地役権
ちえきけん
地役権とは、設定契約で定めた目的(通行・眺望・日照・引水など)に従い、他人の土地(承役地という)の便益のために利用する物権である。
例えば、甲地が道路に通じない場合、乙地に通行地役権を設定して、ここを通行することが可能となる。
地役権も地上権同様、抵当権の目的とすることができる。
地役権は、地上権、永小作権と異なり次のような特有の性質を有する。
(1) 附従性
地役権は、要役地が移転すればそれに伴い移転する。
(2) 不可分性
ア、要役地が共有の場合、共有者の1人が地役権を時効取得すると、他の共有者も地役権を取得する。
イ、要役地が共有の場合、共有者の1人が消滅時効を中断すれば、その効力は他の共有者に及ぶ。
ウ、要役地又は承役地が共有の場合、共有者の1人は、自分についてだけ地役権を消滅させることができない。
エ、土地が分割されたり一部譲渡された場合、地役権はその各部分のために存する。
地役権は、当事者間の設定契約により成立するのが通常であるが、取得時効によって取得することもできる。
ただし、承役地の所有者が知らないうちに、地役権が時効取得されることを防止するために(時効中断の機会を与えるために)、「継続且つ表現」(地役権の継続的な行使が外部から認識できるもの)の地役権に限り、時効取得が認められている。
地役権の存続期間については制限がなく、自由に定めることができる。
特約がない限り、使用料の支払いを要しない。
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特定の目的を達成するために他人の土地を利用する権利で、当事者の契約によって生じる。
賃借権や地上権を設定することもできるが、公道へ出るための通行権を設定する場合や他人の土地を通らないと給排水管などを本管につなげない場合など、より軽い負担で解決できるような場合に設定される。
権利の種類は所有権などに従属する物権。
また、利用する他人の土地を「承役地」、それによって利益を受ける自分の土地を「要役地」という。