弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

優秀な弁護士とは、ストーリーテラー?

2022年06月04日 | 裁判・法律

一日、週明けの訴訟の準備で過ごしている。
弁護士の仕事、役割って何だろうと考えこんでしまう。
訴訟は、勝ちか負かの勝負である。
しかし、審判はいるが、行動で誰にも瞬時に結果がわかる野球や相撲とは違う。
また、将棋のような頭を使うゲームとも違う。長考してもその結果として駒を動かさなければならない。
駒の連続の動き(目に見える)で勝敗が決まる。

裁判は違う。行動そのものとは無関係。中味が問題。
そういう意味では、小説のようなものかもしれない。でも小説の場合は、直接の勝負相手はいない。
また、良し悪しは、不特定多数の読者等が何となく決める。
裁判は通常は、一人又は三人の裁判官が判断し決定する。
建前は公開ではあるが、実際は、当事者・関係者しか知らないところで行われる。
しかも法律という厳格なルールがある。

優秀な弁護士かどうかは、与えられた材料・ルールの範囲内でいかに説得的・魅力的な物語を
裁判官に提示し判断させるかではないかと、ずーっと考えている。
そして、そういう弁護士は、本当は極めて少ないと思う。

最近の新聞記事に、藤井聡太五冠の
「将棋の盤上の物語の価値は不変である、自分としてはそういう価値を伝えていきたい」
と話したとあった。(3日のヒューリック杯棋聖戦の初戦を落としたのは残念である)

物語という点では、将棋の盤上も、裁判の法廷も同じではないかと思う。
同じ将棋の駒で、同じ将棋のルールに従い、最近では誰もが利用可能なAIを使って研究しても
藤井聡太もいれば、タイトルと縁のない棋士もいるだろう。

そんなことを考えてながら、物語の完成度を高めるべき、一日を過ごした。

「吸血鬼ドラキュラ」の居城のモデルとなったブラン城(ルーマニア)の中庭の写真である。
ヨーロッパ中世の城としては、どうということはないかもしれない。
でも、「吸血鬼ドラキュラ」の城と思ってみると、やはり、そういう雰囲気も感じる。
これも「物語」のなせる技とでもいうべきであろう。
そして、ブラン城への連想は、5月31日のブログでルーマニアのコウノトリを想いだし、
ドラキュラ大集合のニュースここを見たからであろう。

物語は「起承転結」で展開される。当然ルールには従わなくてはならない。
一見無関係なような弁護士の仕事と優れたストーリーテラーであるが、藤井聡太五冠の言葉のとおり
訴訟における「物語の価値は不変」なのである。
日々研鑽あるのみである。

 



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