の父がこの春に大阪へ迎えにくる手紙がきたとある日、やっと小樽にミシン工場が建って、女工員さんもなんとかそろって、いま工場の宿舎で見習いをしよるそうじゃ…と母ちゃんが教えてくれた。
まもなくぼくが二年生になるのを待って、迎えに来るらしい。
ぼくは東京で生まれ、四才で母の実家の土佐の田舎にあずけられ、ばぁちゃんといっしょに暮らし、一年生にあがるため母が土佐の田舎に迎えにきていよいよこの春に二年生かとおもったらまた北海道や!ぼくだけウメちゃんといっしょにおる!…
…そんな訳のわからんこと言うもんじゃないない、子供は両親とくらすのがいちばんじ ゃけん!ウメちゃんはええ子やったけんどあきらめなあかん!…
母は厳しい顔して言った。
ぼくはウメちゃんちに飛んで行った。
…ウメちゃんほんまや!ほんまや!梅田もほんまや!…
ぼくは靴をなげすてるようにぬぎすててウメちゃんちに上がって叫んだ。
チョンチュウおんちゃんもウメちゃんも口あけたまま驚いてなにも言えんかった。