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バーボングラス片手のロックな毎日

西原理恵子と高須院長

2016-05-31 03:14:43 | BOOK/COMICS
西原理恵子さんの漫画が好きだ。
この人の視点が好きだ。
ひねくれてるようで真理。有無を言わせない断言と説得力。人からすりゃ「おいおいヤバイんでない?」って私事も、すごく悲惨な出来事も、この人は笑いとばして描く。
この人の本を読んだら、「たいていの事はなんとかなるよ」と思わせてくれる。

サイバラさんの漫画はほぼ全部持っている。
古くは「ゆんぼくん」や「チクロ幼稚園」、「恨ミシュラン」「サイバラ茸」「鳥頭紀行」「できるかな」、「毎日かあさん」や「人生画力対決」と出る本出る本買ってる。「晴れた日は学校を休んで」とかのエッセイも買うし、「人生小学一年生」とかの企画ものも買う。「パーマネント野ばら」や「上・京・物・語」なども買う。
あげくには、中島らもの「明るい悩み相談室」や清水義範の「勉強シリーズ」など、サイバラさんがちょこっとでもイラストを描いてる本も全部買う。
そう、もはやサイバラマニアと言っていいかもしれない。



この人は誰かと組んでも本領発揮する。
デビュー当時から世話になってる山崎さんには弱いみたいだが、この山崎氏と組んだ一連のギャンブル系漫画は西原さんのルーツだ。(「サイバラ茸」には単行本になってないギャンブル物の古い漫画や単発物がまとめてあるから是非読んでほしい)



先の中島らもや清水義範を始め、ゲッツ板谷、宮崎学などの本に、西原理恵子の漫画が載ってるだけで一段と面白さが増す。



佐藤優との「週間とりあたまニュース」などはその典型的な例。難しい時事問題もサイバラにかかれば日常茶飯事のように思えてくるから不思議。

西原さんと組むとなぜか皆さんなんか文体がサイバラ文体になってしまうのだが、故鴨志田さんと組んでた時は、西原さんが鴨ちゃん寄りになっていってたね。戦場カメラマンでアル中で、結婚して離婚してって。その頃の絵はすごい乱れてる。
鴨ちゃんと出会った頃の鳥頭紀行(アマゾン編)あたりの絵柄は好きなんだが、アジアパー伝あたりからちょっと汚い絵柄になった。離婚してちょっと戻ったから、かなり当時は精神的に病んでたのかな。



その鴨ちゃんと別れる時や、復縁する時、そして亡くなった時に支えてくれたのが、現ダーリンの高須院長。
「できるかなシリーズ」で西原さんがホステス体験した時も、伝家の宝刀“ブラックカード”でサポートしたり、「毎日かあさん」とかにもしょっちゅう登場してた。友達なのかタニマチなのかよくわからんが、いいコンビだ。今は籍を入れたのか一緒に暮らしてるのかもよくわからんが、そんな瑣末なことはどうでもいいことだ。

「Yes!高須」のフレーズで有名な高須院長は、半端ないお金持ちだ。普通そんな人は嫌われるんだが、西原さんの漫画でコミカル高須のイメージが出来てるのか、嫌われてない。



熊本地震の際、自腹でヘリを飛ばして支援活動行ったり、ホッケーなどのスポンサーになったり、社会活動もされてる方。
実は正真正銘のフリーメイソンメンバーでもある。(西原さん、これ漫画に書いてたがいいのか?)ただのお金持ちではなく、社会的地位のある人。

高須院長はノリのいい時と怒った時の差が激しい。広告代理店などは言動に一喜一憂、いつも喜んだりハラハラしてるんじゃないかな。
なんかのTV番組で、「番組スポンサーになってくださいよ」って言われて、「うん、いいよ」とすぐ即決。【瓢箪から駒】じゃなく【高須から金】って格言ができてもいいくらいだ。
でも、西原理恵子さんがTVで放送禁止用語(これってTV局の自主規制でしかないのにね)を喋ってしまい降ろされた時、激怒して速攻スポンサーを降りはった。

