二次創作
さらば宇宙戦艦ヤマト・サイドストーリー
第四話
「左舷のカタパルトデッキは三本とも使用不可!管制ブリッジも…絶望的……」
「格納区、第三、第四、第五ブロック閉鎖!」
「第二航空隊控え室の火災鎮火!しかし、尚も火災の火種は機関区へ移動中!」
「火災の拡大を防ぐ!格納区から機関区を真空化する!」
「待避せよ!繰り返す。格納区から機関区を真空化する!待避せよ!」
緊急アラート、乱立する現場の指示、負傷者の叫び、怒号が飛び交う損傷区画。
そんな事はお構い無しに、射ち漏らしや回避仕切れない流星群にグラーフ・ツェッペリンは、襲われていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/7b/9047012f16bc2236489210ded2fdb151.jpg?1580736688)
「窮鼠猫を噛む…噛まれたな。」
「通信長。全艦に通達。」
「これより、我がグラーフ・ツェッペリンは脱走艦撃沈に移行する。」
「古代砲雷長。現時点を持って砲雷長の任を解く。」
「新たに特務隊隊長の任を与える。」
「航空隊隊員から数名を選出、先任伍長の城木を逮捕せよ。」
「えっ!?先任伍長をですか?」
「そうだ。この録画を観てみろ。」
艦長席に設置された小型モニタを古代は、覗き込んだ。
作戦開始から三十分程、過ぎた格納庫内の映像が映し出されていた。
甲板クルーたちが、コスモタイガーの最終チェック作業や雷撃機への爆装作業の様子が、映し出されていた。
これと言って変わった様子は伺えないように見えた。
だが、城木先任伍長が映し出された時、一瞬だが、"密航者"と会話している場面が映り込んでいたのだ。
その会話がハッキリと読み取れた。
「破壊しろ。」「分かりました。」である。
勿論、映像には音声までは録音されていないのだが。
読話術を専門としない素人が、観ても解るほどスローで会話している映像だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/0f/40dfcf08959015964bbb5883366ad0df.jpg?1580910055)
「しかし、この密航者は一体……。」
「その事を含めて尋問する。」
「時間に余裕がない。迅速に頼んだぞ。古代。」
「中と外からの攻撃に、そう長くは持ちこたえられんからな。」
「とは言え、先任伍長に悟られるなよ。」
「了解しました。」
古代に特命を伝えた土方は、古代を支援する為、艦内通信を行わせた。
「通信長。艦内通信だ。」
「格納庫と第一航空隊控え室に繋げ。」
「り…格納庫も、でありますか?」
「そうだ。」
「了解。」
「航空隊隊員。聴こえているか?」
「艦長の土方だ。」
「これより、数名を選出する。古代が指揮を取る。」
「上陸用舟艇に搭乗するメンバーを選出する。選出されたメンバーは古代に従え。」
「上陸用舟艇は着艦口から発艦させる。以上だ。」
「船務長。船務長は砲雷長を兼任せよ。」
「了解。」
「通信長。第一攻撃機隊に通達。」
「流星群への攻撃を中止、別命あるまで、散開して待機せよ。」
「了解。」
先の艦内通信に「マジ」かよと、格納庫のクルーたちは顔を覗かせていた。
「どんな作戦を考えたんだ艦長は?」
「知らんよ。俺に聞いて解るかよ!」
「確かに。だけど、カタパルトも無いのに、どうやって発艦させんだ?」
「はぁ!?お前、知らんのか?」
「上陸用舟艇は、垂直離陸が可能でホバリングも可能な優れ物だぞ。」
「空間騎兵隊が使っての観た事あんだろ!?」
「ガミラスと戦ってた頃、まだヤマトが完成するかしないかの頃、迎撃に失敗した遊星爆弾が、月面基地に落ちて来た時に、お前も乗っただろ。俺と一緒によ。」
「ああ。アレっすか!」
「そうだよ。アレだよ。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/e7/4ca08476ad2938f058338899efc46f17.jpg?1580913267)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/35/4c1e5140686e35557259ac1302ac65fb.jpg?1580913394)
「あん時の隊長さん。元気にしてるんスかね?」
「第十一番惑星で守備隊の隊長やってるって言ってたな。」
「そんな事よか、発艦に備えねぇと、このままじゃ、マジ沈むぜ。」
◆
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/a3/f63751d7079594770d2ccf060d7a7419.jpg?1580913911)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/d1/da887039379d2e0082d8be6835e0e85d.jpg?1580913911)
「レイピア。また勝手な行動を。」
「大帝からの伝言を伝える。早々に、引き上げよ。」
「お姉様。お言葉ですが、地球を我が帝国の"献上品"に、あと一歩のところです。」
「あと少し、お待ち下さいませ。」
「……戯(たわ)けた者!」
「今はまだ、力を蓄える時ぞ!」
「他次元の力を借りたに過ぎんのだ。」
「聞き分けろ!レイピア!」
「………。」
「!?どうした?超空間通信が途切れたぞ。」
「サーベラー様。申し訳ございません。」
「超空間通信はレイピア様がお切りに成りました。」
サーベラーの側近、ゲーニッヒ参謀が頭(こうべ)を垂れ、告げた。
「戯(たわ)けた事を…。」
第五話へ
つづく。
この物語りは、私設定が混ざった「さらば宇宙戦艦ヤマト」の二次創作です。
イスカンダルの航海後から白色彗星帝国出現までの約一年間の間のほんの僅かな隙間のオリジナルエピソードです。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶また、さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー」等の設定資料から引用。
つづく。
この物語りは、私設定が混ざった「さらば宇宙戦艦ヤマト」の二次創作です。
イスカンダルの航海後から白色彗星帝国出現までの約一年間の間のほんの僅かな隙間のオリジナルエピソードです。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶また、さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー」等の設定資料から引用。