竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

2022年を振り返り、2023年を読む

2022年12月31日 | 地域エネルギー
激動の〇〇年という表現が、もはや陳腐化するほど毎年激動が続いています。
毎年こんなに大事件や激しい変化が続く時代は過去にもあったのでしょうか?

グリーンピープルズパワー(GPP)の新年のご挨拶はこちら
https://youtu.be/gd0FUEzGZSw
(2023年1月1日午前0時公開)

ルールや枠組みが変化してきた

世界的視点で見ると、2022年はロシアによるウクライナ侵攻が始まった年でしょう。国連という世界平和を維持する枠組みができてから、これほど明確な他国攻撃が行われたのは初めてです。「武力による国境線変更」やその試み、あるいは地域紛争にかこつけて大国が軍隊を派遣するということは、これまでも世界各地で起きていたかと思います。しかしこれほどあからさまに、首都に向けてミサイルを撃つということはありませんでした。
気候危機への取り組みでは、エジプトでCOP 27が開催されました。毎年開催されている気候変動枠組条約締約国会議ですが、今回も当初日程ではまとまらず、24時間を超える一字一句の議論の末に「シャルム・エルシェイク実施計画」が採択されました。大きな成果はなかったように見えますが、先進国が途上国の温暖化対策のために資金援助する「ロス&ダメージ」支援枠組みについて合意が行われた意味は大きいと思います。
気候変動によって存続すら危うい途上国の発言力は大きくなっています。これまで好きなだけ温室効果ガスを出して経済成長した先進各国が、気候変動の影響を直接受ける途上国に何の支援もしないことはあり得ません。存続を助けるだけでなく、先進国と同等の経済成長ができるようなサポートも必須の義務というわけです。途上国の数は多く、常任理事国や安全保障理事会などの中心メンバーである大国どうしの話し合いではもはや何も決まらなくなってきました。
国際法やルールの重みが軽くなり、議論の仕方が変化し、新しい合意方法が求められているように思います。しかしまだ、その方法は見出されていません。

新型コロナウィルスは終わらない

ルールも議論も効果がないものがウィルスや病原菌です。3年経っても蔓延がおさまらない新型コロナウィルスは、健康被害もさることながら、経済の停滞という副作用が深刻な状況になりつつあります。まず消費が止まり、物が売れず、経済が縮小するということです。それだけなら、CO2は減るし、環境破壊も減って良いではないかという考えもあります。しかし長引くと生活困窮する人が増え、貧富の格差が拡大します。子どもの5人に1人は貧困と言われる状況が現に出現しています。
エネルギー業界では、慢性的な半導体不足や電子機器の原材料不足が激しくなっています。ひと言でいうと、モノが作れない状態。中国での新型コロナ蔓延で、各地工場が止まっている・・ということと関係しているのかもしれませんが、本当のところはわかりません。中国がゼロコロナ政策をやめたのは最近で、中国での感染拡大はその後のことですが、半導体不足や原材料不足はその前から発生しています。
ワクチンの行き届かなかったアフリカや中南米で感染拡大している話は聞きませんし、戦禍の中のウクライナ、あるいはアフガニスタンなどでの感染拡大も聞きません。でも、確かに日本では毎日300人、400人の人が亡くなっています。確実に感染拡大しているのです。まったく摩訶不思議です。

安倍元総理銃撃死とGX

衝撃といえば、ロシアのウクライナ侵攻よりも安倍総理の銃撃死の方が日本では大きかったと思います。その亡くなり方というよりも、亡くなった後の変化です。何かの重石が取れたような、言論界、マスコミ界での微妙な変化です。
切り刻んでも死なないのではないかと思えていた安倍元総理が呆気なく亡くなりました。ワンポイントリリーフ的起用で有ろうと思われていた岸田総理の対抗馬はいません。安倍元総理が采配して次の総理を決めていた・・ので、キングメーカーの死は対抗馬の消滅を意味したのです。俄然元気になるかと思いきや、慎重に安倍元総理の政策をなぞっています。いや、軍事費の増額など安倍元総理の上を行っています。新しい資本主義って何だったのでしょう。
ウクライナ侵攻が教える世界枠組みの変化や、新型コロナウィルスによる物流の停滞は、日本が工業製品だけでなくエネルギーや食料まで大部分を輸入に頼っていることのリスクを教えてくれています。船や飛行機を止められると、この国は立ち行かなくなることが明らかです。多くの人がそのことを指摘していますが、不思議なことに政策は切り替わりません。
エネルギー分野でいえば、電気の全需要どころか移動や熱需要も全て賄えるほどの資源が日本にはあります。ただ、それが再生可能エネルギーだというと、この国の多くの人は眉をひそめます。原子力というとても効率の悪いエネルギーを使わせるために、CMや教科書やマスコミ報道など、あらゆるものが動員されて、刷り込みが行われてきた結果です。
原子力の礼賛者であった安倍元総理の死で、その空気が変わったのですが、その変化を全く読めなかったのが岸田総理。そもそもエネルギー問題には興味がなかった人だと思います。超「古典的認識」に基づいてGX(グリーントランスフォーメーション)なる方針を打ち出し、脱炭素を掲げて新型炉開発や核融合など、いまさらというものに150兆円の予算を投じようとしています。原発再稼働はもとより、元々は20年運転の設計でありながら40年に延長されている運転期間を、さらに60年に延長することを決めました。

