人間誰でも自分が嫌になる時ってあるだろ?
自己嫌悪ってやつ。
普段は人生楽勝気分、少々のことはなんとかなるさってボジティブ思考のこの俺も、生きてるのが嫌になるくらい一気に落ち込むことがある。
「今日は肉でも焼いて食うか〜」
ってルンルン気分(死語)で冷蔵庫から取り出し、常温近くに戻した肉を温めたフライパンに投入。
焼肉なら塩胡椒を下ごしらえで先にしたりするが、ステーキは焼き始めてからだ。肉汁が出てしまうからな。肉大好き人間としては焼き方にもこだわるぜ。
うーん、肉の焼ける音はいつ聞いてもいい音だ。焦げ目はメイラード反応っていうんだぜ。これつけるために肉は高温で一気に焼かなくちゃね。
おっといけない、塩を振るぜ、そしてお次は胡椒だ。
胡椒をかけたその時、俺の眼の前には信じがたい光景が・・・。
一瞬何が起こったのかわからない。
いや、見た通りのまんまだ。眼の前には大量の胡椒が降りかかった肉がある。それはわかってる。
だが、頭がついていかないのだ。理解不能。
何故...?何故こうなった?
数秒フリーズしてたよ。
中蓋が、外れてたのか...。
一瞬で奈落に落とされた気分。
自分が嫌になったよ。生きてるのが嫌になったよ。
さぁ、どうする。
1,一度皿にとって、ベランダに持って行ってフーッと息をかけて飛ばす。
2,スプーンかなんかでヘズる
3,スープを作ってその中に入れて薄める
4,諦めて何もなかったかのようにこのまま焼いて食う。
ここ最近、最新OSにバージョンアップされていない俺の脳みそ。CPUをフル回転させてもあたふたするだけで考えがまとまらない。
それどころか俺のメモリーは二十歳前後の頃の記憶を呼び起こす。
そうあれは京都白川通にある24時間営業のバッティングセンター。併設されたゲームセンターに毎晩、車のチームのみんなと出入りしていた頃だ。
ある日の深夜、カップヌードルを食おうとお湯を入れた。半分くらい入れたところで無情にもゴボゴボと音を立てるポット。お湯が足りないってのも人生が嫌になってしまうほど落ち込むが、その時はそれではなく、さぁ食べるぞと蓋を開け、テーブルに置いてあった胡椒を振りかけた途端、目の前には信じがたい光景が広がった。
そう、あの時も胡椒の中蓋が外れてて、大量の胡椒まみれになった無残なカップヌードルがあった。
もうとっくに忘れていた記憶が蘇ったところで、今の俺にどうしろと。
そう、あの時も一瞬で自分が嫌いになったな。
あの時はどうしたっけ?
吹いて胡椒飛ばしたっけ?そのまま食ったっけ?覚えちゃいないよそんな昔のこと。経験は人生の糧にになるなんていうけど、何の役にも立たないことだってある。
なんてアタフタしながらも写真をしっかり撮ってる俺。なぜだ。
ラーメン屋とかでいつまでも写メ撮ってる奴を見ると「はよ食え」「冷めるで」とか「インスタとかにアップするために頼んだのか?」って思うくせに、なぜこんな時に俺は写メ撮ってるんだ?
パニックになった時の人間の行動はよくわからん。
事故現場に遭遇した時に、倒れてる人を助ける前に写メを撮るような奴に俺はなってしまうのだろうか。ますます自己嫌悪が酷くなる。
ってそうこうしてるうちに片面(底面)は焼けてしまってる。ひっくり返さねば。さらにこれでコゲコゲになってしまったら、もうただの元は肉だったらしい残骸にしかならん。メイラード反応どころではない。
ひっくり返す。いい焼き色だ。
こっちの面にも塩と胡椒・・・。
いや待て、塩はともかく、肉30枚分くらいの胡椒がすでにかかってるのに、なぜまだかけようとする。大丈夫か俺。
いっその事、島唐辛子や日本一辛い黄金唐辛子をかけてもっと辛くしちゃうか。
つい最近見つけたペヤング激辛ソースや大阪老舗の激辛ソースをかけて、もう何が何だかわからんが「とりあえず激辛料理です」にしてしまうか。
香辛料や辛いソースなら家に腐るほどあるぞ。
沖縄のアカハチやブートジョロキア入のデスソースセット
どれをかけるか。いや無駄か・・・。
って思ってるうちにさっきの胡椒まみれの片面が焼き上がる頃だ。
ひっくり返してフライパンをコンロから降ろして、濡れ布巾の上において一度冷ます。なんてことはせずにとりあえず肉をひっくり返して弱火にする。何をしてるんだ俺は。時間稼ぎ?人間、正常な判断ができない時は意味不明の行動をするなぁ。
醤油にニンニク(ガーリックパウダー)を入れたやつを作り、それを肉にかけて胡椒を洗い流すようにしてみたらどうだろう。焼け石に水どころか火に油かもしれんな。無駄な抵抗はやめとけよ・・・。自問自答。
もういいや、とりあえずこれ焼きあがったら食ってみよう。
ようやく選んだ答えは
4,諦めて何もなかったかのようにこのまま焼いて食う。
だった。
テレビ番組ならめちゃくちゃ料理のあとタレントが口押さえて騒いで、テロップで「このあとスタッフが美味しくいただきました」になるんだけどな。
テレビ局のスタッフ曰く「ただでさえ無茶苦茶に作られた料理。収録後はしかも冷めてしまってるのに美味しく食べられるわけないだろ(怒)」とボヤいてたことを思い出す。ほんといらん事しか頭に思い浮かばん。
あれれ?
意外と食えるぞ。
ちょっとピリピリだけど、なんか普通に食えれるぞ。
俺の味覚はちょっとヤバい状態なのかもしれん。味蕾がかなり崩壊してるのかもしれない。
人生なんとかなるもんだ。
落ち込むのも一瞬だが、立ち直るのも一瞬だ。
おさわがせしました。
ラック付きで気に入って買ったDULTONのスパイスケース。
もし買うことがあったら中蓋には気をつけて。
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