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ーブラックバードー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
ー西暦2202年・初頭ー
ー地球連邦防御軍・月面鎮守府ー航空科・零式無人化研究所ー
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「…と云う訳。」
「やってくれるね!?」研究所所長が直に告げて来た。
俺より二つ、三つ若い三十代前半くらいの女史って感じだな。
下ぶちメガネにショートボブの髪型。
かつて、あのヤマトに乗艦していたらしい。
その"女所長さん"が云うには、それは量産型コスモゼロをA.Iによる無人化すると云うものであった。
俺は即答で引き受けた。
俺の名は「風間 真吾」"義足を付けたエースパイロット"の異名を持つ。
ガミラス戦役で軍属、民間を問わず、多くの命が奪われた。
そして、僅か三年で新たな敵ガトランティスの襲来。
いくらガミラスと和平を結び、ガミラスの支援があるとは云え、復興はもとより、軍に関しても人手不足。
ガミラスのアンドロイドを量産はしているが、それでも間に合わない事態にまで戦況は悪化している。
軍拡を掲げ、馬鹿デカイ戦艦を何隻も量産、戦場に投入を繰り返す。
だが、人間はそうは行かない。
最低でも、この世にも生を受け十五年、それから下士官学校に入学して最低でも三年の月日が必要だ。
十五年プラス三年で十八年。
そこから専門職に必要な知識と技術など、修得するのに主席クラスでも一年以上は必要。
トントン拍子に進んでも、十九年も必要だ。
それも万を超える新生児が誕生して、やっと今の現実に追い付くかどうかだ。
あと二十年も、戦争状態で"アチラさん"に攻撃を中断してください。なんて都合よく行く訳もない。
そんな状況を打破する為、戦艦に比べコストの安い航空機に白羽の矢を立てたって訳さ。
「A.I」による完全無人化。
ガミラス戦役前から機動力と攻撃力には定評もある通称"コスモゼロ"が選ばれた。
開発当初は確かにコストが掛かり過ぎるとされ、量産化は見送られ初期ロット分のみ生産された。
俺は、その時もテストパイロットだった。
俺が軍人でいる為にはテストパイロットしか無かったからな。
俺がテストパイロットでも、軍人にこだわるのには訳がある。
◆◆◆◆
ー十八年前・火星アルカディアシティ上空ー
「此方、アルファ2(トゥ)。"定時爆撃"を開始する。」
「早いとこ、火星自治区長も、降伏しちまえば俺も楽なんだがなぁ。」俺は制空権を味方にお気楽に爆撃を指示通りにこなすだけの日々を送っていた。
爆撃と云っても、もうほとんど軍関係の施設は空爆済み。
定期的に空爆を繰り返す日々、早く降伏しろ!と瓦礫に空爆。
そんな時だった、少年期に入ったばかりの男の子とまだ、幼年期の女の子の兄弟が、小石を拾っては、届きもしない遥か上空を飛行する俺の機体に向かって投げてくるのが解った。
高度を下げると、投石を止め、"あっかんべー"をして何処かへ走り去る。
それから何日かそんな任務の日が続いた。
俺は自身に自惚れていた。
絶対の自信も持っていた。
だが、そんな俺に神は罰と罪を与えた・・・
空爆目標が無いまま、降伏を促す為の空爆。
何時ものように投石する兄弟。
一つ違っていたのは、火器を持つ民兵が潜んでいた事。
俺は投石をする兄弟をからかうつもりで、超低空飛行でアクロバット的な飛行を見せた。
「ガガガガガーーーッ!!」三十ミリ機銃弾の嵐が、俺の愛機:ゼロに襲いかかり、火だるまのゼロ。
現地で改良された火器なのだろ。
火だるまのゼロのキャノピー越しに目に飛び込んで来たその火器が零式の機銃である事が解った。
どれくらい眠っていたのだろか。
俺が気がついた時は、野戦病院的なベッドの上だった。
紅い眼をした少女と兄が、俺を看ていた。
紅い眼をした少女は兄に隠れるように、兄の背中から顔を覗かせ、睨んでいた。
どうやら俺は、火星解放軍の施設に収容されたのだと、気づいた。
それと同時に右足を失っている事にも・・・
あの紅い眼をした少女が、今はエースパイロットか……。
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◆◆◆◆
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俺は、この零式の改良型通称"ブラックバード"のA.Iを育て上げ、戦地に送り出す。
"死を恐れない。"このA.I(子)らに徹底して、俺の持っている技術(わざ)を教え込む。
そして、必ず「生きて帰れ!」とね。
~fin~
使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。