エネルギー政策はどうなるのか

鉄は錆びるなと言っても錆びるし、放射線を激しく受けた金属の劣化も早いです。自然界の道理に逆らう政策決定をしても、その通りにはなりません。少しずつ「お荷物の」原発からフェーズアウトできると思っていた、大手電力や原発メーカーは頭を抱えているかもしれません。
動かないものに資金を投じ、役に立たない研究に時間を費やす・・これでまた「新たな失われた10年」が作られる。微妙な政治バランスの結果として、こんな状態が日本では少なくとも30年以上続いています。
海外では政治が悪くても、研究者や企業はどんどん「良いもの」へと進んでいきました。その結果として再生可能エネルギー(再エネ)への投資が原発や石炭への投資を遥かに上回るようになり、再エネによる電気の供給が世界需要の28.3%を占めるほどになりました。
日本の産業界はその流れから完全に取り残され、また新型炉や小型原子炉など、おそらく10年後に陳腐化するものに時間を割かねばならないのです。
この不毛な挑戦を止める手立てはありませんが、私たち市民がこれに付き合って、一緒に沈没しないようにする手立てはあります。海外の研究者や企業がやったように、私たちは私たちの道を行くのです。電気、熱、移動などエネルギーを使うのは、私たち市民です。幸にして、私たちは私たちが使うエネルギーを作ることができるのです。
太陽光発電は最も簡単な私たちが作れるエネルギー生産装置です。屋根に置いて、自分の電気や熱をまかなえます。蓄電池も置けば、夜や雨の日も電気が使えますし、災害などで町全体が停電していても電気が使えます。
それを町の規模で作れば、電気の地産地消エリアが生まれます。日本中に無数の地産地消エリアが生まれれば、特別に電気が必要なのは鉄鋼やセメントなどの、電力多消費型産業のみとなります。それすら、専用の風力発電ファーム(1GW規模)と既存の揚水発電を活用することで大丈夫です。
太陽光発電の用地は屋根だけではなく農地が最適です。農地は農地として使い、その上で発電するソーラーシェアリングです。気候変動が激しくなくなる中、農業には「日影」が必要(効果的)と言われる時代がすぐそこにあります。
政府はどうあれ、私たちは私たち・・という実践を徹底すれば、やがて政策がそれに追随するようになるでしょう。



電力システムはどうなるのか

日本中に無数の地産地消エリアはわかったが、送電線はどうするの?小さなエリアでも送電線がないと電気は届けられないよという反論が来そうです。送電線は今のまま使います。小売電気事業者は電気を「託送」してもらうことができます。送電線の所有者は、小売電気事業者から「託送」を依頼されたら、これを拒むことはできません。だから地産地消エリアのカギは「小売電気事業」にあるのです。
私がグリーンピープルズパワーという小売電気事業者を設立した目的はここにあります。日本中どこでも送電線を使うことができるのです。地産地消エリアを作ろうと思う人(団体・企業)には、私がノウハウを伝授しますので、ぜひその地域の小売電気事業者になってください。あるいは取次店、代理店として、地域で作った電気を地域の人に提供してください。簡単です!
無数の地産地消エリアが日本中にできると、送電線を使ってお互いに電気の「融通」をすることも可能です。天候が良いところから、天候が悪いところへ、十分に電気が余っているエリアから、まだ発電所が足りない発展途上のエリアにという風に。
人口1万人の町で、5000世帯として、1世帯3000kWh /年で1500万kWhです。それをまかなう1万kW(10MW)程度の発電所を非FITで作れば昨今の市場価格高騰の影響も受けません。これが1万カ所もできれば1500億kWh、日本の需要の15%の電気を供給する、小売電気事業者集団になります。まずは数年で100カ所にはしたいですね。
これが新しい日本の電力システムです。

最後は資金のみ

2023年は私にとって、またグリーンピープルズパワー(GPP)という小売電気事業者にとって、大きな転機となるだろうと思います。冒頭のGPP新年ご挨拶で話しているように、2023年から全く新しい電気料金制度を導入します。非FITの発電所からの調達を増やし、供給する電気は全て非FITにします。太陽光発電ではカバーできない夜は、非FIT風力と蓄電池VPP(バーチャルパワープラント)で供給します。この構想を「脱FIT・脱市場プログラム」と名付け、昨年から着々と準備をしてきました。
2年にわたって苦しめられた市場価格高騰から、これで解放されると同時に、念願であった再エネ100%電気の供給も実現することになります。GPPは安泰になるはずですが、課題はこのプログラムを実現する資金です。蓄電池にいちばんお金がかかりますが、発電所を含めて1億5千万円くらいかかります。
まだその目処はついていません。1月から金融機関との協議に入りますが、全額が借りられない場合は、これを読んでくださった皆さんに応援をお願いするかもしれません。全額の1億5千万円でも、実は一人30万円で500人いれば達成できます。
私と一緒に大きな夢を実現させたいという方は、ぜひ応援メールをお寄せください。



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