2006年12月14日 (木)経新聞市況面コラム「大機小機」から
「いざなみ景気」
「いざなぎ景気」を超える長寿景気が続いている。今回の大型景気は日本経済の自律回復で始まったが、同時に世界景気の上昇波動が重なった。世界景気は国内景気と同様、2002年に始まり拡大5年目だが、来年も5%近い高成長が予想されている。新興国群の同時誕生で半世紀ぶりに世界景気の上昇波動が始まっている。
いざなぎ景気は日本経済が離陸する過程で、物質的豊かさを追求した男性主役の景気だった。57ヶ月間、調整なしに一気に駆け上がった「富士山型」景気だ。今回は日本経済が熟成する過程で、文化や芸術など心の豊かさを追求する女性主役の穏やかな景気だ。資源価格高騰や公共投資削減などの逆風の中で、何度も踊り場を繰り返しながら、幾つもの山が延々と連なる「アルプス山脈型」景気になりそうだ。「いざなぎ景気」より長寿の今回の景気を神代の女神、伊邪那美命(いざなみのみこと)にちなんで「いざなみ景気」と命名したらどうかという声がある。
世界景気の上昇波動は当分揺るぎそうにない。国内景気は目下3回目の踊り場だが、交易条件の下げ止まりや消費動向調査など、最新のデータは景気の再浮上が近いことを示唆している。