福山雅治主演の集団左遷!!
どうなのこれって。
第1回目の放送を見たが、正直「うーん・・・」って感じ。面白くないわけではない。久々に見た三上博史の片眉を演技(勝手にネーミング)も悪くないし、社会ドラマでこの人が出りゃ締まる香川照之も相変わらずのくせ者ぶりを演じてます。
原作は江波戸哲夫氏の『集団左遷』と『銀行支店長』が原作で、銀行を舞台に繰り広げられる熱いワーカードラマだ。
そう、堺雅人主演で大ヒットした『半沢直樹』から続く、企業や組織のしがらみの中で情熱を持って働く男たちの話。銀行が舞台だと、どうしてもこの『半沢直樹』と比べてしまうのよね。
福山雅治がいくら土下座をしても『半沢直樹』で香川照之がプライドずたずた渾身の土下座にはかなわないし、小手伸也が嫌味な銀行監査を演じても、片岡愛之助のあの不気味さ&嫌味さと比べてしまうのよ。
そしてこの集団左遷は1994年に柴田恭平主演で映画化されてる。(共演:中村敦夫/津川雅彦)だから実写化というよりはリメイク版なんだけどね。これと比べてしまうのもどうだかなぁ。映画公開時(1994年)とは時代が違うから、今回の福山版は現代の時勢に合わせてるからね。
ではこのドラマ、面白くないかといえばそうでもない。人気のある日曜劇場だし、福山主演だからスタッフも揃えてるだろうし、予算はふんだんにかけてるだろうからか、結構見れてしまうのよ。
第一話は、福山に銀行の支店長の辞令が降りるが、その蒲田支店は光友銀行に吸収合併された大昭和銀行の元本店。元大昭和銀行で今はお飾りの光友銀行頭取の市村正規の反対も虚しく、三上博史演じる常務取締役が廃店にしようとしてる支店の一つ。福山は「頑張らなくていい」と三上に釘を刺され、赴任していってみれば元光友と元大昭和で派閥はできてるし、副支店長の香川照之は真面目に業務をこなすが定時で帰る。神木隆之介は始業ギリギリに来るゆとり世代行員で、井之脇海は融資先の社長が夜逃げして「死にたい」と口癖のように言う。
ここら辺で「あぁ、このダメ社員を熱い情熱で変えていく物語かな」なんて早合点したら大間違いだった。神木隆之介は営業で初めて取引先となった工場をなんとか貸しはがしから守ろうと紛争するし、井之脇はなんやかんやいって福山と一緒に逃げた社長を追いかける。半沢直樹の最初も確かこんなストーリーだったな。ここら辺もデジャヴ感が強いのよ。原作は全然違う人なのにね。変なの。
NHK大河『龍馬伝』で岩崎弥太郎を怪演した香川照之が、龍馬を演じた福山雅治と組んでるだけでも違和感があるのだが、蒲田支店の行員の中村アンと本部鑑査室の小手伸也ときたらもうフジの『SUITS/スーツ』とデジャヴになってしまう。
副支店長の香川照之は旧大昭和銀行系の人間で、定時で帰るのは訳があるのだろう。原作を読んでいないのでわからないが、ドラマでは病院の前でのシーンがあった。けど、まさか奥様(西田尚美)が入院してるとか子供が病気だとかじゃないだろうな。それじゃぁまるで『下町ロケット』の徳重聡だよ。「帰りま〜す」とか「残業だぁ〜」って叫ばさないよね。
そういや『下町ロケット』のWOWOW版での主役(TBS版で阿部寛が演じた役ね)は三上博史だったなぁ。
さらに言えばナレーションが貫地谷しほりってのもなぁ。彼女はテレビ東京系で今クールやってる、玉木宏主演の『スパイラル〜町工場の奇跡〜』で、銀行の貸しはがしにあいかけ倒産しかけてる町工場の長女を演じてる。そんな人になぜこのドラマのナレーションをさせたんだろう?
頑張ってしまうサラリーマンを福山雅治が演じ、頑張らず定時で帰る女を吉高由里子が『わたし、定時で帰ります』を演じる。この対極になるドラマの主演を共にアミューズがやってるが、肝心のアミューズは労働基準局(監督だったかな)が入って是正命令が出てるという皮肉さ。まぁ芸能界に労働法を適用しようってのが無茶なんだけどね。
ちなみに神木隆之介もアミューズだ。
エレファントカシマシが歌う主題歌「俺たちの明日」はすごくいい曲で、ドラマにも合ってるのでケチをつけたくないのだが、エレカシもアミューズ。こうなると「どこまでアミューズで固めるんだ!」って思ってしまうのだよ。
あ、それ以前に、福山雅治にスーツが似合わないぞ。銀行員らしい吊るしのスーツを着せて、さらに走らせるのは似合わないと思うのは俺だけか?走って息切れしてはぁはぁ言ってる福山。、なんか違和感があるのよね。これがこのドラマに入り込めない原因だとなんとなく思ってる。今後、自転車を漕ぐシーンがないことを祈る。多分、福山ファンはそんな福山は見たくないだろう(と勝手に思う)。