山の恵み里の恵み

キノコ・山菜・野草・野菜の採取記録

きのこ名人の死

2009-03-25 09:07:00 | 山の恵み
 きのこ名人がまたひとりあの世へ住み替えました。清水和夫さん、西山信田(にしやまのぶた)で70年余り、篠ノ井西部丘陵から大岡村にかけて、きのこも山菜も、一木一草にいたるまで知り尽くしていらっしゃった、仙人を絵に描いたようなおかたでした。世の多くの「名人」は、一子相伝どころか、我が子にさえきのこの「シロ」を教えないそうですが、清水さんは度量が広く、長年かけて見つけたマツタケやホンシメジの「シロ」に友人知人をどんどん招待し、きのこの見つけ方や見分け方、生えている場所の特徴など、微に入り細に入り、文字通り手を取るようにして指導してくれました。
 ご自分のマツタケ山(持ち山)を一度案内していただいたことがありますが、落ち葉を掃いて地面をきれいにしておくための熊手を肩に、マツタケやホンシメジの生えているところを教えてくれましたが、ときどき「あ、そっちへ行っちゃダメ、そこを踏んじゃダメ」と大声で注意され、どうしてかと思って足をとめると、「ほら、そこの落ち葉の下にマツタケがある、ウシビタイ(黒皮、別名おしょうにん)がある」と指差す。厚く積もった落ち葉を剥いでみると、たしかにキノコが隠れている。
 シモフリ(シメジ)と良く似たキノコがあると、「ほら、これがニタリヤ(似たり?)と言うやつ、こことここが微妙に違う」と示してもくれました。高級キノコ以外にも、数多くの種類を教わりました。アカンボウ(さくらしめじ)、キシメジ、キナコタケ(こがねたけ)、オニギリタケ(からかさたけ)などなど。
 ホンシメジは自然界からはほぼ絶滅、クロカワ(クロッカワ)も大方採り尽くされてしまった今、見つけてくれる名人がいなくなっては、ほかに誰が見つけられるのか。長野市南石堂(いしどう)の名人、居酒屋『幸べえ』のマスター、はお亡くなりになって久しく、知る限りではたったおひとり残った上田市国分(こくぶ)の名人も、先頃脳の大手術を受けられたとか。三大名人がいなくなったら、この世は真っ暗闇、あー、世界はどうなってしまうのか(チト大袈裟過ぎ?)。

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