関西ミドル 雑記帳
不動産賃貸業 元ゼネコン勤務
 



 ビジネスを分類する考えのひとつにストックビジネスとフロービジネスというものがある。

IT業界でも、
システム受託開発などのフロービジネスから、運用・アウトソーシングなどのストックビジネスへとウェイトをシフトしようとしています。

昔は特定ベンダーの製品でシステムを構成し、しっかりサポートすることで、ユーザーを囲い込み、数年毎のシステム再構築の仕事を貰うというモデルでした。
つまりお客様を持っていることが次の仕事を生み出す資産(ストック)でした。

しかしオープンシステムになり、オープンソースも出てきている今、費用対効果にうるさくなったお客様を囲い込むということは不可能になってきています。
いまはお客様でも次の仕事を契約できるかは分かりません。

そこで開発後の運用・保守やアウトソーシングまで一括で請け負うという形でお客様の内部に入り込み、安定した収入を得ようとするストックビジネスを目指すわけです。


 不動産ビジネスにおける具体例を挙げて、考えてみたいと思います。
 
 まず、ストックビジネスは、バランスシートに計上される資産から、定期的にキャッシュフローが生み出される不動産賃貸などです。不動産を保有しているだけで、賃貸料が安定的に入ってきますが、賃貸料ですので、リターンは小さいものになります。

 次に、フロービジネスは、不動産を購入し、他者に売却することで利益を得る不動産売買などです。
有価証券でいうところのキャピタルゲイン(値上がり益)を得ることができますが、売却時の不動産の価格によっては、かなりの利益を得られたり、逆に売却損が出るかもしれないなど、リターンも大きい分、リスクも大きくなります。

どちらかに偏ることなく、バランス良く両方とも持ち、プロダクト・ポートフォリオの分散を図ることが、リスクヘッジになります。

 ストックとフローは金融商品で言えば、債券と株式です。両方を保有していれば、債券で安定収入を確保する一方で、株式でチャンスに応じて大きく稼ぐことが可能となります。

 しかし、株式だけでは、キャピタルゲインを得られる状況になるまで、全く収入がなく、かつ、必ずキャピタルゲインを得られる保証はありません。また、債券だけでも、収入は安定するものの、なかなか次の投資に充てるような大きな利益を得ることができません。よって、両者をバランス良く、保有する必要があるのです。

 因みに、官公庁が導入するシステムの入札などで、1円で落札されることがあります。これは、官公庁向けの導入実績を積むことも目的ですが、実は、1円で落札しても、その後の定期的な保守料収入を見込んだものであり、こういったシステムの保守なども企業ではストックビジネスとしてとらえ、安定した収入源のひとつと考えています。


 建設・不動産業におけるストックビジネスとは?

 今までは建設・不動産業はフロービジネスの典型でした。ストックビジネスを行うのは施主でした。

 つまり、建設業は建物を造って売ってしまえば、それっきりだったのです。その建物を使ってキャッシュフローを生んでいくのは、建物の使用者でした。

 それが、長谷工では建設した老人ホームを自らが運営していくことにしたのです。

 つまり、フローで売り切り利益を上げる商売だけではなく、資産から継続的に上がってくる利益を取りにいったというわけです。

 前の「ストックビジネスとフロービジネス」で書いたとおり、フロービジネスだけでは、事業リスクが大きいと判断したのでしょう。

 ちなみに、最近私はもっと小さい例で思うのですが、継続的に利益の上がる仕事(ストックビジネス)を持っておくと、その利益をベースとして、新しい仕事にチャレンジしやすいということです。

 大抵のビジネスマンは毎年査定があるわけですから、新しい仕事、特にスパンの長い仕事にチャレンジしていると、1年間まったく利益が上げられないという事態がありえます。

 しかし、ストックビジネスを持っておくと、とりあえず最低限の利益は生み出し続けてくれるので、自分の販管費をまかなうことが出来れば、あまり肩身の狭い思いはしなくて済みそうです。


富士通
アウトソーシングサービスの量的拡大、IP電話を主軸としたネットワークビジネスの発展、サポートサービスによるストックビジネスの拡大を図る。



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