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横須賀総合医療センター心臓血管外科

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腹部大動脈瘤術後の十二指腸穿孔

2020-01-16 02:02:06 | 大動脈疾患
 腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術後しばらくして十二指腸穿孔を起こすことがあります。
 これは十二指腸壁が人工血管に接している場合、長期間の人工血管の拍動刺激により小腸壁に穿孔を起こすもので、これにより人工血管感染、人工血管吻合部仮性動脈瘤(破裂)などを引き起こし、死亡率の高い病態です。
 こうした状態の予防の為、人工血管置換術後は動脈瘤壁をラッピングして人工血管と小腸壁の間にクッションになるものを留置します。このクッションの目的で大網を間に充填している施設もあると聞きます。まれですがラッピングした大動脈瘤壁の拍動刺激で十二指腸穿孔を起こすこともあります。
 治療はまず、十二指腸穿孔部は通常直接閉鎖して大網充填します。人工血管を除去して同じ部位に再度人工血管を吻合留置する方法と、人工血管を除去して大動脈は閉鎖し非解剖学的バイパス術(両腋窩ー大腿動脈バイパス)を行う方法、人工血管は除去せず大網充填を行う方法などがあります。