かるい散歩

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はやしだみきのブログ

『ドローン・オブ・ウォー』(原題:Good Kill)

2015年09月30日 01時39分49秒 | イーサン・ホーク
ネタバレはしません!さて、明日10/1公開。
一足先に、試写で観ましたよ。

http://www.drone-of-war.com/

今度のイーサン。
かっこよくはないの。でも、、いいです。
これはSFではなく、現代の、すでに起りつつある実話を素にしたドラマ。
アンドリュー・ニコル監督+イーサン・ホークで
『ガタカ』をイメージして観に行くと、、、それは世界観も違います。

アメリカ空軍に所属するトミー・イーガンは、
戦闘機としてのドローンを扱うパイロット。
とはいえ、それはドローン。

無機質にも並ぶコンテナの中で、
リモコンを扱い、見つめる先は遠く離れたアフガニスタン。
そしてその出来事はモニターの中。

気温、重量、体温、音、爆風、流れる血の量、人の声、、、
そんなものはモニターからは何も感じられない。
だけど人には想像力がある。

その想像力でそのリモコンの先で起きることを感じてしまうパイロット。

映画が始まり、
幾度かの殺戮なのか、殺人なのか、攻撃なのか、
人が死んでゆくのだけど、
何度か観ている人の気持ちがピタっとハマるように、
キーーーンとした緊張感が瞬間的に訪れる。

それは、
これまで一度も空軍に所属したことなどなく、
ましてや戦争も経験していない私たちですら、
ただの客の私たちにも心のどこかで痛みを感じるような瞬間だ。
痛みというかゾォーっとするというか。

トミーの日常はその連続なのだ。

イーサンはいくつかのインタビューで、
「戦争と日常が隣り合わせにあるこの物語にすごく興味を持った」と言ってる。
「監督の視点の面白さだよね。そんな話は今まで読んだことが無かった。」と。

トミーは日常と戦場の境目があやふやになったのか、見失ったのか、探し求めたのか、
自分の仕事に疑問を持ちながら、
物語は進んでゆく。
行き着く先は、、、、、、、。


トミーがモニターを見つめる目がアップになる。
彼が見つめているのは、いったいなんなのか?
自分の心?良心?正義?敵?的?忠誠心?

発射ボタンを押すたびに機械的に繰り返される
「3、2、1、、」
繰り返し、繰り返し。

「0」になった時に
起きていることは何を失って、何を壊してゆくことなのか。
正義のベクトル、それぞれの立場から視点を逆にすれば、何かを得る。
それは安心や平和なのかはっきり映画は断定しないが、
失うだけではないことも描かれている。

原題の
Good Killは誰にとって?
それはBad Killではないの?


あーーー遠いアメリカのことですね。
それとも、
あーーーいつか私も誰かに知らぬ間に「3.2、1、、」とカウントされる日が来るのか。
それとも、
ニュースで聞いたことがるような、、どこかの国で起きていることですね。

この映画はざわざわさせる。
この物語を私たちのいまの生活、現状に近づけて感じるのは難しいかもしれない。
だけど、現実なのだ。

この不安定さ、矛盾の行き着く先はなんなのか。
自分が痛みを受ける場には居ることはなく、
何かを的にし攻撃、行動をすることは、
リアルな生活の中での矛盾や世界の不安定さでも、
どこかに通じるものがあるかもしれない。


製作費を工面するのがとても大変だったそうで、
もし潤沢な製作費でこの映画を作れたら、
監督はもっと何をしたかったのかな?と思う。

イーサンだけでなく、ブルース・グリーンウッド、ゾーイ・クラヴィッツも、
顔の目のアップが多い。

その中にキャラクターの心の内が描かれていると思う。
絶対的な分かりやすさじゃないかもしれないけど、
その目の中に変化や、打撃、心労が重なってゆく。

たぶんそれは俳優にとっては
酷な仕事だったんじゃないかと思う。

『この役は、大きな憂鬱な状態を抱えていて、演じるは、、すごくキツかった』と、
イーサンも言ってた。

大げさな身体の動きや、大きな顔の表情の変化で演じるのではなく、
多くの場面モニターを見つめながら、つまり目を離せない状態で、
何かを表現するのは難しいんじゃないかなぁ。

キーーンと張りつめた緊張感。
セクシーなキュンとメロメロ〜となる瞳じゃあないけど、
ドローン・オブ・ウォーもイーサンの瞳は何かを訴えたり、映し出したりしてます。
この魅力は変わらずです!

小さな作品です。
もっとこうしたら、ああしたら、こうだったら、
ラストは?!とか。
きっと予算の都合上でしょう。
惜しいっ!とか、描ききれてない部分もいくらかあるように思います。

けど、、
このいま、
信頼し合ってるアンドリュー・ニコル監督とイーサンがこの映画を作ったのは、
大きな意味があるんだと思う。

ブルース・グリーンウッド、ゾーイ・クラヴィッツがとてもいいです。
ゾーイ・クラヴィッツは、父レニー・クラヴィッツ。
なかなかどうして、いいです。
彼らもまたそれぞれの立場で抱えたもの。
見つめる先があるんだよねえ。

さ、初日がやってくる〜!
また観たら書こうかなっと。
あ、すでに監督とイーサンは次の作品も準備してるみたいよ。
SFだって〜。













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