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「ワタミ礼賛インタビュー」に読者ドン引き プレジデント誌の「ほめ殺し」なのか?

2014年08月15日 | ニュース等(新しいとは限らない)
過酷で違法な労働環境があったことを事実上認め、トップが改善を宣言した「すき家」のゼンショー。その一方で、かたくなに「ブラック企業」批判を受け入れず、悪いイメージの払拭にやっきとなっている会社がある。それが居酒屋チェーンなどを運営する「ワタミ」だ。

2014年8月4日号の「プレジデント」には、店長の単独インタビューが掲載されているが、この内容にネットで批判が広がっている。現場でコンプライアンスがおろそかにされていると指摘されかねないことを胸を張って述べる店長のみならず、記事を掲載したプレジデントに対し「何をやっているんだ」と非難する声も多い。(ライター:末広馬ノ介)

本社の監査担当に「焼き鳥運ばせた」とドヤ顔

件の記事は、「ワタミ店長実名告発!『僕は目の前の焼き鳥が冷めていくのが耐えられない』」と題されたもの。しかし中身をいくら読んでも、悪事や不正をあばくような「告発」がひとつも出てこない。

居酒屋「わたみん家」の大船店で店長をしている男性は、店舗が適切に運営されているかチェックしようと訪れた本社の監査部門に対し、熱い焼き鳥を渡してこう言い放ったという。

「とりあえずこれ、運んでもらっていいですかね。冷めるから」

このことは会社でも「店舗の閉鎖が決定しかけるぐらいの大問題」になったというが、結局はおとがめナシで店は続いている。店長は「もっと上の人たちは理解が」あるからだという。前年同月比で130%の売り上げは、全国でもトップクラス。やってやった、というドヤ顔が見えてきそうだ。

しかし業務の実態と問題点を把握するためには、営業時間中に監査を行うのは当然のこと。顧客対応や売り上げが大事とはいえ、実態チェックをおろそかにしてもいいという姿勢では、監査部門も黙っていないだろう。

それを「実名告発」と言うのであれば、上場企業としてのコンプライアンス体勢に対する信頼性を損ないかねないものだ。

もしこのインタビューが、ワタミの法務や広報がチェックした上で出されたのであれば、「うちの現場はコンプライアンスなぞクソクラエでやっております」と高らかに宣言したと受け取られてもおかしくないエピソードだ。

またしても「ブラックだなんて声は関係ない」

さらに店長は、かつてワタミグループで起きた過労死については「痛切な反省をしなくてはいけません」と自戒を込めるが、直後にこう宣言している。

「僕はこれからも働きますよ。『ブラックだ』なんて声は関係ない。会社に必要とされているかすらわからない週休2日の悠々自適の人生もいいでしょう。だけど社会から必要とされるべく毎日懸命に働く人生にだって価値はある」

十分休養を取らせなかったために体調を崩した人の話の後に、週休2日制を「会社に必要とされているかすらわからない」人がやることのようにいうのは、いかがなものか。暗に渡邉美樹氏の「24時間365日死ぬまで働け」を理想とし、それと対比させてついてこられない人はダメと言っているように思えてしまう。

しかし勘違いしないでほしい。誰も「一生懸命働くことがダメ」とは言っていない。自然と過労状態に追い込む企業風土や仕組みが悪いと批判していると、なぜ理解できないのか。

このほか、5歳の息子と3歳の娘と「もっと話したいし、だっこしてあげたい」が、がむしゃらに仕事する背中から「いつか何か感じ取ってくれるだろうと信じています」という。

「典型的な宣伝糞記事ですね」の声もあるが

当然はてなブックマークやツイッターなどでも、ワタミの顧客とも重なりそうな世代の人たちが、冷ややかなコメントを残している。

「この人がどういう仕事観で働いているかはどうでもいい。過労でダウンする人間を多く生み出すような就労環境は改善されるべきだと、世論はそう言ってるだけなんですが」
「ブラック企業というものがなぜ消滅しないのか。その確固たる理由を、彼の言葉の中に確かに垣間見た気がしました」

また、この記事を「告発」と題して掲載したプレジデントの方が問題は大きいという声もある。「模範店長の毒抜き記事じゃん…本部広報検閲済みだろ」「典型的な宣伝糞記事ですね」「ネイティブ広告なら【PR】の文字入れないと」というわけだ。

キャリコネ編集部がワタミ元社員に感想を求めると、「これは告発というより、宣伝の印象ですね。現役の社員だから仕方ないですが(笑)」と諦め顔だった。

一方で、これだけ露骨でツッコミどころ満載な記事は、プレジデントのジャーナリズム精神がなしえた「ほめ殺し作戦」としか思えないという見方もある。みなさんはどう感じただろうか。



http://blogos.com/article/92465/

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監査に関しては大方の日本企業が似たような感じだと思う。
コストセンターにはコストセンターの役割があるが、日本企業は基本的に収益を稼ぎ出すプロフィットセンター偏重である。
従って管理部門は業務の邪魔だとか思っているわけだ。
勿論そういう面もあるが、管理部門がしっかりしている事で企業や従業員の暴走を抑制する事が出来るわけで、
この抑止力、ある種のブレーキがある企業の経営は健全なものとなる。
逆に言えばそういう管理部門を軽視する企業は収益のみを追求し、飽くなき暴走に陥り易いし不正も横行する。

ワタミの誤算はこの店長の話を見ても分かる様に顧客満足を見誤っている点だ。
どんなに店舗で楽しい思いをしようと、自分達客のせいで従業員が酷使されている状況を無視して楽しめるほど日本人は厚顔無恥ではない。
だからこそこの狂った宗教がかった会社が危機に陥ったわけで、この店長はそのワタミの狂った所を擁護する形で火に油を注いでいる。
問題はやはり狂っているのでその組織の内部にいる人間には、それが狂っているのだという意識を抱く事が出来ないのである。

ワタミのお客様の為に必死に奉仕するという姿勢自体は悪いものではないだろう。
だが客の方がワタミの従業員にそこまで無理して頑張って欲しいとは思っていないのだ。
その客の意識に会社が答えていない。
だから気が引けて行かなく成るのだ。
客としてそこにお金を落とす事が、過剰労働の片棒を担いでしまうように思えるからだ。

結果として、今回のワタミの記事は上層部の責任逃れとしては最適なものである。
末端が自発的にやっているのだという方向に持っていくのだからね。
ただ、それは商売ではない。
ただの上層部の自己保身でしかない。
この態度が改まらない限り、ワタミの先行きは暗いだろう。
ましてや今やネットの時代、店名を変えても直ぐにバレてしまう。
いつまでもこうしてのらりくらい現実を直視せずに回避し続けるのは難しいだろう。



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