で、今回も「ダーリンは70歳・高須帝国の逆襲」の内容で、小学館とモメたらしく「絶版にする」とのこと。
この本は西原さんの「ダーリンは70歳」のスピンオフ本。このマンガで描かれてる破天荒な内容について、高須克弥院長が語るロングインタビュー本。
この中で書かれてる「エタ」とか「」って言葉がどうも引っかかったみたいだが、これだって昔の教科書には堂々と書いてた言葉だし、だいたい今、エタとかヒニンっているのか?これを書き直せとか言われたから絶版にするんだとさ。
気持ちはわかる。TV局にしろ出版社にしろ、「誰に気を使ってるのか?」ってくらい細かすぎるし、弱腰なのよね。よく「報道の自由を守れ」って騒いでるが、今のどこが自由なのかよくわからん。まぁ、最近はすぐ「差別だ」って騒ぐバカが多いから仕方ないのかもしれないけれどね。

この本はタイトルを見たらわかるように「ダーリンは70歳」の便乗本みたいなもん(いや、完全に便乗本)。西原さんもイラストや漫画を描いているが、印税はすべて西原さん総取りらしい。この本にはサイバラ描き下ろしマンガ「りえちゃんとぼく」(名作「いけちゃんとぼく」のスピンオフ?作品)も収録されてるが、あくまでも高須院長の本。なのに印税は西原さん総取り。さすが高須、太っ腹。でも、絶盤にしたら、サイバラさん怒るんじゃないか?印税損したってね。
絶版なる前に買わなくっちゃね。
一昨日に梅田のBook1st.で見た時には平積みで置いてあったが、もう回収されちゃったのかな?今、Amazonで見たら入荷予定は6月5日だって。入荷できるのでしょうか?

西原さんはデビュー当時、絵がめちゃくちゃ下手だった。いや、過去形ではないな、今も下手だ。動物(特に犬)をこれだけちゃんと書けない漫画家も珍しい。機械とかごちゃごちゃしたのもダメ。この辺りは「人生画力対決」でいろんな漫画家と対決してるから、確認してくれ給え。
吉田戦車氏と、しりあがり寿氏と、和田ラジオ。ついでに漫☆画太郎、これらに匹敵する絵の下手さ。でもそれを補って有り余るほどのユーモアがあるからいいんだけどね



オススメは「恨ミシュラン」。もちろんあのお節介なフランスのタイヤメーカーのグルメガイド本、「ミシュランガイド」のパロディ。この辺りの絵(西原自画像も)が一番好きだ。今の「Meets」とか「うまい店ガイドブックなどを読んで飲食店に行く奴はぜひ一度読んでほしい。きっと辛口の批評をしたくなるはずだ。

ただし西原初心者は、字が細かすぎて目が疲れるのは覚悟してくれ。それが西原さんの持ち味なんだからしょうがないが、文庫本は特に読みにくいぞ。暗い部屋で読んだら一気に視力が落ちるくらいだ。
普通の小説単行本を2時間で読み終える人なら、サイバラ本は倍以上かかると思ってくれ。それくらい細かく書かれてる。

「鳥頭紀行」シリーズを読んで旅に出るのもいいかもしれない。


「できるかな」シリーズのように、いろいろなことにチャレンジしてみるのも悪くない。


主婦の方は「毎日かあさん」がおすすめだ。子育ての辛さが一層増すか、気楽に考えれるようになるかは知らない。


「人生画力対決」で好きな漫画家が西原さんと対決して壊れていく様を見るのも悪くないだろう。


ほっこりしたい人は「パーマネント野ばら」や「上・京・物・語」などがいいだろう。西原ファンには人気はないがね。


西原さんの描いた西原版PLUTO(手塚治虫の鉄腕アトム「史上最強のロボット」を「20世紀少年」や「MONSTER」の浦沢さんが描いた作品)は是非読んでほしい。戦争の悲しさを訴えるすごいいい漫画だ。反戦活動してる人も一般の人も是非読んでほしい。

サイバラマニアだから、書き出したらキリがないからこの辺で。
絶版になる前に書店にGO!