吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期 大阪から小樽 三

2006年10月26日 05時15分01秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期 大阪から小樽  三                           ビー玉の謎  三
 …金谷さん!さっき釜山中学出られたと聞いたが、ええ家の出で幸せやがァ、わしは中  学三年の春、醤油雑貨をいとなんどった家がつぶれてもうて学校は退学するは、兄弟  はばらばら、ぜんぶワヤや!…
 …それはお気のとくや、パルチャや!…
 チョンチュウおんちゃんは顔を曇らせた。
 …わしは絵がすきでびじゅつの学校をのぞみよったがなんもかもワヤや!…
 絵が好きと言う父の顔をぼくは見た。
 …やはりそうや、ヒロくんにかいてもろた桶つくりのワシのはちまき姿、タナにかざっ  とるさかい!ヒロくんはかっこういちばんの絵描きやでェ!…
 ぼくははずかしゅうになった。
 校内クレヨン画てんらんかいで低学年のほうの金章もろうた絵は水にもぐるゲンゴロウの親子をかいた絵やった。…かっこういちばんはおおげさや!…
 …わしのかわりにせがれはびじゅつ学校へいかせるつもりやがァ!…
 父はじまんそうな顔になった。
 チョンチュウおんちゃんもちゅうがくをでた時、ヤンバンだった家がなにかがおきてきょうだいしんせきがばらばらになって、日本にくればお金もたまるいうてやってきた話をした。
 チョンチュウおんちゃんがときどき口にするパルチャは家がかたむいてきょうだいがちりぢりになるうんめいやそうな。
 チョンチュウおんちゃんはごちそうになったお礼や言うて、青い色のみっつのあしがついたやきものを父に渡した。
 父はきちょうなこうろや!たからや!たいせつにするがァ!と大喜びだった。

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