馬を見るうえで大事なことが骨格や筋肉、内臓系の知識とその役割を知ることです。
基本的な筋肉の役割は下記のとおりです。
「馬の身体は後肢が推進力を生み出し、前肢で受け止め、ブレーキ、方向転換の役割をしています」
馬が作り出すスピードはほとんどが後肢で作られます。
股関節を伸ばすのは、中殿筋、半腱様筋、大腿二頭筋
膝関節を曲げるのは半腱様筋、伸ばすのは半腱・半膜様筋、大腿二頭筋・四頭筋、大腿筋膜張筋
中殿筋以外のほとんどの筋肉の終着点は大腿骨下部と膝蓋骨、膝関節です。
ということで、自分が馬を判断するときに特に注目している所を画像で目印をつけてみました。
まずは、馬体の前半部分からです。
馬の前半は主に心肺機能を見ます。ここでの個人的な心肺機能の解釈としては「最後の直線で最高速度に到達したときに、どれだけそれを維持できるか」という指標で見ています。
いくらスピードがあってもすぐバテて減速してしまえば、あとは抜かれていくだけです。分かりやすいイメージとしては、マリオカートのキノコを使った時ですかね。金色の何回も使えるキノコと単発キノコ、どちらが優秀かはわかると思います。
自分が最初に見る場所ですが、まずは馬体前半から見ていきます。
上の画像はアメリカンファラオの幼駒のときです。馬体が見やすく、サブレッドとして理想な馬体をしているので参考に載せます。
初めはクビと胴体のつなぎ目、頸礎(けいそ)という場所を見ます。ここの線が長ければ長いほど胸が深いと判断しています。よく見るのがキ甲から胸まで縦に線を引いて深いか浅いかを見るっていうのがありますが、体格差だったり写真の写り方だったりで正直よくわかりません。ただ、キ甲から下に線を引いて真ん中あたりまでの範囲、そこのふくらみ具合も重視しています。
ここに何があるのかといえば心臓と肺です。大雑把に言えば半分から下に心臓、半分から上が肺です。
基本的に馬の心臓は体重の0.94%~1.1%、大体4㎏後半くらいです。セクレタリアトは倍の10㎏ちかくあったらしいので、当然ながらそれを入れる容器も大きくないといけません。
セクレタリアトは、この頸礎のラインに驚異的な幅があります。なので、心肺機能が優れている馬はここの幅が大きくなるはずです。心臓は肩甲骨と上腕骨の間に納まっているので、そこの筋肉の盛り上がりの容積を見てもわかるかと思います。
黄色いラインが上腕骨ですが、心臓の容器を大きくとるのと、歩幅を広げるためにも上腕骨が長いことが重要になります。(医学書だと短い方がいいと書いてありましたが、強い馬はどの馬も条件馬より長いので長い方がいいと書いてます)
次にそれらを含めて緑の線を見ます。ここは単純に心臓と肺の容積を見ています。肺は右に切りあがるように騎手が座る場所辺りまであるので、緑ラインでのそこの部分は加味していません。だいたい、胸骨の終わり当たりを目安にしています。
そして、オレンジ色の線の前肢の部分ですが、前肢自体の役割の大部分が方向転換とブレーキです。ただ、4本の脚で走る生き物なので、スピード能力にも関わり合いはあるはずです。ただし、そんなに重要度を上げてみているわけではありません。早い馬はここが太いので参考程度に見ています。
そして、一番大事なのが後肢です。ほぼすべてのスピードがここで作られます。
青枠の部分が中殿筋と呼ばれる筋肉の範囲です。オレンジが大腿二頭筋、赤色の線が大腿筋膜張筋です。白枠の範囲は大腿四頭筋(外側広筋)になります。
詳しくは下の画像をご覧ください。
半分から上の画像左にある「P」と書かれた部分が中殿筋です。そこから(く)を反転させた下部、「28」と書かれている所が大腿四頭筋(外側広筋)です。
そして、下にある画像の左の「q」と右下に向かって3か所ありますが、そこが大腿二頭筋になります。中殿筋と大腿二頭筋に囲まれている、白字で「0」と書かれている部分が大腿筋膜張筋となっています。
まず強い馬の特徴としては、どの馬よりも速い最高速度に、そこに瞬時に到達する加速力、それにスパートをかけてからゴールするまでの間にバテることなくトップスピードを維持できる優れた心肺機能が必要です。
心肺機能については前半に書いた通りですが、ここからはスピードのほぼすべてに関わる後躯、トモについて説明していきます。
馬がスピードを出す源泉となるのが中殿筋と大腿二頭筋、大腿四頭筋(外側広筋)と大腿筋膜張筋がメインになります。
スピードの源泉として一番重要なのが中殿筋となります。ここは腰のあたりから寛骨(骨盤)の上部から尻尾側の方まであって、馬の筋肉の中でも1,2を争うほどの質量を持った筋肉です。ここは、蹄が地面につく手前、空中にあるところから地面を蹴る少しの間まで使われます。ここが優秀だと、うしろから見たときにトモの上部が角ばって見えます。切り下がって“つるん”としているように見えるものは貧弱な証拠です。
ちなみに、一番上にある画像で青枠の横にある黄色い線、ここは中殿筋と半腱様筋の境目ですが、今まで見てきたG1馬の画像の全頭が右に向かって詰まっています。右にせり出すように湾曲が強いといった方がわかりやすいかもしれません。条件馬はここが緩やかで湾曲も弱くて、半腱様筋の割合が多いです。
大腿二頭筋は、蹄が地面につく手前から蹴りだしの前半部分で機能します。中殿筋で生み出した力をさらに加速させる役目です。
大腿四頭筋も二頭筋とほぼ同じ役割ですが、四頭筋は二頭筋よりも長く機能して、蹴りだしの終わりごろまでを担当しています。最近は、ここと大腿二頭筋をセットで見ています。ここのふくらみの強さと、太く、長く、大きな大腿二頭筋が中殿筋で生み出した力を瞬時に加速させる役目を担っています。
大腿筋膜張筋は蹴りだしの全体と、地面を離れてすぐまでを担当しています。二股に別れている筋肉ですが、目視してもくっきりと太く見えるものが優秀です。G1を勝つ大部分の馬が、一番上の画像で言うと赤枠と白枠の部分の範囲が大きくふくらみも強いです。
ここまでが、相馬をする上で気を付けてみている所です。
ただし、トモも大きく分けると大腿骨が短いものや、平均的なもの、長いものと3種類があります。その種類によっても、筋肉の付き方や見るところや重視するところが変わってきます。
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