4の雑記集

当ブログは自分がその日の日記やゲームのメモを記していくだけの、実に非生産的なブログであります。

FRAGILE~さよなら月の廃墟~ 感想

2010-04-20 19:29:11 | 雑記
購入してから大分間が開いてしまいましたが、Wiiの『FRAGILE~さよなら月の廃墟~』をクリア。
という訳でちょっとした感想を書いておきます。

感想前に先に書いておきますが、このゲームは
・ほんの少しでもホラー的表現が苦手
・鬱展開が苦手
・ストーリーだけでなくゲームも楽しみたい
といった方々には絶対にオススメできない代物であります。
ストーリー的な内容は下で詳しく書きますが、アクションゲームとしては凡作であります。
2周目特典やマルチエンディングなどもないので、そういうのを期待してもいけません。
物語と雰囲気を楽しむゲームと割り切るのが必要であります。


↓ネタバレ含むため感想は白文字(反転してお読みください)↓

まず、いきなり重要な事でありますが、このゲームに救いは殆どありません。
出会った人々は既に死んでいる幽霊か、人間以外の存在ばかりであります。
数少ない同じ人間の生存者として出会うヒロインの少女も、エンディングでようやく仲間になったと思いきや、短い年月を主人公セトと共にした後に死亡するのが最後に判明します。(序盤の大人セトの独白で死亡してしまった匂いを物凄い漂わせていたので、ある程度予想はつきますが。。。)

それ以外にもストーリーの道中でセトは幾人かの友人と仲間を得ますが、彼&彼女らは道中で皆『死亡』します。ついでに、このゲームの特徴のひとつである『アイテムに込められた記憶を読み取る』というのがあるのですが、こちらの内容も一切の漏れなく鬱なものばかりとなっております。(建物内の落書きも合わせてみると更に鬱に。。。)
もはや情け容赦など一切ありません。最初から最後までプレイヤーは悲しみのどん底に突き落とされたまま、憂鬱な気分のまま物語は幕を閉じます。

ただ、その中にも救いというか、良い場面が結構あります。
物語序盤でセトの仲間となる『パーソナルフレーム(PF)』、その後の中盤に友達になる『クロウ』の二人の出会い、交流、そして別れまでのお話は、涙なくして見られない展開です。
セトとプレイヤーへの救いはありませんが、PFとクロウは間違いなくセトという存在によって『救われた』人々でありました。
むしろこの二人それぞれの別れの時には「もうここでEDでいいよ。。。」みたいな気分になれます。

もうひとつは『チヨ』という少女の語り。
極論ではありますが、この彼女の語りこそがこのゲームの『全て』であります、彼女こそが主人公セトの『未来の姿』でもあります。
彼女も人類を滅ぼした原因と流れゆく時間によって、仲間と友人を全て失っています。
彼女は一人ぼっちのまま年を取り、人の心の温もりを忘れたまま『人生の最後』をただ待つだけの孤独と悲しみの存在でした。
しかし、セトによって人の心の暖かみを思い出した彼女は、自分の人生を嘆くわけでも恨むわけでもなく、人生の途中であったほんの束の間の『幸せ』を想いながら穏やかに最後を迎えます。

“あなたもいつか 旅を終える日が来るでしょう。
でも その後もずっとずっと 毎日は続いていくの
新しい事は本当になにも起きない

そのとき はじめて気がつくのさ
仲間たちとの他愛のない会話が
どんなに素敵な宝物だったのかを

あたしはもう きっと長くないのでしょう
でも あなたにはきっと たくさんの明日が
待っているわねぇ

さあ お行きなさいな
それから 生きて 生きて 生きて・・・
いつか終わりが来る日まで うんと生きてね”


これはチヨがセトに最後に伝える語りの一部です。
最終的にヒロインすらも失ったセトは、チヨのようにたった一人で『何もない毎日』をずっと過ごすことになるでしょう。
寂しくなったとき、悲しくなったとき、くじけそうなとき、そして『最後』を迎えるとき。。。PFやクロウやチヨ、そしてヒロインや他の出会った人々との『宝石なようだった大事な大事な思い出』を想い、その時を過ごしていくのでしょう。


セトに『救い』はありません。
しかし、セトが仲間やヒロインと触れ合ったその時、セトは間違いなく救われていました。
それが永遠に帰ってくることはありません。
でも、その思い出を胸に人々は明日を歩みます。