弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

福島第一原発事故付近の住民の住居と政治の責任について

2011年11月10日 | 福島原発 東日本震災

福島大学の調査結果によると、福島県双葉郡8町村の
約13460世帯の約4分の1が元の居住地に戻るつもり
がないと回答しているとのことです。

元に戻らないとの決断は大変厳しいものがあったと推測します。

ただ、私が全く理解できないのは、元に戻った場合のシュミレーションが
何もなされていないということです。
チェルノブイリでは、爆発事故で、事故の大きさが目に見えたので、
一斉立ち入り禁止、居住禁止にしやすかったという事情はあったと
思います。
しかし、原発事故、特に放射能汚染の大きさというとおそらくチェルノブイリ
より大きいのではないかと考えられています。

住民が戻るかどうか判断できるように、被害の実態を明らかにすべきです。
そして、もし居住するとした場合に、何をすべきなのか
それでも被害はないのか、可能なかぎりの予測をすべきです。
その場合に、予測不能な部分があることも念頭に置くべきです。
広島や長崎の原爆だって、事故の後の健康被害の方が大きな問題になって
いました。

風評被害をいいますが、一番重要なのは、二次・三次被害です。
実際の被害の大きさを隠していたのでは、予防できたはずの適切な
対策や回避策がとれなくなってしまいます。
もし、戻るのが危険であるならば、たとえ苦しい選択でも
立ち入り禁止とか居住禁止にすべきです。
必要ないというのであれば、その根拠を可能な限り示すべきです。

正確な情報を与えないままに、住民に重大な決断をさせるべきでは
ないと思います。

昨日のブログで照会した9・11についても、ガンは関係がないと
考えられていたのですが、10年に及ぶ継続的な調査の結果、
粉塵に含まれていたアスベストなどの有害物質の吸引によるガン発生に
繋がっているということがわかってきたのです。
10年たって初めて因果関係が見えてきたのです。

損害賠償問題が動き始めましたが、
もっと抜本的な、根本的なお金の使い方を考えてほしいものです。

実際、人類初めての経験かもしれないのです。汚染は今も進行中の
可能性があるのです。
そうだとすると、許容できる危険と判断できないのであれば、
居住禁止というような厳しい選択もあると思います。
もちろん、その場合は、新しい出発に向けての支援策が必要なことは
いうまでもありません。

それほどの厳しさを覚悟すべき課題だと思うのです。
いつまでも耳触りのいいことばかりというわけにはいきません。

そういう時期にきています。

 


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