関西ミドル 雑記帳
不動産賃貸業 元ゼネコン勤務
 



1 倒産の定義と統計をみるうえでの留意点
(1)倒産の定義
 倒産とは、資金繰りの行き詰まりによって事業継続が困難になること(事業を閉鎖する場合だけではなく縮小する場合も含む)である。ただし、統計として把握する際は、東京商工リサーチによる次の定義が一般的である。すなわち、
①手形・小切手の不渡りによる銀行取引停止処分を受けたもの、
②会社更生法の適用を申請したもの、
③商法に基づく会社整理に入ったもの、
④和議法に基づく和議を申し立てたもの、
⑤破産の申し立てがなされたもの、
⑥特別清算の申し立てをしたもの、
⑦内整理に入ったもの、
のいずれかに該当するものが倒産とされている(図-16)。

 以上の七つの事象を大きく分けると、銀行取引停止と法的整理に分かれる。さらに法的整理は、破産、特別清算といった企業の清算を目的とした清算型倒産手続きと、会社更生法、商法整理、和議といった企業の再建を目的とした再建型倒産手続きに分かれる。

 このように、倒産を七つの事象で定義しているのは、倒産の持つ特殊性による。
倒産は誰しも表に出したがらない事実である。
自ら「私は倒産しました」と名乗りをあげる経営者はいないだろう。
そのため統計のうえでは、把握可能な事象を列挙することで倒産を定義せざるを得ないのである。

(2)倒産と廃業・破綻との違い
 倒産の定義が以上のようなものであるため、倒産統計を分析するに当たっては二つの点について注意が必要になる。
 第1は、倒産と廃業・破綻は別の概念だということである(図-17)。
 廃業は事業の終了・撤退を意味する。
倒産に該当しても廃業しない企業がある。
たとえば会社更生法では再建に向けて事業を継続するのが普通である。
その一方で、廃業しても倒産したとはいえない企業も存在する。
経営者が高齢になり後継者もいないため、負債等を整理した後廃業するケースもその一つである。もちろん、倒産と同時に廃業する企業も多い。

 
 倒産は破綻とも別の概念である。近年、金融機関の破綻が相次いでいる。不良債権の増加で財務内容が悪化、それによって格付けが下がるなど信用が著しく低下し、市場での資金調達が困難になった結果、資金繰りに行き詰まるというのが、典型的な破綻のパターンである。資金繰りが行き詰まって事業継続が困難になるという点では、破綻の実態は倒産にきわめて近い。
 しかし、破綻した金融機関の多くは、営業譲渡や廃業という形態で事業を閉鎖しており、倒産の定義である七つの事象のいずれにも該当しない。そのため、金融機関の破綻はほとんどの場合、倒産には該当しないのである。たとえば、9年11月に自主廃業の届け出をした山一證券は11年6月に破産申請をした。この場合、同社は9年11月時点で破綻したが、統計上は11年6月に倒産したことになる。
 いわゆる「夜逃げ」も破綻の一種と考えられるが、手形や小切手を発行していなければ銀行取引停止にはならないので、定義上倒産には該当しない。たとえ「夜逃げ」を倒産の一形態であると定義しても、統計的には把握は困難であろう。

企業倒産調査年報
平成12年9月
中小企業総合事業団
調 査 ・ 国 際 部



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