君が代は難しい。
9月15日の日曜日に来られたお客様が「今日ここに来る前テレビでマラソンMGCを・・・」と話し出した。てっきりマラソンレースの話かなって思ったら、開始前の国歌斉唱の話。君が代をコブクロの小渕さんが歌ったらしいんだけど、かなりひどかったって。まぁ、君が代は難しいし余程の声量と音域がないとね、なんて話してたんだが実際に聞いてないのでどうひどかったのかがいまいちわからなかった。
で、ようやくYoutubeで見つけて聞いてみた。
うん。こりゃひどい。今まで聞いた君が代の中でトップレベルの酷さだ。
出だしのキーを間違えたのかな。必死にファルセットを使って耐えてるけどかなりきつかっただろうね。それでも最後まで歌いきったのはプロ根性だな。かなり無理やりというか強引というか意地というか、一般人の仲間内カラオケなら「ごめん、もう一回」と歌い直したり、いきなり下げて歌ってみんながガクってなったりとかできるんだけどね。多分小渕くんも脳内では「誰かリモコンでキー変えてくれ〜」と叫んでただろう。「隣に黒田俊介がいないと調子が出ない、俺はハモりで歌う癖がついてしまってるんだ〜」かもしれない。
なんて妄想をしてしまうくらいひどかったが、放送事故レベルの君が代斉唱は過去にいくらでもある。
郷ひろみ、北島三郎、堀内孝雄。歌が上手い人だが君が代は合わなかったんだろう。まだアイドルとか歌がそんなにうまくない人の方がなんとか歌えてしまったりする。実際SMAPがジャイアンツ戦かなんかで国歌斉唱したがそんなにひどくなかった。歌が上手い人ほどそのギャップで「えっっ!!??」ってなってしまうのかもしれない。
俺は小学校の途中で転校したんだが、その学区は某政党が強く、小学校では君が代を歌わせない、国旗掲揚もしないという馬鹿げた教育方針。西宮(兵庫)では普通に歌ってた国歌が高槻(大阪)では否定されてるのだよ。それは君が代だけじゃなく、授業でも日本はアジアに悪いことをしたが随所に出てきて、大人になって自分で勉強するまですっかり信じ(洗脳)させられてたよ。
で、すっかり疎遠だった君が代。「素晴らしい歌だ」「すごい歌だ」と認識したのが、サッカーJリーグ発足当時にあった親善試合での国歌斉唱。歌い手は松崎しげる。テレビで何気なしに見てたんだけど、これはすごかった。思わずボリューム大。歌い終わった後に「美しい人生を〜」と続けて歌ってほしいとさえ思った。
そのあといろんな歌手の君が代斉唱を聞いてきたが、圧巻だったのが小柳ゆき。ホンマに16歳か?ってくらいデビューの時から歌唱力のある子だったが、日米野球かなんかの試合前に国歌斉唱したの。アメリカの国歌「星条旗(よ永遠なれ)」を堂々と歌い上げ(もちろん英語詞で、そのあと続けて日本国歌の君が代を斉唱。もう鳥肌ものだ。
だから歌が上手い人ほど君が代が合わないってのではないだろう。キーが高い人が合わない?いやいやTMレボリューションの西川はそつなく歌ってた(ただしテンポはかなり早かった)。平原綾香の君が代斉唱は何回か見た(昨日のラグビーWカップでも歌ってた)がやはりうまいもんな。山崎育三郎も以前聞いたがうまかった。
だいたい、君が代という歌は難しいのだ。
詞とメロディが一致していない。どこが区切りかわかりにくい。永六輔さんが怒りそうなほど歌詞とメロディが合ってない。(意味がわからない人はそのままスルーしてね)
出だしの「君が代は」からして「きーみーがーぁーよーぉーわー」となってる。これを重厚なメロディで歌えと。更に「千代に八千代に」の「ちーよーにぃいぃ」の後「やぁ」でいきなり上がる。そして「さざれ石の」の「さ」でまた上がり「れ」で切れる。さざれ石のではなく「さざれ」「石の」となってしまう。五七調の日本語歌詞になれた人がいきなり森進一や久保田利伸を歌うようなもんだな。歌詞が全然頭に入ってこない。
