~背と腰1~
背腰はき甲の後端から始まって尻まで、およそ左右の腰角を結ぶ線の中央の辺りで終わります。
基礎になっているのはき甲から後方の11~12個の胸椎と6個の腰椎で、胸椎には左右1対の肋骨が連接して胸郭を構築しているが、腰椎には連接する骨が無くて、左右に横突起という飛行機の翼のような平たい骨が突出しています。
背腰の形を保っているのは胸椎や腰椎を結合している複雑な靭帯群と筋体の短い棘間筋や多裂筋など深部にある筋肉です。
背側にある大きな筋肉は負担がかかった時(騎手が騎乗した時)や前躯を引き上げるときや後躯を持ち上げたりするときだけ働くような仕組みになっているから、激しい運動の後には四肢の筋肉以上に背腰の筋肉が疲労してしまいます。
背腰の筋肉がよく発達していないと負担に耐える力が劣り、後躯の推進力を有効に前躯に伝えることができないから、太さも厚さも十分でなければならない。
背腰の突端が外見からわかるようなものはいけない。筋肉のよく発達した背腰では中心に浅い溝ができて見えます。
背と腰は長さ、広さ、方向(いわゆる背線、馬体上部のライン)に注目して良否を判断します。
馬体の左側、もしくは右側から眺めた背腰で注目するのは長さと上線の形です。背腰の長さはき甲と胴の長さの釣り合いでおよそ決まります。
胴の長い馬は背も腰も一般に長く見える。鞍を置いてみると、胴の長い馬は鞍から後ろの腰の部分が異様に長く感じるので素人目にもよくわかります。
き甲の長い馬は背が著しく短く見え、き甲が高くて短い馬は反対に背が極端に長く見えます。
背腰の長短は負担力の強弱に影響します。常識的ですが、長い背腰はたわみやすいから長距離を走るのには向かないし、後躯の推進力を滅殺してしまいます。
背にかかる重量を支えるために背の筋肉が働きすぎて疲労するからです。
背が短くて軸になる脊柱の固定がしっかりしていれば、それだけで十分負担に耐えられるから、後躯の推進力を効率よく前躯に伝えるために背の大きな筋肉を使うことができます。
踏歩のたびに背骨がしなるような固定のしっかりしない背から強い推進力は生まれてきません。
※未勝利馬は中央未勝利です。
G1馬と未勝利馬を比べると、き甲の高さと長さ、腰の短長が分かりやすいと思います。
(写真が小さくて見づらいかもしれません)
ちなみに、いい馬体かどうかを見るコツの1つは、馬体上部の頸の付け根から帯道を通って馬体の下部~胸前までの範囲を見て、胸前⇔帯道までの広さと肩の幅と深さを見ると外れが少ないです。
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