GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

Godiego 浅野孝巳さん死去

2020-05-13 15:04:40 | MUSIC/TV/MOVIE

ゴダイゴのギタリスト、浅野孝巳さんが亡くなられた。

新型コロナは関係ないみたいだが、また一人ロックレジェントがいなくなった。

 

ゴダイゴと言っても今の若い人は「誰?」ってな感じだろうな。

『西遊記』のテーマ曲「Monkey Magic」歌ってたバンドだよって言っても、俺らが観てた堺正章・夏目雅子の方ではなく、香取慎吾・深津絵里の方の西遊記をイメージして「主題歌歌ってたバンドってMONKEY MAJIKでしょ?曲名はAround The Worldでは?」って会話がかみ合わない気がする。

西遊記は他にも唐沢寿明・牧瀬里穂バージョンとか、本木雅弘・宮沢りえバージョン(伊右衛門だ)とかもあるから、こちらをイメージされるともう何が何やら。話は絶対かみ合わないだろう。

 

堺正章・夏目雅子の『西遊記』のテーマ曲は「Monkey Magic」だが、なぜか「ガンダーラ」の方が主題歌だと勘違いされてる。「Monkey Magic」は全部英詞なので、日本語詞で始まる「ガンダーラ」の方が口ずさみやすかったからだろうか。

 

ゴダイゴのすごいところは歌詞に平気で英語をぶっ込んできたこと。まぁ、ロックなんだから英語で歌っても全然問題ないでしょ?って今の人たちは思うかもしれないが、当時の日本の音楽業界は、外国語の曲(及び外国人が歌う曲)は「洋楽」、日本語詞(及び日本人歌手)の方は「邦楽」ってザックリ分けられてたのよ。

 

その頃でも外国の歌をカバーしたのとかあったのよ。あったけど、なんか変な日本語歌詞(訳詞)をつけられてたのよ。「愛の讃歌」とか「サントワマミー」とかね。原曲歌詞で歌う方が絶対メロディに合うのだけど、浸透してたのは越路吹雪さんの日本語詞バージョンね。(まぁこれも忌野清志郎が歌うとかっこいいロックになるのだが)

「ビューティフル・サンデー」って曲なんか、サビの部分が「あ・の・すば、すば、すば、素晴らしいサンデー」という「これ、日本語としてどうなの?」って、符割に無理矢理当てはめた日本語詞だからね。

クラシックでも「第九/歓喜の歌」や「野薔薇」も日本語詞つけられてるし、賛美歌なんかもそうだ。ツレの教会での結婚式に参加した時、渡された紙を見て「シュワキマセリ」というのは謎の掛け声ではなく「主(神)が来られますよ」の「主は来ませり」だってわかって、厳粛な場なのに笑いを抑えることができなかったくらいだ。当時学校の音楽の授業で習うのは「オーパッキャラマオ〜」とか「どんどんヒャララドンヒャララ」とか、擬音入り歌詞の曲が多かったのよ。

 

ちょうどその頃、日本音楽界にもチャーや世良公則&ツイスト、原田真二なんかが出てきて「ロック御三家」なんて呼ばれてたけど、歌謡曲全盛の邦楽界ではやっぱり日本語詞が求められてた。「日本人なんだから日本語で歌え」って。「ロック?そんなん知らん」「外国語だったら歌詞の意味がわからんやろ」ってね。

 

嫌だったろうな。なんで外国発祥とはいえロックを日本語で歌わせるんだってね。ちなみに後にLOUDNESSになるLAZYも、デビュー当時はアイドルグループ扱いだった。

日本語だとロックのリズムに合わねぇ、イントネーションにメロディが合わねぇ、語尾が上がる下がるで意味が違って聞こえてしまうって、いろいろ欠点があるのよ。サザンオールスターズが出てきて「あぁこの手があったか」ってなるのはもうちょっと先だ。

 

だけど、ゴダイゴは「これでもか」ってくらい潔く英語の歌詞で勝負。テレビ主題歌なのに全部英語歌詞という冒険。チャレンジャーである。

タケカワユキヒデさんの英語の発音がまたいいのだ。確かNHKラジオの英会話教室(基礎英語だったっけ?)の講師もされていた記憶がある。そのタケカワさんが「僕にとっては英語も日本語も一緒ですけど?あなたは違うの?」なんてプロデューサーに言ったのではないかな?

それか「うちのバンド、ドラムとベース外国人ですけど?」って、ミッキー吉野さんがレコード会社のお偉いさんに言ってたりね。あくまでも俺の勝手な想像だが。MONKEY MAJIKもカナダ人2名と日本人2名の混成バンドだから、なんとなくゴダイゴと似てるよね。

 

ゴダイゴがその後出した「銀河鉄道999-The Galaxy Express 999」もサビは英語だ。これがスムーズに歌えるようになるとちょっと自慢できる。でも意味はよくわかってないのよってのはさておき、英語詞は歌えるとかっこいい。

小林明子の「恋に落ちて」も大部分が英語詞だ。この曲もカラオケでネイティブ発音で歌われたら「やるなぁ」って感心してしまう。

まぁそれでもやっぱり、日本の音楽産業は日本語詞を使わせたがる。外国の曲をカバーさせても基本日本語詞だ。

麻倉未稀さんが歌った「ヒーロー(原曲:Holiding Out for a Heroボニータイラー)」も日本語訳詞だ。これ確かTVドラマ・スクールウォーズの主題歌になったんじゃないかな。

登美ケ丘高校ダンス部が使ってリバイバルヒットになった荻野目洋子の「ダンシングヒーロー(原曲 Eat You Up/アンジーゴールド)」とか、石井明美の「CHA-CHA-CHA(原曲:フィンツィ・コンティーニ」とかね。外国の曲に無理矢理日本語詞乗っけるから、原曲知ってたらすごく違和感がある。

「アッチッチ」という印象的な日本語詞が乗った郷ひろみの「GOLD FINGER '99(原曲:リッキーマーティン/Livin' La Vida Loca)」くらいの潔さがあればなんだけどね。

 

ゴダイゴのすごいところは歌詞もそうだけど、曲に壮大なる世界観があるところだ。別に歌詞に英語が入っているからではない。曲調のせいなのか、演奏のせいなのか、それともそれがバンドの持つ世界観なのか、なんというか壮大なのよね。

「ガンダーラ」は、過酷なシルクロードを旅してインドまで行くという西遊記の世界を見事に表してる曲だ。

 

この頃は、久保田早紀の「異邦人」、庄野真代の「飛んでイスタンブール」、ジュディオングの「魅せられて(エーゲ海に捧ぐ)」と、日本ではやたらと中東イメージする曲が軒並みヒットしてた。今と違って西アジア・中東はまだまだ未知の国だったもんね。そんなんもあって「ガンダーラ」はヒットしたんかなぁ。

 

最近ロック創世記のバンドメンバーが次々とお亡くなりになられる。まぁみなさんお歳なんだから仕方がないんだけどさ。

おかげで最近は、昔の曲ばかり引っ張り出して聴いている。

 

Godiego。生きて死んでまた生きる。輪廻転生。

ご冥福をお祈りします。



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