元々君が代は古今和歌集の和歌にメロディをつけたものだからね。(確か明治時代だったはずだが記憶曖昧)元々の歌の意味は要約すると「大きな岩が砂のように小さくなるくらい永い時、君を想っていますよ」だが(決して天皇陛下を敬う歌ではない。共産党よ、よくも嘘を教えてくれたな)、このメロディでは絶対歌詞が頭に入ってこない。日本語というのは不思議なもので一つのセンテンスが途中で切られたり、語尾のイントネーションの上がる下がるで意味が変わってしまうものが多々ある。したがってこの君が代を想いを乗せて歌うなんて芸当ができる歌手は少ないはずだ。
歌唱力のある歌手が如何の斯うのと音楽評論家のように書いたが、君が代を歌うのに音域はあんまり関係ない。せいぜい1音階(1オクターブ)だもの。出だしの「きーみー」の「み」がドで一番低く、「八千代に」の「や」などがオクターブ高い「レ」だ。従って出だしのキーさえ間違えなければそれほど無理せず歌える。国歌だもんな。コーラス隊や声楽家しか歌えないとかだと大変だもの。
でも、厳格重厚なメロディ(NHKの放送終了後に流れてたやつとかね)につられ、つい「この歌は低いぞ」と勘違いしてしまい、出だしのキーを上げて歌い始めてしまうと後が大変。「「さざれ石の」の「いーしーのー」部分でオクターブ上の「レドレ」がかなりきつかったりする。そしてクライマックスの「苔の」の「ラドレ」からの「むーうーすーうーまーぁぁでー」(ドレラソレソミレ)と一気に歌わなくてはいけない。息継ぎはどこでって感じ。
コブクロの小淵くんが失敗してしまったのは、この出だしのキーを間違えてしまったからだな。映像ではよくわからなかったが、多分アカペラ(独唱)で伴奏なしだったのではないかな。それともイヤモニやモニターの調子がおかしくてオケが聞こえなかったか。「音が反響して」とか弁明してた記事があったが、屋外だぞ。だいたいコブクロでスタジアムやドムでのコンサートや、野外のフェスなど何回も経験してるだろ?これは的外れ。却下。あのキー、あのファルセットで最後まで歌いきったのは見事だと思うけど。
まぁ音域よりも声量(というか肺活量)が必要な難しい国歌、君が代。うまく歌えない歌手は、以前玉置浩二がやった独自なアレンジ君が代にしてしまう方がいいかもしれないね。ただ聞きなれたメロディーやテンポを変えられると聞く方はめっちゃ気持ち悪いんだけどね。
忌野清志郎の「パンク君が代」のようにロックアレンジにしてくれた方がマシかな。あれはあれで物議かましたけどね。「冒涜してる」とか言われてね。ジミ・ヘンドリックスのウッドストックでの「The Star Spangled Barnner」は「名演だ」って認められてるのにね。変なの。
君が代と日の丸。でもう一つ。
フィギュアスケートのオータムクラシック2019の表彰式。羽生結弦選手が優勝した表彰式で、国歌(君が代)が流れた際どこにも日の丸が掲揚されてなかったことに気づいた3位のメーシング選手が、表彰台の後ろにあった日本の国旗を手で広げた。それに気づいた羽生選手は表彰台を降りて国旗を正面にして頭をさげる。君が代が流れ終わるまでメーシング選手は国旗を広げて持っていてくれた。メーガン選手はカナダ人だが、祖先かなんか日本に関り合いあるのかな。
お隣の日章旗が五輪憲章にどうたらこうたらと難癖つける国に聞かせてやりたいくらいのいい話だ。(自分の国で冬季五輪やった時は平気で統一旗掲げた国なんだけどね)まぁ日本でも、アマチュア野球の選抜チームユニフォームから日の丸外すバチあたりなお偉いさんもおるみたいだからね。(そのくせ「日の丸を背負って」とか言うんだよ、これがまた)
もっとこのニュースを含め、日の丸や君が代の関連ニュースは日本でも流れてもいいのだけど、あまり流れてないような気がする。気のせいかな。
これからも君が代と日の丸。
せめてスポーツの世界では右の人も左の人も大事にしてくれよ。